召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第九十一話「宴の準備」

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 エドガーは巨大な酒樽を抱えている。やはりドワーフという種族は力が強いのだろう。それに、人間と比べても寿命が長い様だ。クーデルカが生まれる前の時代の戦士長、デュラハンと共にパーティーを組んでいたのだからな。

「サシャ! 宴なんだってな。俺を呼んでくれてありがとうよ! 海賊に宴が嫌いな奴は居ない!」
「そうじゃないかと思ったんだよ。来てくれてありがとう」
「こいつは海で出会った海賊から奪い取った葡萄酒だ。皆で飲んでくれ」
「奪い取った葡萄酒か……」
「ああ! 今日の宴には肉が足りんようだな。昨日仕留めた獲物を持ってくるとしよう」

 エドガーは再びギルドを出ると、アイリーンが戻ってきた。ゲルストナーとクリスタルはヘルハウンドを見て嬉しそうに喜んでいる。彼等は希少な魔物が大好きだからな。キングは召喚士達と協力してサラダを盛り付けている。意外と手先は器用で、楽しんで宴の準備をしている。

「師匠! 幻獣の召喚に成功したんですね! 凄いです!」
「ああ。なんとか召喚できたよ」
「流石私の師匠です!」

 クリスタルは俺に抱きついてきた。しっかりと手入れされた美しい青色の髪を撫でる。ゲルストナーはヘルハウンドを抱き上げると、アルベルトさん顔負けの喜び方をした。

「これがヘルハウンドか! 一度見てみたいと思っていたんだ!」
「イヌ……カワイイ……」
「キング、こいつはただの犬じゃないぞ。強い炎を扱う幻獣だからな!」

 アルベルトさんはキングの姿を見ると、キングの手を握って微笑んだ。どうやら彼はキングに会いたかったらしい。幻魔獣のスケルトンキングは普通に生きていて出会える魔物ではないからな。

「あなたがキング様ですか! ずっとお会いしたかったです!」
「ヨロシク……」
「こちらこそ宜しくお願いします!」

 キングもアルベルトさんと知り合えて嬉しそうだ。宴の準備を進めていると、エドガーが巨大な魔物を担いで戻ってきた。この人のやる事は全てが大胆だ。白い毛に包まれた狼の様な魔物だ。

「誰かこいつを調理してくれないか? 皮が硬いから力が強い男じゃなきゃ無理だろうが」
「それなら俺がやろう。クリスタルも手伝ってくれるかな?」
「わかりました!」

 ゲルストナーが調理役を買って出た。助手はクリスタルのようだ。ゲルストナーは調理用のナイフを取り出すと、威力を弱めたスラッシュを次々と放って肉を解体した。召喚士達はゲルストナーの強引すぎる料理を唖然として表情を浮かべた……。
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