5 / 81
第1章 Encounter
はじめまして
しおりを挟む
「私のこと、知ってる?」
合唱祭の伴奏を一通り終えた後、彼女は聞いてきた。僕だってピアノのことで質問をしたかったのだけれど。
彼女の顔立ちを見る。
先程も感じたことだが、どこかで見たことはある気がする。けれど、それがどこでなのかはあまり思い出せない。
「…よくわからない」
「え、嘘ぉー!私、結構有名人なんだけどなー」
そう言ってぐずったように顔を俯かせた彼女の姿を見て、思わず笑いそうになった。こんなに表情が次々に変化する人と話すのは、初めてかもしれない。
「…名前、何て言うの?」
「あれ、言ってなかったっけ。澪。水瀬澪」
その名前を聞いても、僕はよくわからなかった。ただ、綺麗な響きだとは感じたけれど。
「聞いたことないな」
「えー!前に陸上大会で入賞してたんだけどなぁ…あ、君は?」
だから顔を見たことがあったのかと妙に納得した。
けれど、突然僕に話が回ってくるとは思わず、つかの間の沈黙が生まれてしまった。
「僕は、相原湊斗」
そうして自己紹介を交えつつ、僕は彼女について概ね知ることができた。
合唱祭の伴奏を一通り終えた後、彼女は聞いてきた。僕だってピアノのことで質問をしたかったのだけれど。
彼女の顔立ちを見る。
先程も感じたことだが、どこかで見たことはある気がする。けれど、それがどこでなのかはあまり思い出せない。
「…よくわからない」
「え、嘘ぉー!私、結構有名人なんだけどなー」
そう言ってぐずったように顔を俯かせた彼女の姿を見て、思わず笑いそうになった。こんなに表情が次々に変化する人と話すのは、初めてかもしれない。
「…名前、何て言うの?」
「あれ、言ってなかったっけ。澪。水瀬澪」
その名前を聞いても、僕はよくわからなかった。ただ、綺麗な響きだとは感じたけれど。
「聞いたことないな」
「えー!前に陸上大会で入賞してたんだけどなぁ…あ、君は?」
だから顔を見たことがあったのかと妙に納得した。
けれど、突然僕に話が回ってくるとは思わず、つかの間の沈黙が生まれてしまった。
「僕は、相原湊斗」
そうして自己紹介を交えつつ、僕は彼女について概ね知ることができた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
サンスポット【完結】
中畑 道
青春
校内一静で暗い場所に部室を構える竹ヶ鼻商店街歴史文化研究部。入学以来詳しい理由を聞かされることなく下校時刻まで部室で過ごすことを義務付けられた唯一の部員入間川息吹は、日課の筋トレ後ただ静かに時間が過ぎるのを待つ生活を一年以上続けていた。
そんな誰も寄り付かない部室を訪れた女生徒北条志摩子。彼女との出会いが切っ掛けで入間川は気付かされる。
この部の意義、自分が居る理由、そして、何をすべきかを。
※この物語は、全四章で構成されています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる