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未来 / 告白
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「太ぃ……♡」
「あ?なんだよ……、ンっ」
抱きついた光が、俺を呼んでキスをする。
ようやく終わったセックスに、それでも光は俺と離れようとしない。ようやく俺も気づいたが、コイツは相当に甘えただ。キスにハグにその他諸々。でももう、それを可愛いとか思っちまうんだから、俺も一瞬で戻れないトコまで堕ちたんだと、実感する。
「ん、ぅ……ッ♡」
キスを離してこっちを覗き込む目は、さすがに少しは醒めている。ちゅ、と立つリップ音に、それでも愉しげに、光は俺の腹を、弄ぶように撫でていく。
「な、太?おまえがオレのカラダこんなにして、ジンセー終わらせたんだからな?ソコ、わかってっか?」
「な……ッ。い、いきなりっ、なんだよ……ッ?」
腹の肉を弾ませるような手の動きに突然昔のことを掘り返されて、俺は、あからさまに動揺した。あんなセックスをした後でこのセリフ。まさかさっきのことも全部復讐だったのか、と一瞬で血の気が引く。俺がコイツの人生終わらせる目的であんなことをしたのは事実だ。それなら俺を一番絶望させるタイミングで罪状を突きつけて手の平を返すのが、なにより俺へのダメージがデカい。少なくとも俺ならそうする。……それならコイツも同じことを考えてたって、なにも、おかしくない。
「だからぁ……」
「ッ──、」
鋭く光る瞳と開かれる唇に、俺は明確な恐怖と後悔を覚える。なんでコイツに、あんなひでぇことをしちまったんだろうって。その、どこまでも自然に浮かび上がってくる罪悪感は、俺にとってもうコイツの存在が今までとはまったくの別物になっちまった、どうしようもない証明だ。それを俺が否応なく実感すれば、甘い吐息を光は吐いて。
……俺の頬へ、キスをする。
「ンぅ♡だから♡一生──セキニン、とってもらうからな?♡」
「ッ──、……は、はぁあぁぁッ!?」
……でも、返ってくる言葉に、俺は別の意味で大声を張り上げる。
いやッ、いや、いや……ッ、な、なにっ、ナニ、言ってんだ、おまえ……ッ!?い、ぃッ、一生って、おまっ、おまえっ、意味ッ、わかってんのか……ッ!?
「あは♡すげーテンパってる♡」
「なっ、だっ、おまっ……!」
「でも、ダメ。わからせる、っつったじゃん?」
「な……ッ」
は?わからせる?
いやっ、俺はっ、もう、ぜんぶッ、わかってる、っての。
今更、なにを、わからせる、って…………。
「太。な。聞かして?」
「ッな……なに、を」
やたら真面目な表情と声色に、俺はこくりと唾を飲む。曖昧な質問を曖昧なまま、素直に問い返すしかない。そんな俺に柔らかく光は笑って。その真剣な雰囲気のまま、俺へ──問い掛けて、くる。
「オレのこと……スキ?」
「ッ……!!!!」
改めて訊かれる問いに、俺の覚悟はもうすっかり決まってたはずだった。……はずだったのに、なにもかも、「わかってた」はずだったのに、俺はもう一度絶句する。そしてそこで俺は「自分から」、その言葉を、一度も、光へ告げていなかったことに、気づく。
……つまりは。
……コイツは。
それを、問い質しているんだろう。
一生の責任。
それくらいの、俺がやったことへの、一番最後の、一番必要な答えを。
俺に、求めているんだろう。
「ッ───、」
そこで思う。
俺は思う。
ガチの、マジで、思う。
『どうしてこんなことになったんだよ』、って。
いやっ、いやッ、いや…………ッ!!!!!!!
マジでッ、なんでッ、こんなことになったんだッ!?俺はッ、ただっ、コイツが最低のクズ野郎だったから、身体でッ、わからせてやりたかっただけでッ、ただ、それだけで……ッ!だからこんなッ、こんなイキってるだけのヤンキーがッ、チンポにハマってッ、俺に懐いてッ、俺にくっついて回ってッ、ラブハメとかねだるようになってッ、こんなッ、こんなかわいい服まで自分から着るようになってッ、そっちからわからせるとか意味不明なこと言ってきてッ、俺のことッ、すッ、好きとかッ、そういうッ、そういう気持ちにッ、なるッ、とかッ、想定ッ、してるはずッ、当然ッ、なかったッ、わけで……ッ!!!
「太……」
「っ──…………、」
ああッ、なのにッ、クソッ、まじでッ、なんでッ、なんでッ、こんなッ、こんなッ、こんな顔でッ、こいつッ、俺のことッ、見つめてッ……!ああクソッ、かわいいッ、俺ッ、俺のことこんな好きなッ、こんなカッコ自分からするッ、こんなかわいいやつッ、ダメだろッ、無理だろッ、こんなんッ、マジでッ、オタクにはキツすぎるだろッ、こんなのッ、こんなのッ、こん、なのぉ……ッ!!!!!!
「なぁ。……すき?」
ああッ、もうッ、なんでッ、こんなッ、こんなッ、ああッ、ああもうッ、ああもぉ……ッ、ああ、ああッ、ああああぁぁぁぁぁッッッッ、もうッ!!!!!!!!!!!!
ダメ押しの一言に、もう俺は完全に追い詰められた顔で口を開く。軽率にとんでもない沼へ手を出して、無様にとんでもない沼へ堕ちた、恐らく、世界で、いちばん──バカで、幸福な、恰好の……獲物として。
「ッ──大好きだよ、バカ野郎ッ!!!!!!」
「あ?なんだよ……、ンっ」
抱きついた光が、俺を呼んでキスをする。
ようやく終わったセックスに、それでも光は俺と離れようとしない。ようやく俺も気づいたが、コイツは相当に甘えただ。キスにハグにその他諸々。でももう、それを可愛いとか思っちまうんだから、俺も一瞬で戻れないトコまで堕ちたんだと、実感する。
「ん、ぅ……ッ♡」
キスを離してこっちを覗き込む目は、さすがに少しは醒めている。ちゅ、と立つリップ音に、それでも愉しげに、光は俺の腹を、弄ぶように撫でていく。
「な、太?おまえがオレのカラダこんなにして、ジンセー終わらせたんだからな?ソコ、わかってっか?」
「な……ッ。い、いきなりっ、なんだよ……ッ?」
腹の肉を弾ませるような手の動きに突然昔のことを掘り返されて、俺は、あからさまに動揺した。あんなセックスをした後でこのセリフ。まさかさっきのことも全部復讐だったのか、と一瞬で血の気が引く。俺がコイツの人生終わらせる目的であんなことをしたのは事実だ。それなら俺を一番絶望させるタイミングで罪状を突きつけて手の平を返すのが、なにより俺へのダメージがデカい。少なくとも俺ならそうする。……それならコイツも同じことを考えてたって、なにも、おかしくない。
「だからぁ……」
「ッ──、」
鋭く光る瞳と開かれる唇に、俺は明確な恐怖と後悔を覚える。なんでコイツに、あんなひでぇことをしちまったんだろうって。その、どこまでも自然に浮かび上がってくる罪悪感は、俺にとってもうコイツの存在が今までとはまったくの別物になっちまった、どうしようもない証明だ。それを俺が否応なく実感すれば、甘い吐息を光は吐いて。
……俺の頬へ、キスをする。
「ンぅ♡だから♡一生──セキニン、とってもらうからな?♡」
「ッ──、……は、はぁあぁぁッ!?」
……でも、返ってくる言葉に、俺は別の意味で大声を張り上げる。
いやッ、いや、いや……ッ、な、なにっ、ナニ、言ってんだ、おまえ……ッ!?い、ぃッ、一生って、おまっ、おまえっ、意味ッ、わかってんのか……ッ!?
「あは♡すげーテンパってる♡」
「なっ、だっ、おまっ……!」
「でも、ダメ。わからせる、っつったじゃん?」
「な……ッ」
は?わからせる?
いやっ、俺はっ、もう、ぜんぶッ、わかってる、っての。
今更、なにを、わからせる、って…………。
「太。な。聞かして?」
「ッな……なに、を」
やたら真面目な表情と声色に、俺はこくりと唾を飲む。曖昧な質問を曖昧なまま、素直に問い返すしかない。そんな俺に柔らかく光は笑って。その真剣な雰囲気のまま、俺へ──問い掛けて、くる。
「オレのこと……スキ?」
「ッ……!!!!」
改めて訊かれる問いに、俺の覚悟はもうすっかり決まってたはずだった。……はずだったのに、なにもかも、「わかってた」はずだったのに、俺はもう一度絶句する。そしてそこで俺は「自分から」、その言葉を、一度も、光へ告げていなかったことに、気づく。
……つまりは。
……コイツは。
それを、問い質しているんだろう。
一生の責任。
それくらいの、俺がやったことへの、一番最後の、一番必要な答えを。
俺に、求めているんだろう。
「ッ───、」
そこで思う。
俺は思う。
ガチの、マジで、思う。
『どうしてこんなことになったんだよ』、って。
いやっ、いやッ、いや…………ッ!!!!!!!
マジでッ、なんでッ、こんなことになったんだッ!?俺はッ、ただっ、コイツが最低のクズ野郎だったから、身体でッ、わからせてやりたかっただけでッ、ただ、それだけで……ッ!だからこんなッ、こんなイキってるだけのヤンキーがッ、チンポにハマってッ、俺に懐いてッ、俺にくっついて回ってッ、ラブハメとかねだるようになってッ、こんなッ、こんなかわいい服まで自分から着るようになってッ、そっちからわからせるとか意味不明なこと言ってきてッ、俺のことッ、すッ、好きとかッ、そういうッ、そういう気持ちにッ、なるッ、とかッ、想定ッ、してるはずッ、当然ッ、なかったッ、わけで……ッ!!!
「太……」
「っ──…………、」
ああッ、なのにッ、クソッ、まじでッ、なんでッ、なんでッ、こんなッ、こんなッ、こんな顔でッ、こいつッ、俺のことッ、見つめてッ……!ああクソッ、かわいいッ、俺ッ、俺のことこんな好きなッ、こんなカッコ自分からするッ、こんなかわいいやつッ、ダメだろッ、無理だろッ、こんなんッ、マジでッ、オタクにはキツすぎるだろッ、こんなのッ、こんなのッ、こん、なのぉ……ッ!!!!!!
「なぁ。……すき?」
ああッ、もうッ、なんでッ、こんなッ、こんなッ、ああッ、ああもうッ、ああもぉ……ッ、ああ、ああッ、ああああぁぁぁぁぁッッッッ、もうッ!!!!!!!!!!!!
ダメ押しの一言に、もう俺は完全に追い詰められた顔で口を開く。軽率にとんでもない沼へ手を出して、無様にとんでもない沼へ堕ちた、恐らく、世界で、いちばん──バカで、幸福な、恰好の……獲物として。
「ッ──大好きだよ、バカ野郎ッ!!!!!!」
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