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第2章 Disabled
告白
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水瀬の声は、最初は勢いがあったが、段々と消え入るようなものになっていた。僕と水瀬のいる空間に、また緊張が走る。けれど、僕は、何も言うことなく続きを待った。
きっと、言葉では伝えづらいことなのだろう。僕は口下手だからわかる。言葉で伝えようとすると、難しいことがあるのだ。感動や嬉しさを表すとき、どうしても「言葉が足りない」という感覚に陥るのだ。
きっと水瀬も今、そんな状態だ。たとえ、心から湧き出る感情は違ったとしても。
だから僕は待った。
水瀬の言葉を待った。
水瀬は、握りしめていたジャージの裾をたくしあげた。その行動が一瞬理解できなかったが、僕の目に映ったものは、信じられないものだった。
まさか。そんなはずない。
そう信じたいけれど、やはり現実は目の前にあった。目がくらむ。よろけてしまいそうになった。現実から目を逸らしたくなった。けれど、そうしようとする程に、その「事実」は僕の目に焼き付いて離れなかった。
きっと、言葉では伝えづらいことなのだろう。僕は口下手だからわかる。言葉で伝えようとすると、難しいことがあるのだ。感動や嬉しさを表すとき、どうしても「言葉が足りない」という感覚に陥るのだ。
きっと水瀬も今、そんな状態だ。たとえ、心から湧き出る感情は違ったとしても。
だから僕は待った。
水瀬の言葉を待った。
水瀬は、握りしめていたジャージの裾をたくしあげた。その行動が一瞬理解できなかったが、僕の目に映ったものは、信じられないものだった。
まさか。そんなはずない。
そう信じたいけれど、やはり現実は目の前にあった。目がくらむ。よろけてしまいそうになった。現実から目を逸らしたくなった。けれど、そうしようとする程に、その「事実」は僕の目に焼き付いて離れなかった。
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