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第4章 Chorus
当日
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体育館には黒々と輝くピアノが置かれていた。何かを詰め込んだようなそれは、これから僕らの運命を左右するものの補助役とでも言うべきだろう。その役目はまさにピアノのペダルのようだ。
体育館のステージだけが照らされ、それ以外の場所は静けさと暗闇に包まれている。時々流れるアナウンスが、僕らの空間に緊張感を持たせた。
ついに、このときが来た。合唱祭。水瀬と出会うきっかけとなったこの行事は、僕にとってとても大事な行事となっている。
僕と水瀬のクラスは2番目と1番目だから、もう準備をしなくてはいけない。練習時間が他のクラスよりも少ないのは不安が残るところがあったが、大丈夫だと自分に言い聞かせた。水瀬がそう言ってくれたように。
歌を歌う前の列が動く。ぞろぞろと動く。僕もゆっくり歩き出す。目の前の列に目をやる。その列の中に、水瀬がいた。水瀬だ。向こうに行く前に、また「頑張ろう」と言おうか。そう思った。
体育館のステージだけが照らされ、それ以外の場所は静けさと暗闇に包まれている。時々流れるアナウンスが、僕らの空間に緊張感を持たせた。
ついに、このときが来た。合唱祭。水瀬と出会うきっかけとなったこの行事は、僕にとってとても大事な行事となっている。
僕と水瀬のクラスは2番目と1番目だから、もう準備をしなくてはいけない。練習時間が他のクラスよりも少ないのは不安が残るところがあったが、大丈夫だと自分に言い聞かせた。水瀬がそう言ってくれたように。
歌を歌う前の列が動く。ぞろぞろと動く。僕もゆっくり歩き出す。目の前の列に目をやる。その列の中に、水瀬がいた。水瀬だ。向こうに行く前に、また「頑張ろう」と言おうか。そう思った。
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