76 / 188
第二章「王国を目指して」
第七十六話「ルナとアイリーンの稽古」
しおりを挟む
俺とクリスタルはアースウォールの練習を終えて土の家の中に入った。ルナの隣に座ると、ルナは俺に料理を渡してくれた。料理を頂きながら、葡萄酒を一杯飲む。やはり仲間と過ごす夜の時間は幸せだ。訓練がどれだけ辛くても、仲間の笑顔を見れば更に努力をしようと思える。
「師匠、アースウォールの魔法って楽しいですね! 私も早く土の家を作りたいです!」
「そうだね。きっとすぐに土の家を作れるようになると思うよ」
「それなら良いんですけど、魔力の消費が激しいので、あまり長時間練習出来ませんね」
「確かにね。あまり無理をせずに頑張るんだよ」
「はい! 時間を掛けて学ぶつもりです」
クリスタルは良い弟子だ。俺のアドバイスをよく聞き、真剣に魔法の練習の取り組む。早く魔物を召喚させてあげたいが、王国に着いて生活が落ち着くまでは、新たな仲間を増やす事は出来ない。
ゲルストナーはゴブレットに注いだ葡萄酒を豪快に飲みながら、剣の手入れをしている。お酒と武器が似合う大人の男だ。俺も彼の様な大人になりたいと思っている。
「ゲルストナーはいつから戦士をしていたんだい?」
「俺が剣を持ったのは十二の頃だったかな。戦士だった父から剣の手ほどきを受けて、十五の時に冒険者になった。それから戦士として戦い続けた。魔法動物の店を開くまでは、クエストを受けて生計を立てていたよ」
「そうだったんだね。ゲルストナーの戦士時代か……きっと今よりも強かったんだろうね」
「若かったからな。力は若い頃の方が強かったが、魔力なら今の俺の方が上だ」
ゲルストナーは最近、毎朝剣の稽古と筋力のトレーニングを行っている。冒険者時代の体を取り戻すと言っているが、ゲルストナーは今でも素晴らしい肉体を持っている。俺も冒険の旅に出てから毎日鍛えているが、やはりゲルストナーの肉体には敵わない。
「アイリーン。食後の運動をしよう!」
「わかったの」
ルナは夕飯を食べ終えると、アイリーンを誘った。剣の稽古を始めるのだろうか。騎士団でまともにルナの剣を受けられるのはアイリーンしか居ないからな。一撃の剣の威力では俺の方が勝るだろうが、ルナの高速の剣は俺の技術では防げない。生まれ持った才能が違うのだろう。そもそも、ルナは人間ではなくハーピーだからな。
ルナとアイリーンの激しすぎる打ち合いを家の中から眺める。ルナはレイピアでの突きを放つが、アイリーンはルナの剣を槍で受け流すと、すぐに突きを放って反撃する。人間を凌駕する身体能力を持っているのだろうか、アイリーンはルナの剣をいとも簡単に回避し、瞬時に槍での強烈な突きを放つ。ルナはアイリーンの攻撃が避けられないと思ったのか、翼を開いて上空に飛び上がると、アイリーンは悔しそうにルナを見つめた。
流石のアイリーンも、空を飛ぶ相手には攻撃する手段が無いのだろう。魔物との戦闘では、極稀に槍を投げる事もあるが、訓練では威力が高すぎて使えない。ルナは上空から次々と風の刃を飛ばすと、アイリーンはルナの魔法を切り裂いた。戦いのレベルがあまりにも高すぎる……。
「師匠、アースウォールの魔法って楽しいですね! 私も早く土の家を作りたいです!」
「そうだね。きっとすぐに土の家を作れるようになると思うよ」
「それなら良いんですけど、魔力の消費が激しいので、あまり長時間練習出来ませんね」
「確かにね。あまり無理をせずに頑張るんだよ」
「はい! 時間を掛けて学ぶつもりです」
クリスタルは良い弟子だ。俺のアドバイスをよく聞き、真剣に魔法の練習の取り組む。早く魔物を召喚させてあげたいが、王国に着いて生活が落ち着くまでは、新たな仲間を増やす事は出来ない。
ゲルストナーはゴブレットに注いだ葡萄酒を豪快に飲みながら、剣の手入れをしている。お酒と武器が似合う大人の男だ。俺も彼の様な大人になりたいと思っている。
「ゲルストナーはいつから戦士をしていたんだい?」
「俺が剣を持ったのは十二の頃だったかな。戦士だった父から剣の手ほどきを受けて、十五の時に冒険者になった。それから戦士として戦い続けた。魔法動物の店を開くまでは、クエストを受けて生計を立てていたよ」
「そうだったんだね。ゲルストナーの戦士時代か……きっと今よりも強かったんだろうね」
「若かったからな。力は若い頃の方が強かったが、魔力なら今の俺の方が上だ」
ゲルストナーは最近、毎朝剣の稽古と筋力のトレーニングを行っている。冒険者時代の体を取り戻すと言っているが、ゲルストナーは今でも素晴らしい肉体を持っている。俺も冒険の旅に出てから毎日鍛えているが、やはりゲルストナーの肉体には敵わない。
「アイリーン。食後の運動をしよう!」
「わかったの」
ルナは夕飯を食べ終えると、アイリーンを誘った。剣の稽古を始めるのだろうか。騎士団でまともにルナの剣を受けられるのはアイリーンしか居ないからな。一撃の剣の威力では俺の方が勝るだろうが、ルナの高速の剣は俺の技術では防げない。生まれ持った才能が違うのだろう。そもそも、ルナは人間ではなくハーピーだからな。
ルナとアイリーンの激しすぎる打ち合いを家の中から眺める。ルナはレイピアでの突きを放つが、アイリーンはルナの剣を槍で受け流すと、すぐに突きを放って反撃する。人間を凌駕する身体能力を持っているのだろうか、アイリーンはルナの剣をいとも簡単に回避し、瞬時に槍での強烈な突きを放つ。ルナはアイリーンの攻撃が避けられないと思ったのか、翼を開いて上空に飛び上がると、アイリーンは悔しそうにルナを見つめた。
流石のアイリーンも、空を飛ぶ相手には攻撃する手段が無いのだろう。魔物との戦闘では、極稀に槍を投げる事もあるが、訓練では威力が高すぎて使えない。ルナは上空から次々と風の刃を飛ばすと、アイリーンはルナの魔法を切り裂いた。戦いのレベルがあまりにも高すぎる……。
1
お気に入りに追加
1,403
あなたにおすすめの小説

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る
咲阿ましろ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。
だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。
それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。
世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。
快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。
●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる