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第四章「騎士団編」
第百五十二話「勇者の杖作り」
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俺達は談話室でエミリアの杖作りを始めた。まずは素材のミスリルを溶かし、先端にはブルーサファイアを取り付ける。エミリアが最初に覚える属性は火だ。火の魔力を高めるために、ヘルファイアのエンチャントを掛けた方が良いだろう。ヘルファイアの魔力をブルーサファイアに閉じ込めればエミリアの炎力を引き出す役割を果たすだろう。
「シャーロット! サシャが杖を作るよ!」
シルフとシャーロットは談話室のソファに座り、俺の杖作りを見学している。シルフはソファに座りながら、しきりに俺がプレゼントしたリボンを嬉しそうに触っている。そんなシルフを見ていると心が高鳴る。もし、自分に娘が居たらこんな感覚なんだろうな。小さくて幼いシルフが喜ぶ事なら何でもしてあげたい。
さて、早速杖を作ろう。まずはヘルファイアでミスリルのインゴットを溶かす。俺は右手に強力な炎を作り出す事にした。魔法を唱えて右手から炎を出す。次に左手に持ったインゴットを宙に投げる。宙に浮いたインゴットにヘルファイアを放って金属を溶かす。最後に溶けた金属に対してクラフトの魔法を使用すれば形作りは完成だ。俺は頭の中でエミリアのための強力な杖を想像した。エミリアの命を守り、アルテミシアの民を守る杖……。
クラフトの魔法を唱えると、液体状の金属が一瞬で杖に変化した。杖の先端にブルーサファイアをはめ込むと形作りは完成だ。宙に浮く杖を手に取ると、エンチャントを掛けていない状態でも十分に強力な魔力を感じた。
杖は約三十センチ。先端には拳よりも小さいブルーサファイアが嵌っている。心地よい重量感があり、子供でも大人でも使いやすい大きさだ。最後にエンチャントを掛ければ完成だ。右手に杖を持った状態で炎を発生させる事にした。杖の先端の石に強力な炎を流し込んで封じ込める。
杖は一瞬で強力な炎に包まれてると、炎はブルーサファイアの中に吸収された。石の中には僅かに炎が燃えている様子が確認できる。ブルーサファイアの中でも俺の魔力から作り出された炎が生きているみたいだ。
シャーロットとシルフは杖の完成を喜んだ。俺はこの杖を「業火の杖」と名付けた。最高の出来と言っても過言ではない。今までで作った装備の中で一番上手に作れた気がする。
ついでに余ったミスリルで仲間の装備と装飾品でも作るとしよう。クラフトの感覚が研ぎ澄まされた今なら、更に良いアイテムを作り出せるような気がする。俺は装備と装飾品が必要な仲間が居ないか確認する事にした。
まず、装飾品を装備していないのは、アイリーンとシルフ、それからワイバーンにユニコーンだ。ワイバーンとユニコーンは装飾品は必要ないだろう。アイリーンとシルフのために腕輪か指環を作ろう。
それから、確か以前アイリーンが『あたしは槍も得意だけど斧も得意なの。斧が欲しいの……』と言っていたな。アイリーンが斧を使うところは一度も見た事が無い木がする。使いやすそうな軽くて丈夫な斧を作ってあげよう。
「シルフ、指環か腕輪、どっちが欲しい?」
俺がシルフに尋ねると嬉しそうに返事をした。
「指環か腕輪……どっちがいいかな。腕輪にしようかな!」
シルフは腕輪をお望みのようだ。よし、アイリーンとシルフのための装備を作ろう。アイリーンには攻撃速度が上昇する腕輪と斧を、シルフには魔法の効果が上昇する腕輪を作ろう。俺はさっきと全く同じ流れで腕輪を作り上げた。「神風の腕輪」「神風の斧」「霊力の腕輪」の完成だ。
「シルフ、腕を出してごらん」
俺はシルフの小さな腕に霊力の腕輪をはめた。
「ピカピカしていて綺麗……」
ミスリル製の腕輪は光を反射し、金属の持つ美しさを感じさせる。よし、今日のクラフトはこれで終わり!
「サシャ、これからどうするの?」
シャーロットはソファの上でくつろぎながら俺に聞いた。さて、今は大体昼頃だろうか、朝早くから出かけていたから今日は時間が長く感じる。ブレンダさん買った炎の魔法に関する本を読んで、どんな魔法を教えるか考えなければならない。
それから、ガーディアンの召喚についても研究する必要がある。シャルロッテさんが居れば直接教われるのに……。本を読みながら自分なりにガーディアンを作り出すしかないだろう。
「シャーロット、シルフ、今日はお休みだよ! 俺はここでする事が有るから、好きに遊んでいても良いよ!」
「やった! シャーロット! 一緒に遊ぼう!」
シルフとシャーロットは久しぶりの休みを子供のように喜んだ。そういえば、シャーロットとシルフは生まれてからずっと危険な旅をし、戦い続けていた。俺みたいに十五歳までのんびり小さな村で生活してた人間では想像も出来ない様な人生を彼女達は過ごしてきた。たまに休ませてあげる事も大切だろう。働き続けるために生まれてきた訳ではない。
談話室の中で無邪気にはしゃぐシャーロットとシルフを見ていると、精神はまだまだ子供だという事を実感する。見た目は完璧に成熟しているシャーロットも、精神面はまだ充実していない。戦う事だけを教えるよりも、人との関わりを学んだり、世界の事を教えたりしなければならない。
そのためには今回の復興の手伝いは良い機会だ。俺も自分の力を使ってアルテミス王国のためになる事をしよう……。エミリアに魔法を教える事も、将来的には王国のためになる事だが、今必要なのは復興のための修復作業や、傷ついた人の心を癒す事。自分に何が出来るか、今一度確認した方が良いだろうな。
俺はブレンダさんから買った本を開いた。さて、始めるか。まずはエミリアに教える炎の魔法について学ぼう。
「シャーロット! サシャが杖を作るよ!」
シルフとシャーロットは談話室のソファに座り、俺の杖作りを見学している。シルフはソファに座りながら、しきりに俺がプレゼントしたリボンを嬉しそうに触っている。そんなシルフを見ていると心が高鳴る。もし、自分に娘が居たらこんな感覚なんだろうな。小さくて幼いシルフが喜ぶ事なら何でもしてあげたい。
さて、早速杖を作ろう。まずはヘルファイアでミスリルのインゴットを溶かす。俺は右手に強力な炎を作り出す事にした。魔法を唱えて右手から炎を出す。次に左手に持ったインゴットを宙に投げる。宙に浮いたインゴットにヘルファイアを放って金属を溶かす。最後に溶けた金属に対してクラフトの魔法を使用すれば形作りは完成だ。俺は頭の中でエミリアのための強力な杖を想像した。エミリアの命を守り、アルテミシアの民を守る杖……。
クラフトの魔法を唱えると、液体状の金属が一瞬で杖に変化した。杖の先端にブルーサファイアをはめ込むと形作りは完成だ。宙に浮く杖を手に取ると、エンチャントを掛けていない状態でも十分に強力な魔力を感じた。
杖は約三十センチ。先端には拳よりも小さいブルーサファイアが嵌っている。心地よい重量感があり、子供でも大人でも使いやすい大きさだ。最後にエンチャントを掛ければ完成だ。右手に杖を持った状態で炎を発生させる事にした。杖の先端の石に強力な炎を流し込んで封じ込める。
杖は一瞬で強力な炎に包まれてると、炎はブルーサファイアの中に吸収された。石の中には僅かに炎が燃えている様子が確認できる。ブルーサファイアの中でも俺の魔力から作り出された炎が生きているみたいだ。
シャーロットとシルフは杖の完成を喜んだ。俺はこの杖を「業火の杖」と名付けた。最高の出来と言っても過言ではない。今までで作った装備の中で一番上手に作れた気がする。
ついでに余ったミスリルで仲間の装備と装飾品でも作るとしよう。クラフトの感覚が研ぎ澄まされた今なら、更に良いアイテムを作り出せるような気がする。俺は装備と装飾品が必要な仲間が居ないか確認する事にした。
まず、装飾品を装備していないのは、アイリーンとシルフ、それからワイバーンにユニコーンだ。ワイバーンとユニコーンは装飾品は必要ないだろう。アイリーンとシルフのために腕輪か指環を作ろう。
それから、確か以前アイリーンが『あたしは槍も得意だけど斧も得意なの。斧が欲しいの……』と言っていたな。アイリーンが斧を使うところは一度も見た事が無い木がする。使いやすそうな軽くて丈夫な斧を作ってあげよう。
「シルフ、指環か腕輪、どっちが欲しい?」
俺がシルフに尋ねると嬉しそうに返事をした。
「指環か腕輪……どっちがいいかな。腕輪にしようかな!」
シルフは腕輪をお望みのようだ。よし、アイリーンとシルフのための装備を作ろう。アイリーンには攻撃速度が上昇する腕輪と斧を、シルフには魔法の効果が上昇する腕輪を作ろう。俺はさっきと全く同じ流れで腕輪を作り上げた。「神風の腕輪」「神風の斧」「霊力の腕輪」の完成だ。
「シルフ、腕を出してごらん」
俺はシルフの小さな腕に霊力の腕輪をはめた。
「ピカピカしていて綺麗……」
ミスリル製の腕輪は光を反射し、金属の持つ美しさを感じさせる。よし、今日のクラフトはこれで終わり!
「サシャ、これからどうするの?」
シャーロットはソファの上でくつろぎながら俺に聞いた。さて、今は大体昼頃だろうか、朝早くから出かけていたから今日は時間が長く感じる。ブレンダさん買った炎の魔法に関する本を読んで、どんな魔法を教えるか考えなければならない。
それから、ガーディアンの召喚についても研究する必要がある。シャルロッテさんが居れば直接教われるのに……。本を読みながら自分なりにガーディアンを作り出すしかないだろう。
「シャーロット、シルフ、今日はお休みだよ! 俺はここでする事が有るから、好きに遊んでいても良いよ!」
「やった! シャーロット! 一緒に遊ぼう!」
シルフとシャーロットは久しぶりの休みを子供のように喜んだ。そういえば、シャーロットとシルフは生まれてからずっと危険な旅をし、戦い続けていた。俺みたいに十五歳までのんびり小さな村で生活してた人間では想像も出来ない様な人生を彼女達は過ごしてきた。たまに休ませてあげる事も大切だろう。働き続けるために生まれてきた訳ではない。
談話室の中で無邪気にはしゃぐシャーロットとシルフを見ていると、精神はまだまだ子供だという事を実感する。見た目は完璧に成熟しているシャーロットも、精神面はまだ充実していない。戦う事だけを教えるよりも、人との関わりを学んだり、世界の事を教えたりしなければならない。
そのためには今回の復興の手伝いは良い機会だ。俺も自分の力を使ってアルテミス王国のためになる事をしよう……。エミリアに魔法を教える事も、将来的には王国のためになる事だが、今必要なのは復興のための修復作業や、傷ついた人の心を癒す事。自分に何が出来るか、今一度確認した方が良いだろうな。
俺はブレンダさんから買った本を開いた。さて、始めるか。まずはエミリアに教える炎の魔法について学ぼう。
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