鍵盤上の踊り場の上で

紗由紀

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第2章 Disabled

謝罪

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顔を上げた水瀬の表情は、今まで水瀬から見たことの無いものだった。いつもの明るさとはかけ離れた表情だった。何かと葛藤しているような、苦しさから逃れまいとするような、そんな表情だった。
水瀬は、ジャージの裾をギュッと握りしめた。その仕草に、僕の心臓は鷲掴みにされたように苦しくなった。
「さっきは、ごめんなさい」
何を言い出したかと思ったら、先程の出来事についての謝罪だった。恐らく、僕に対してきつくあたってしまったことへの。
「大丈夫。気にしてないよ」
僕がそう言うと、水瀬の瞳は力を抜いた。少し、場の空気が柔らかくなる。
気にしていないことは事実だったから、言葉はするりと出てきた。
でも、僕が気にしているのは、きっとそのことではない。
「…あのね、私っ…」
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