69 / 188
第二章「王国を目指して」
第六十九話「意思を受け継ぐ者」
しおりを挟む
「サシャ、俺の代わりに魔王を倒してほしい……世界を守るためにも」
「魔王ですか、俺に魔王が倒せるかは分かりませんが……」
「今すぐにとは言わない、十分に力を蓄えた時で良い。魔王もすぐには襲って来ないだろう……」
「そうですか。もし、魔王が人間を襲うようでしたら、俺が魔王を倒します」
「ありがとう……いつかきっと、俺の仇を討ってくれ。これは俺が生前使っていた魔装と大剣だ」
デュラハンはそう言うと、黒い金属から作られた魔装と大剣を俺に差し出した。魔装はまるで羽根のように軽い。一体どんな金属で出来ているのだろう。
「俺の力と技術。全てを授けよう。俺の体に触れてみるんだ。俺の力を全て渡す」
俺は右手でデュラハンの亡霊に触れた。デュラハンの亡霊は穏やかな光を放つと、俺の右手には爆発的な魔力が流れ込んできた。途方もない量の魔力だ……これがデュラハンの力なのか? これだけの力を持っていても、デュラハンは魔王に勝てなかった。魔王か……俺がいつか必ずデュラハンの代わりに魔王を討つ。
「サシャ……世界を頼んだぞ……」
「はい。お任せ下さい」
体に魔力で満ちている、しかも人間の魔力ではない。魔族の魔力だ。確かに以前との違いを感じる。
「これでサシャも私と同じ魔族ね……」
「サシャ、何か変わった感じはあるか?」
「魔力の総量が増えた様な感じはするし、力がみなぎってるよ」
「うむ。サシャの体から強い魔力を感じる。また強くなったという訳か」
デュラハンが託してくれた魔装を身につけると、不思議とサイズは丁度良く、顔以外の全てを包み込んだ。まるで生き物の様にサイズが自在に変わる。これが魔装の性能なのだろう。魔装は俺に対して魔力を供給してくれているみたいだ。使い切れない程の魔力が体に流れている。それからデュラハンの大剣を持つ。大剣は驚くほど軽く、片手でも十分に扱える。きっと魔装との相性が良いのだろう、
「魔装が俺に魔力を与えてくれている……」
「サシャと魔装の相性が良いからでしょう。魔装は装備した者の魔力と力を大幅に上昇させる効果がある。ただし、元々強い魔力を持つ者が身に付けなければ、魔装は効果がないの」
「力も増えているのかい? 道理で大剣が軽いと思った」
「私の魔装は魔力しか増えない仕組みになっているけど、古い時代の価値ある魔装は、装備した者の身体能力も大幅に上昇させるの。それは戦士長が身に付けていた最高の魔装よ。大剣だって片手で扱えるでしょう」
どうりで大剣が軽い訳だ。ギルドカードで詳細を確認してみよう。
武器:デュラハンの大剣
防具:デュラハンの魔装
魔法:グランドクロス スラッシュ ガード ハック ハウリング マジックドレイン
効果:戦士長デュラハンの誓い(魔力上昇・攻撃速度上昇)デュラハン(攻撃速度上昇・回避速度上昇)
魔法の「グランドクロス」は剣技だろうか。今度試してみる事にしよう。マジックドレインを使えるようになったのはありがたい。魔族特有の魔法まで使えるようになったみたいだ。デュラハンの装備を身に付けた俺の体には、感じた事も無い程の魔力と力で満ち溢れている。今ならメテオストームを何発でも撃てそうだ。
「サシャから感じる魔力が変わったの……サシャなら魔王だって倒せるの」
「サシャ、また強くなったね。ルナの事、守ってくれるんだよね」
「ああ、勿論だよ。これがデュラハンの力か……魔王が何処に潜伏しているかは分からないけど、アルテミス王国に着いたら魔王に関する情報も調べようか」
今日も色々な事があったな。まずは家に入って休むとしよう……。
「魔王ですか、俺に魔王が倒せるかは分かりませんが……」
「今すぐにとは言わない、十分に力を蓄えた時で良い。魔王もすぐには襲って来ないだろう……」
「そうですか。もし、魔王が人間を襲うようでしたら、俺が魔王を倒します」
「ありがとう……いつかきっと、俺の仇を討ってくれ。これは俺が生前使っていた魔装と大剣だ」
デュラハンはそう言うと、黒い金属から作られた魔装と大剣を俺に差し出した。魔装はまるで羽根のように軽い。一体どんな金属で出来ているのだろう。
「俺の力と技術。全てを授けよう。俺の体に触れてみるんだ。俺の力を全て渡す」
俺は右手でデュラハンの亡霊に触れた。デュラハンの亡霊は穏やかな光を放つと、俺の右手には爆発的な魔力が流れ込んできた。途方もない量の魔力だ……これがデュラハンの力なのか? これだけの力を持っていても、デュラハンは魔王に勝てなかった。魔王か……俺がいつか必ずデュラハンの代わりに魔王を討つ。
「サシャ……世界を頼んだぞ……」
「はい。お任せ下さい」
体に魔力で満ちている、しかも人間の魔力ではない。魔族の魔力だ。確かに以前との違いを感じる。
「これでサシャも私と同じ魔族ね……」
「サシャ、何か変わった感じはあるか?」
「魔力の総量が増えた様な感じはするし、力がみなぎってるよ」
「うむ。サシャの体から強い魔力を感じる。また強くなったという訳か」
デュラハンが託してくれた魔装を身につけると、不思議とサイズは丁度良く、顔以外の全てを包み込んだ。まるで生き物の様にサイズが自在に変わる。これが魔装の性能なのだろう。魔装は俺に対して魔力を供給してくれているみたいだ。使い切れない程の魔力が体に流れている。それからデュラハンの大剣を持つ。大剣は驚くほど軽く、片手でも十分に扱える。きっと魔装との相性が良いのだろう、
「魔装が俺に魔力を与えてくれている……」
「サシャと魔装の相性が良いからでしょう。魔装は装備した者の魔力と力を大幅に上昇させる効果がある。ただし、元々強い魔力を持つ者が身に付けなければ、魔装は効果がないの」
「力も増えているのかい? 道理で大剣が軽いと思った」
「私の魔装は魔力しか増えない仕組みになっているけど、古い時代の価値ある魔装は、装備した者の身体能力も大幅に上昇させるの。それは戦士長が身に付けていた最高の魔装よ。大剣だって片手で扱えるでしょう」
どうりで大剣が軽い訳だ。ギルドカードで詳細を確認してみよう。
武器:デュラハンの大剣
防具:デュラハンの魔装
魔法:グランドクロス スラッシュ ガード ハック ハウリング マジックドレイン
効果:戦士長デュラハンの誓い(魔力上昇・攻撃速度上昇)デュラハン(攻撃速度上昇・回避速度上昇)
魔法の「グランドクロス」は剣技だろうか。今度試してみる事にしよう。マジックドレインを使えるようになったのはありがたい。魔族特有の魔法まで使えるようになったみたいだ。デュラハンの装備を身に付けた俺の体には、感じた事も無い程の魔力と力で満ち溢れている。今ならメテオストームを何発でも撃てそうだ。
「サシャから感じる魔力が変わったの……サシャなら魔王だって倒せるの」
「サシャ、また強くなったね。ルナの事、守ってくれるんだよね」
「ああ、勿論だよ。これがデュラハンの力か……魔王が何処に潜伏しているかは分からないけど、アルテミス王国に着いたら魔王に関する情報も調べようか」
今日も色々な事があったな。まずは家に入って休むとしよう……。
1
お気に入りに追加
1,403
あなたにおすすめの小説

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る
咲阿ましろ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。
だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。
それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。
世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。
快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。
●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる