鍵盤上の踊り場の上で

第３章 Challenge

決断

「僕は喜んで引き受けます。…水瀬は、どう？」
僕は水瀬の方を見た。
水瀬は予想通りと言うべきか、目を輝かせていた。水瀬は不意に僕のことを見つめ、怪しげに笑った。何かを企んでいるような、そんな表情だ。きっと、僕らが考えていることは大体同じなはずだ。
「面白そう…！」
「じゃあ、水瀬さんもOKってことでいいかしら？」
「はい、もちろんですっ！」
勢いのある返事で、水瀬は了承した。立花先生はその様子を見て、安堵したようだった。
「じゃあその楽譜は2人にあげる。2人の演奏、楽しみにしてるね。応援してるから」
「はいっ！」
先生はそう言って教室を後にした。その後にはもう、僕らはピアノの前に座っていた。
やる気の入った僕らには、もう敵なんてない。そう思ってしまえば、隣にいる水瀬のことを意識してしまえば、楽譜を読み込む頭も上手く働くようになった。