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『カロン』
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「こんにちは。あの……カロンさん、ですか?」
「っ。あっ、あっ、むっ、むっ、」
「はい。……むぅ、です♡」
「ッ──!!!!」
こんなことになるなんて思ってなかった。当然だ。……当然だっ!いや、期待はしていた。下心は、もちろんあった。でも同じくらい最初から諦めていて、最初から玉砕覚悟だった。
だからいつも画面越しに見ていただけのむぅが俺の送ったDMに返信をくれて、俺と会ってくれるって話になって、オフパコもOKしてくれて、待ち合わせた時間にきちんと来てくれて、本当の本当に俺の目の前に現れてくれるなんて、思ってもみなかったんだ!
し、しかも、しかも……ッ!
「──僕、こういうの、本当にはじめて、なので……っ。どうぞ、よろしく、お願いします……っ♡」
「ッ……!♡♡♡」
しかもまさかの処女だったなんて、誰がッ、想像できたと思うっ!?!?!?
・
・
・
DMを送って、気力の全部を使い切った気持ちで、とりあえず床に射精しちゃったザーメンを片付けようとティッシュを抜き取って。屈んだところでスマホのバイブが鳴って、そりゃ、俺は、飛び上がるくらいに驚いた。すぐにスマホを確認したら、そこにはさっきDMを送った相手──誰でもないむぅからの返信が来ていて。思わずそこで本当に、椅子から、ひっくり返ってしまった。
『はじめまして。むぅです♡
カロンさん、DMありがとうございます。いつも配信見てくださっていますよね。先程も、その前も……スパチャいつも、本当に嬉しく思っています♡突然のオフパコのお誘い、びっくりしました。でもすごく嬉しいです……♡僕でよかったら、ぜひ、お相手お願いします。お時間、いつ空いていますか?』
「ッ……。」
その返信を見て、俺は、5分は固まっていたと思う。その返信の情報量の多さに頭が真っ白になって、なにも考えられなかったからだ。
まず驚いたのは、むぅが俺を認知してたこと。
確かにさっきの配信で投げ銭はしたから、俺のこと自体はわかっているだろう。だから「先程も」って言葉が来た。だけどそれなら「いつも配信を見てる」とは書かないはずだ。記憶に残ってなかったら、いつも見に来てるかどうかなんて不用意なことは書けない。配信は人気商売。あやふやな発言で炎上することだって珍しくない。だからむぅは、ちゃんと確信してこれを書いたはずだ。
実際、俺はむぅを知ってからは毎回欠かさず配信を見ていたし、他愛無い内容だけどコメントも送っていた。投げ銭したのだって一度や二度じゃない。でもそれだけ。毎回投げ銭してるわけじゃないし、個性的なコメントを送っていたとも思えない。それなのになんで、むぅは俺を知っていたんだろう。
オフパコを嬉しいって言ったことにも驚いた。
そして秒でOKをくれたことにはもっと驚いた。
こっちのほうは理由がわからないから意味もわからなくて、俺はただぐるぐる答えもなく「なんで?」「なんで??」「なんで???」と思い続けていた。
……改めて整理すると、そこまで情報量が多いっていうわけでもない。いや、でも、ひとつひとつの疑問のおっきさがヤバいっ!俺じゃなんにも、解決できないっ!!!!!だってっ、俺っ、むぅの一人称が「僕」だっていうのすら、今、はじめて知ったんだよっ!?むぅってすごいガード硬くてっ、ぜんぜん個人情報話さないんだよっ!?だからこれっ、これッ、ほんとにホントにっ、大事件なんだよっ!?!?!?
「っ……!」
でも、この返信は嘘じゃないだろう。いや、まだ、嘘かはわからないけど。でも、返信はちゃんと来たんだから、俺も返事をしなくちゃしょうがない。はじめにメッセージを送ったのは俺だ。だから、そこは、ちゃんとっ、しないと。
『ありがとうございます。ずっとむぅさんの配信は見ていたので、お返事、すごくすごく、嬉しいです。ぜひよろしくお願いします。自分はシフト制の仕事なので、むぅさんに日にちやお時間を合わせます!
また顔の写真や、身体やちんぽの写真が必要なら言ってください。実際に会ってむぅさんのタイプではなかったら申し訳ないので……。こうしたお誘いをするのが初めてなので、粗相があったらすみません。』
そう打って、送る。
心臓がバクバク言いっ放しだけど、どうにかまともな返事だろう。
……でもよくよく考えれば、むぅはこんなやり取り、きっと慣れっこなはずだ。オフパコの誘いなんてしょっちゅう来てるだろうし、実際に会ってセックスまでしてても、それを何度も経験してても、全然、おかしくない。あんなにドスケベ大好きって雰囲気であんなにドスケベな配信をしてるんだ。相手はいくらでもいるはずだし、むしろ選びたい放題だろう。
なら、俺の誘いもそのひとつだってだけなのかもしれない。いや、きっとそうだ。いろんな人のいろんな身体、いろんなちんぽでセックスをしたい。そんな欲望をむぅが持ってるのは考えてみればごくごく当たり前のことで、それなら俺も、そんなむぅの欲望に、たまたま引っかかったってだけなんだろう……。
「……あっ」
そう自分の中で結論を出していると、またすぐに返事が来た。即レス。ちょっとビビっちゃうレベルだ。そんなにセックスに飢えてるのかな。それともすぐにちんぽの写真がほしくなったのかも。そうやってメッセージを見ると。
『ご親切にありがとうございます♡それなら6月26日、10時にハチ公前でも構いませんか?
お写真は問題ありません。ご丁寧に嬉しいです♡僕もこうしたお誘いは初めてなので、不慣れな部分があると思います。幻滅してしまう不安がありましたら、お断りしても構いませんので……。』
「……。」
その返信に、また、思考が止まる。
はじめて。
……『はじめて』?
なにが?どれが??どこが???どこから????
『は、はじめてと、言うのは。オフパコ、その、はじめて……なんですか?』
思わず思考がバグってしまって脳直のメッセージを送ると、また即レス。その内容を見て、いよいよ──俺の頭は、パンクした。
『はい。本当に、大変、お恥ずかしいんですが……。僕、実は、処女なんです。』
「……は???????」
「っ。あっ、あっ、むっ、むっ、」
「はい。……むぅ、です♡」
「ッ──!!!!」
こんなことになるなんて思ってなかった。当然だ。……当然だっ!いや、期待はしていた。下心は、もちろんあった。でも同じくらい最初から諦めていて、最初から玉砕覚悟だった。
だからいつも画面越しに見ていただけのむぅが俺の送ったDMに返信をくれて、俺と会ってくれるって話になって、オフパコもOKしてくれて、待ち合わせた時間にきちんと来てくれて、本当の本当に俺の目の前に現れてくれるなんて、思ってもみなかったんだ!
し、しかも、しかも……ッ!
「──僕、こういうの、本当にはじめて、なので……っ。どうぞ、よろしく、お願いします……っ♡」
「ッ……!♡♡♡」
しかもまさかの処女だったなんて、誰がッ、想像できたと思うっ!?!?!?
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DMを送って、気力の全部を使い切った気持ちで、とりあえず床に射精しちゃったザーメンを片付けようとティッシュを抜き取って。屈んだところでスマホのバイブが鳴って、そりゃ、俺は、飛び上がるくらいに驚いた。すぐにスマホを確認したら、そこにはさっきDMを送った相手──誰でもないむぅからの返信が来ていて。思わずそこで本当に、椅子から、ひっくり返ってしまった。
『はじめまして。むぅです♡
カロンさん、DMありがとうございます。いつも配信見てくださっていますよね。先程も、その前も……スパチャいつも、本当に嬉しく思っています♡突然のオフパコのお誘い、びっくりしました。でもすごく嬉しいです……♡僕でよかったら、ぜひ、お相手お願いします。お時間、いつ空いていますか?』
「ッ……。」
その返信を見て、俺は、5分は固まっていたと思う。その返信の情報量の多さに頭が真っ白になって、なにも考えられなかったからだ。
まず驚いたのは、むぅが俺を認知してたこと。
確かにさっきの配信で投げ銭はしたから、俺のこと自体はわかっているだろう。だから「先程も」って言葉が来た。だけどそれなら「いつも配信を見てる」とは書かないはずだ。記憶に残ってなかったら、いつも見に来てるかどうかなんて不用意なことは書けない。配信は人気商売。あやふやな発言で炎上することだって珍しくない。だからむぅは、ちゃんと確信してこれを書いたはずだ。
実際、俺はむぅを知ってからは毎回欠かさず配信を見ていたし、他愛無い内容だけどコメントも送っていた。投げ銭したのだって一度や二度じゃない。でもそれだけ。毎回投げ銭してるわけじゃないし、個性的なコメントを送っていたとも思えない。それなのになんで、むぅは俺を知っていたんだろう。
オフパコを嬉しいって言ったことにも驚いた。
そして秒でOKをくれたことにはもっと驚いた。
こっちのほうは理由がわからないから意味もわからなくて、俺はただぐるぐる答えもなく「なんで?」「なんで??」「なんで???」と思い続けていた。
……改めて整理すると、そこまで情報量が多いっていうわけでもない。いや、でも、ひとつひとつの疑問のおっきさがヤバいっ!俺じゃなんにも、解決できないっ!!!!!だってっ、俺っ、むぅの一人称が「僕」だっていうのすら、今、はじめて知ったんだよっ!?むぅってすごいガード硬くてっ、ぜんぜん個人情報話さないんだよっ!?だからこれっ、これッ、ほんとにホントにっ、大事件なんだよっ!?!?!?
「っ……!」
でも、この返信は嘘じゃないだろう。いや、まだ、嘘かはわからないけど。でも、返信はちゃんと来たんだから、俺も返事をしなくちゃしょうがない。はじめにメッセージを送ったのは俺だ。だから、そこは、ちゃんとっ、しないと。
『ありがとうございます。ずっとむぅさんの配信は見ていたので、お返事、すごくすごく、嬉しいです。ぜひよろしくお願いします。自分はシフト制の仕事なので、むぅさんに日にちやお時間を合わせます!
また顔の写真や、身体やちんぽの写真が必要なら言ってください。実際に会ってむぅさんのタイプではなかったら申し訳ないので……。こうしたお誘いをするのが初めてなので、粗相があったらすみません。』
そう打って、送る。
心臓がバクバク言いっ放しだけど、どうにかまともな返事だろう。
……でもよくよく考えれば、むぅはこんなやり取り、きっと慣れっこなはずだ。オフパコの誘いなんてしょっちゅう来てるだろうし、実際に会ってセックスまでしてても、それを何度も経験してても、全然、おかしくない。あんなにドスケベ大好きって雰囲気であんなにドスケベな配信をしてるんだ。相手はいくらでもいるはずだし、むしろ選びたい放題だろう。
なら、俺の誘いもそのひとつだってだけなのかもしれない。いや、きっとそうだ。いろんな人のいろんな身体、いろんなちんぽでセックスをしたい。そんな欲望をむぅが持ってるのは考えてみればごくごく当たり前のことで、それなら俺も、そんなむぅの欲望に、たまたま引っかかったってだけなんだろう……。
「……あっ」
そう自分の中で結論を出していると、またすぐに返事が来た。即レス。ちょっとビビっちゃうレベルだ。そんなにセックスに飢えてるのかな。それともすぐにちんぽの写真がほしくなったのかも。そうやってメッセージを見ると。
『ご親切にありがとうございます♡それなら6月26日、10時にハチ公前でも構いませんか?
お写真は問題ありません。ご丁寧に嬉しいです♡僕もこうしたお誘いは初めてなので、不慣れな部分があると思います。幻滅してしまう不安がありましたら、お断りしても構いませんので……。』
「……。」
その返信に、また、思考が止まる。
はじめて。
……『はじめて』?
なにが?どれが??どこが???どこから????
『は、はじめてと、言うのは。オフパコ、その、はじめて……なんですか?』
思わず思考がバグってしまって脳直のメッセージを送ると、また即レス。その内容を見て、いよいよ──俺の頭は、パンクした。
『はい。本当に、大変、お恥ずかしいんですが……。僕、実は、処女なんです。』
「……は???????」
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