華と偽りの愛

ゆる

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第2章

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 第1セクション: リヴィオの提案

アヴェントがリヴィオ・カスターニアからの提案を受けてから数日が経過した。その間、彼女は迷いと葛藤を繰り返していた。名門ローゼリア伯爵家の令嬢として生きてきた彼女にとって、「商会で働く」という考えは前例のないことだった。貴族女性としての矜持がそれを許さない一方で、現状を打破するためには何かを変えなければならないという思いもあった。


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家族との衝突

その朝、アヴェントは決意を胸に秘め、父ヴィクトール伯爵の執務室を訪れた。重厚な扉をノックし、返事を待たずに扉を開ける。父は書類に目を通していたが、彼女が入ると眉をひそめた。

「何の用だ、アヴェント。」
父の低い声が冷たく響く。

「父上、少しお話したいことがございます。」
彼女は毅然とした態度で答えた。

「話なら後にしてくれ。今は忙しい。」
そう言いながらも、父の視線はアヴェントに向けられていた。その目には、婚約破棄以降、彼女に対する失望が色濃く残っている。

「大切なお話です。どうか、少しだけお時間をいただけませんか?」
アヴェントの声には、いつもと違う力強さがあった。その様子に父は一瞬驚いたが、ため息をついて書類を脇に置いた。

「話せ。」

アヴェントは静かに息を吸い込み、言葉を紡ぎ始めた。「私は、これから自分自身の力で生きていくために、新たな道を歩みたいと考えております。」

父の眉がさらに深く寄せられる。「新たな道だと?何を言っている?」

「リヴィオ・カスターニア様から、彼の商会に協力してほしいというお誘いを受けました。それをお受けしようと思っております。」

その言葉に、父の顔が瞬間的に硬直した。

「商会?お前が?貴族の令嬢が商売に関わるなど、聞いたこともない!家名に泥を塗るつもりか!」
父の声が執務室に響き渡る。アヴェントは一瞬たじろいだが、すぐに態度を立て直した。

「父上、家名のために生きることが私の全てではありません。私はこれまで家の期待に応えようと努めてきましたが、それでは自分自身を見失ってしまうだけです。」

「見失う?お前が見失ったのは婚約破棄されたあの日だ!お前の責任を忘れたのか!」

「忘れておりません。ただ、あの日をきっかけに、私がただの飾りではないことを証明したいのです。」
アヴェントの言葉には揺るぎない意志が込められていた。彼女の強さに一瞬言葉を失った父だったが、すぐに冷静さを取り戻し、低く呟いた。

「勝手にしろ。ただし、家の名を汚すことは許さん。それだけは覚えておけ。」

アヴェントはその言葉を受け、深く頭を下げた。父の承諾を得たわけではないが、これ以上反対されることもないと判断し、静かに執務室を後にした。


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リヴィオとの再会

その日の午後、アヴェントはリヴィオの商会を訪れた。華やかな社交界の会場とは対照的に、商会の建物は実用的で無駄のないデザインだった。中に入ると、賑やかな声や足音が響き渡り、活気に満ちていた。アヴェントはその雰囲気に少し驚きつつも、リヴィオが待つ応接室へと通された。

「お越しいただき、ありがとうございます、アヴェント様。」
リヴィオは優雅に一礼し、彼女を迎えた。その顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。

「お招きいただき、感謝いたします。」
アヴェントもまた礼を返したが、その表情には少しの緊張が見て取れた。

「先日お話しした件、考えていただけましたか?」

「はい。私でお役に立てるのであれば、ぜひお力添えさせていただきたいと思います。」
アヴェントの言葉に、リヴィオは満足げに頷いた。

「ありがとうございます。では、早速ですが、最初にお願いしたいことがあります。」

リヴィオは机の上に広げられた書類を示しながら説明を始めた。それは、新しい取引先との契約についての文書だった。アヴェントの知識や社交界での経験を活かし、契約内容の精査や交渉に参加してほしいという依頼だった。

「あなたの鋭い目と判断力が必要です。これまでの経験がきっと役立つはずです。」

アヴェントは書類に目を通しながら、深く頷いた。これまで社交界で培った知識や人脈を使えば、確かに彼の期待に応えることができるかもしれない。

「分かりました。精一杯務めさせていただきます。」

リヴィオの商会での初仕事が決まり、アヴェントの心には新たな希望が生まれつつあった。


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自分を取り戻すための一歩

商会からの帰り道、アヴェントは馬車の中で窓の外を眺めていた。街の賑わいを見ながら、自分がこれまで生きてきた世界とは全く異なる活気を感じていた。

「これが、私の新しい道……」
彼女は小さく呟いた。その声には、これまでにない力強さが込められていた。

家族からの反対や、社交界での孤立という困難を乗り越え、アヴェントはようやく新しい一歩を踏み出した。これまでの自分を否定するのではなく、積み上げてきたものを活かしながら、新しい未来を切り開くための一歩だった。

第2セクション: 自立の一歩

アヴェントがリヴィオ・カスターニアの商会で働き始めてから、数日が経った。これまで貴族令嬢としての日々を送ってきた彼女にとって、商会での仕事は新鮮でありながら、戸惑いの連続でもあった。しかし、自分自身の力で何かを成し遂げるという感覚は、彼女の胸に小さな希望を灯していた。


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商会での最初の仕事

「アヴェント様、こちらが今回の契約書の内容です。」
リヴィオの補佐を務める若い女性、ミリアナが丁寧に書類を差し出した。それは商会が新しく取引を始める予定の他国の商人との契約についての資料だった。

「ありがとうございます。早速拝見させていただきます。」
アヴェントは書類を受け取り、静かに目を通し始めた。その目は真剣そのもので、まるで社交界で舞踏会の準備をする際に細部まで確認していた頃を思い出させる。

契約書には、取引条件や支払い方法、商品の引き渡しに関する詳細が記されていた。しかし、アヴェントはすぐにある矛盾点に気づいた。

「ミリアナ、この部分ですが、条件が少し不利に見えます。取引相手にもう少し譲歩を求めるべきではないでしょうか?」
アヴェントは契約書の一文を指差しながら問いかけた。

「なるほど……確かにそうですね。ですが、彼らはかなり強硬な態度を示しており、譲歩を引き出すのは難しいかもしれません。」

「それなら、こちらから別の条件を提示してみるのはどうでしょう。例えば、この部分を修正する代わりに、納期を柔軟にするという提案です。」
アヴェントの提案に、ミリアナは目を見開いた。

「その発想は素晴らしいですね!リヴィオ様にも提案してみましょう。」


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新しい人間関係

その日の午後、リヴィオに提案を伝えると、彼は満足げに頷いた。「素晴らしい視点です。あなたのような知識と洞察力を持った方がいてくれるのは心強い。」

彼の言葉に、アヴェントは内心少しだけ誇らしく感じた。商会での働きが認められたという実感が、これまでの孤独や屈辱を少しずつ癒していくようだった。

一方で、商会の他の従業員たちとの関係も少しずつ変化していた。最初は貴族令嬢が働くことへの戸惑いや不信感が見られたが、アヴェントが真剣に仕事に取り組む姿を見て、彼らも次第に心を開き始めた。

「アヴェント様、こちらの計算で少しミスをしてしまったようで……」
ある日、若い商人が恐る恐る声をかけてきた。

「見せてください。一緒に確認しましょう。」
アヴェントはその問題に即座に対応し、冷静にアドバイスを送った。その姿に彼は安堵し、感謝の言葉を口にした。

こうした小さなやり取りの積み重ねが、彼女の新しい人間関係を築く基盤となっていった。


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家族の視線

しかし、アヴェントが商会で働き始めたことに対する家族の視線は依然として冷たいものだった。特に父ヴィクトール伯爵は、彼女の行動を認めようとはしなかった。

「アヴェント、お前はまだそんなことを続けているのか?」
ある日の夕食時、父が苛立ちを隠さずに口を開いた。

「はい、父上。商会での仕事は順調です。」
アヴェントは毅然とした態度で答えた。

「順調だと?それが家の名誉に何の役に立つのだ?」

「家の名誉も大切ですが、私自身の誇りも同じくらい大切です。」
彼女の言葉に、父は苦々しい表情を浮かべたが、それ以上何も言わなかった。

母クラリッサはただ静かにそのやり取りを見守っていたが、その瞳にはわずかな不安が宿っていた。


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初めての達成感

数週間後、アヴェントが最初に担当した契約が正式に成立したという知らせが商会に届いた。その知らせを受けた瞬間、アヴェントはこれまで感じたことのない達成感を覚えた。

「アヴェント様、今回の契約が成功したのはあなたのおかげです。」
ミリアナが嬉しそうに報告してくれた。

「いいえ、皆さんが支えてくださったからこそです。」
アヴェントは控えめに答えたが、その表情には自信が漂っていた。

リヴィオもまた、彼女に感謝の言葉を述べた。「あなたがいなければ、ここまでうまく進まなかったでしょう。本当に助かりました。」

その言葉に、アヴェントは心の中で小さく微笑んだ。自分の力で何かを成し遂げることができたという喜びは、これまで感じたことのないものだった。


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新しい未来への希望

その夜、アヴェントは窓から星空を見上げながら、自分の心の中に芽生えた新しい感情を噛み締めていた。それは、未来への希望だった。

「私は、この道を歩み続けるべきなのだわ。」
小さく呟いた言葉には、決意と自信が込められていた。

ローゼリア家の令嬢としての過去を背負いながらも、アヴェントは新しい未来を切り開くための第一歩を確かに踏み出したの第3セクション: クラウスとセシリアの問題

アヴェントがリヴィオの商会で働き始めてしばらく経った頃、社交界ではある噂が急速に広まりつつあった。かつての婚約者であるクラウス・エリオット公爵家の嫡男と、彼の新たな婚約者セシリア・オルディナの関係が不穏だという話だった。


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社交界の新たな噂

「アヴェント様、最近こんな話をご存じですか?」
商会での業務が終わりかけた頃、補佐のミリアナが話しかけてきた。

「どんな話ですの?」
アヴェントは書類から目を離し、ミリアナの方を向いた。

「エリオット公爵家のクラウス様と、セシリア様の関係がぎくしゃくしているらしいのです。どうやらセシリア様が、少し問題のある行動を取っているとか……」

「問題のある行動?」
アヴェントは眉をひそめた。興味がないとは言えない内容だったが、婚約破棄された身としては深入りしたくないとも感じていた。

「はい。取引先の間でも噂になっていますよ。セシリア様が、公爵家の資金を無断で使い始めたとか、それに関係者に対して無礼な態度を取っているとか。」

ミリアナの言葉に、アヴェントは心の中で軽い驚きを覚えた。セシリアはクラウスと婚約した直後、周囲にその魅力をアピールし、クラウスにふさわしい令嬢として評価を集めていた。しかし、それが偽りの姿である可能性が高いと聞いて、複雑な思いが胸に広がった。


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噂の裏側

その後、別の商会の担当者との会話の中でも、似たような話を耳にした。

「どうやら、セシリア様は自分を中心に据えた新しい舞踏会を計画しているようです。しかも、その費用を全て公爵家の資金で賄うと……。」
担当者の一言に、アヴェントは思わず息を呑んだ。

「公爵家がそれを許すとは思えませんが……」
アヴェントは慎重に言葉を選びながら答えた。

「許すどころか、クラウス様が頭を抱えているという話です。どうやら彼女の勢いに押されて、なかなか反論できないらしいですよ。」

その言葉を聞いたアヴェントは、心の奥でわずかな満足感を覚えた。それは、クラウスが自ら選んだ相手によって苦境に立たされているという事実からくるものだった。しかし、それを表に出すことはせず、あくまで冷静を装った。


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思わぬ再会

そんなある日のことだった。アヴェントが商会の仕事でとある社交の場に出席していると、予想外の人物と再会することになった。それはクラウス本人だった。

「アヴェント……。」
クラウスの声が聞こえた瞬間、彼女は振り返り、視線が交差した。クラウスの顔には疲労の色が浮かんでおり、かつての余裕に満ちた表情とは全く異なっていた。

「クラウス様。お久しぶりです。」
アヴェントは冷静に微笑みを浮かべ、礼儀正しく挨拶した。

「君がここにいるとは思わなかった。」
クラウスは驚きを隠せない様子だった。彼にとって、アヴェントが商会で働き、貴族令嬢としての地位を捨てる道を選んだことは想像できないことだったのだろう。

「私は現在、商会で仕事をしております。公爵家とはもう関係がありませんので、ご安心ください。」
アヴェントの言葉には皮肉が込められていたが、クラウスはその意図に気づく様子もなく、彼女をじっと見つめていた。

「そうか……。君がこんな形で新しい道を歩んでいるとは思わなかった。」
クラウスの声にはどこか未練が感じられた。

「何かご用でしょうか?お忙しいようでしたら、私はこれで失礼いたします。」
アヴェントは毅然とした態度で言い、立ち去ろうとした。

「待ってくれ!」
クラウスが彼女を引き止めた。その声は焦りと困惑が入り混じっていた。

「……まだ何かお話が?」
アヴェントは立ち止まり、彼に向き直った。

「……いや、何でもない。君が元気そうで何よりだ。」
クラウスは目を逸らし、何かを言いかけて口を閉じた。

アヴェントはその姿を冷静に見つめながら、小さく微笑んだ。「では、失礼します。」

彼女が去っていく背中を見送りながら、クラウスは何か言葉にできない感情を抱いていた。


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選んだ道の結果

その夜、アヴェントは自室で窓の外を眺めながら考え込んでいた。クラウスとの再会は彼女の心に多少の波紋を呼んだが、同時に一つの確信を与えた。

彼女は自分が正しい道を歩んでいるという実感を得ていた。クラウスが自ら選んだセシリアとの関係がどれほど不安定であろうと、彼女にはもう関係のないことだった。

「過去に縛られるのは、もうやめましょう。」
アヴェントは小さく呟き、自分自身にそう誓った。

セシリアの問題が社交界で広まるにつれ、クラウスへの評価も少しずつ低下していくのを彼女は感じていた。それは、彼が自ら選んだ結果であり、アヴェントの手が届く範囲を超えた問題だった。

だが、その一方で、彼女の心の中には新しい希望が芽生えつつあった。リヴィオや商会での仕事、そして自分自身の成長。それらが彼女を新しい未来へと導いているのを実感していた。


第4セクション: 初めての笑顔

商会での生活に慣れ始めた頃、アヴェントは少しずつ自分自身の変化に気づき始めていた。婚約破棄による屈辱や孤立から始まった新しい生活は、彼女にとって未知の挑戦の連続だったが、その一歩一歩が彼女を強くし、自信を取り戻させていた。


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成功の連鎖

リヴィオの商会での仕事に本格的に取り組む中、アヴェントは新たな契約や商談の場で成果を上げるようになっていた。彼女の持つ洞察力と、社交界で培った交渉術は商会に大きな利益をもたらしていた。

「アヴェント様、また新しい契約が成立しましたよ!」
補佐のミリアナが嬉しそうに報告してくれるたびに、アヴェントの心には小さな達成感が芽生えた。

「素晴らしいわ、ミリアナ。皆さんのおかげです。」
アヴェントは控えめに感謝を述べたが、その表情には満足げな微笑みが浮かんでいた。

ある日、リヴィオが商会全体を集めて新しい契約の成功を祝う場を設けた。そこにはアヴェントの功績を讃える言葉も含まれており、彼女は初めて多くの人々から拍手を受ける経験をした。

「あなたの努力がこの商会に新しい風を吹き込んでくれています。本当に感謝しています。」
リヴィオの言葉に、アヴェントは胸が熱くなるのを感じた。

彼女はこれまでの生活では得られなかった「自分の力で認められる」という感覚に、初めて心からの喜びを覚えた。


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久々の訪問者

そんなある日の午後、アヴェントの元に意外な訪問者が現れた。それは、かつての親友だったレティシア・フェルナンドだった。婚約破棄の後、彼女との関係も疎遠になっていたため、その突然の訪問に驚きを隠せなかった。

「アヴェント、ごきげんよう。突然訪ねてごめんなさいね。」
レティシアは少し申し訳なさそうな顔で微笑んだ。

「ごきげんよう、レティシア。久しぶりですわ。」
アヴェントは冷静に答えたが、心の中では警戒心が湧いていた。

「あなたが商会で働いていると聞いて驚いたの。でも、今のあなたを見て本当に安心したわ。とても生き生きとしているもの。」

その言葉に、アヴェントはわずかに表情を緩めた。かつての友人からの素直な言葉に、少しだけ心が軽くなったような気がした。

「ありがとう、レティシア。いろいろあったけれど、今の私は新しい目標を見つけて前を向いているの。」

レティシアはその言葉に頷き、「また昔のように話せる日が来たら嬉しいわ」と伝えて帰っていった。アヴェントは彼女を見送りながら、心の中で複雑な感情が渦巻くのを感じた。それでも、過去に背を向けずに一歩踏み出せる自分に少しだけ誇りを抱いていた。


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かけがえのない笑顔

その夜、リヴィオが商会の庭で開いた小さな茶会にアヴェントも招かれた。彼は疲れた従業員たちを労うために開いたもので、アヴェントも久しぶりに仕事から解放され、穏やかな時間を過ごしていた。

庭には満天の星空が広がり、花々が夜風に揺れている。リヴィオが彼女にそっとカップを差し出した。

「今日のあなたは、特に素晴らしかった。新しい契約の条件を提示する場面では、私も思わず感心してしまいましたよ。」
リヴィオは穏やかな笑顔を浮かべながら言った。

「ありがとうございます。リヴィオ様が信頼してくださったおかげです。」
アヴェントもまた、微笑みながら答えた。

しばらくして、彼がふと真面目な表情で尋ねてきた。「アヴェント様、もし失礼でなければ、これまでに一番嬉しかった瞬間を教えていただけますか?」

その質問に、アヴェントは少し考え込んだ。かつての生活では、嬉しいことはたくさんあったはずだ。しかし、それは本当に自分自身が喜びを感じた瞬間だったのか、今の彼女にははっきりしなかった。

「正直に言うと、ここでの生活が始まってからだと思いますわ。」
アヴェントはそう答えながら、小さな笑顔を浮かべた。

「自分の力で何かを成し遂げることができたという感覚、それがどれほど心を満たしてくれるものなのか、ここに来るまで知りませんでした。」

リヴィオはその答えに静かに頷き、「その笑顔を見られて嬉しいです」とだけ言った。その言葉に、アヴェントの心は穏やかに満たされていくのを感じた。


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新たな決意

その夜、アヴェントは自室の窓辺に座り、星空を見上げながら考えた。ここに来るまでの道のりは決して平坦ではなかったが、今では過去の自分よりも強くなれているという実感があった。

「私はまだ道の途中。これからもっと成長して、自分の未来を切り開いていかなければならない。」

彼女の青い瞳には新たな決意の光が宿っていた。クラウスとの過去や社交界での孤立に囚われることなく、自分自身の力で未来を築くという目標が、彼女を前に進ませていた。

その決意

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