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第二章「王国を目指して」
第六十一話「幻獣との遭遇」
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レイリス町を出発してから二週間が経ち、俺達はついにアレラ山脈の麓に辿り着いた。巨大な山々が大地にそびえ立っており、美しい自然に囲まれている。辺りには木々が生い茂り、朽ち果てた古代の遺跡が点在している。
ブラックドラゴンの生息地である山脈の麓に辿り着いてから、俺達は一層身を引き締めた。いつ敵が現れるかも分からないからだ。俺はワイバーンに乗り、上空から偵察をする事にした。馬車を走らせてブラックドラゴンの生息地を抜ける前に、敵の数や地形を把握しておきたかったからだ。
上空からダンジョンまでの道を確認する。麓から山脈内部のダンジョンまでは一本道が続くようだ。しかし……アレラ山脈は美しい。今は春だからか、辺り一面に広がる緑が何とも言えない美しさだ。俺とワイバーンはしばらく上空を旋回し、偵察を続けた。
その時、山脈の影から一体のドラゴンが姿を現した。黒い鱗に覆われており、筋骨隆々。体格はワイバーンの方が大きいが、強い魔力を辺りに放っている。ブラックドラゴンは俺達に目もくれず、仲間達の元に急降下を始めた。このままでは仲間が攻撃されてしまう……。
「ワイバーン! メテオを撃つぞ!」
俺は直ぐに攻撃を仕掛ける事にした。ブラックドラゴンが仲間の元に辿り着く前に一撃で仕留める。俺はブラックドラゴンに向けて両手を突き出し、体内から魔力を掻き集めて巨大な土の塊を作り出した。ワイバーンが球状の土に炎を吹きかけると、メテオが完成した。
炎を纏う巨大な土の塊は、辺りに火を散らしながらブラックドラゴンに向かって落下を始めた。ブラックドラゴンは強い魔力を感じたのか、上空を見上げ、瞬時にメテオを回避すると、再び降下を始めた。どうやらワイバーンには敵わないと考えたのだろう。
メテオは、激しく燃えながら大地に激突した。静けさで包まれていた山脈の麓には、巨大な爆発音が劈いた。仲間達はメテオの衝撃に狼狽しながらも、直ぐに陣形を組んだ。
俺とワイバーンはブラックドラゴンに向かって急降下を始めた。しかし、ブラックドラゴンとの距離はなかなか縮まらない。仲間達は地上でブラックドラゴンの襲撃に備えている。ゲルストナーは仲間を守るために先頭に立ち、青ざめた表情でロングソードを構えている。クリスタルは瞬時にマジックシールドを作り上げ、ゲルストナーを守る様に魔法の盾を宙に浮かせた。
キングはメイスを上空に向け、雷雲を発生させた。サンダーボルトを使うつもりなのだろう。クーデルカはキングと共に上空に杖を向け、冷気の塊を発生させた。ルナとアイリーンはブラックドラゴンの接近を待っている。
ブラックドラゴンはゲルストナーに対し、尻尾を振って攻撃を仕掛けると、マジックシールドは一瞬で砕け、ゲルストナーの体が宙を舞った。ゲルストナーは遥か彼方まで吹き飛ばされると、ユニコーンが急いでゲルストナーに向かって駆けた。
仲間を攻撃されたルナは鬼の様な形相を浮かべ、風の刃を次々と飛ばした。ブラックドラゴンは上空に飛び上がり、ルナの攻撃を回避したが、ルナはレイピアを仕舞い、ウィンドアローの魔法で弓を作り上げた。ルナは次々と矢を射てブラックドラゴンにダメージを与えている。
アイリーンは槍を構えて仲間の前に立った。ブラックドラゴンは口を大きく開き、炎を吐くと、アイリーンは炎に向けて槍を投げた。爆発的な魔力を纏う槍はブラックドラゴンの炎を切り裂き、ブラックドラゴンの翼に風穴を開けた。
直ぐに次の攻撃を仕掛けなければ仲間の命が危ない。しかし、単発のメテオではブラックドラゴンを捉えられないだろう。それなら、威力を弱めたメテオを複数作り、一気に落下させる。新たな魔法に挑戦しなければ、戦況を変える事は不可能。パーティーには盾役のゲルストナーも居ない、きっと次の攻撃には耐えられないだろう。
俺は体内の魔力を全て使い果たすつもりで魔力を放出させた。複数の土の塊を無数に作り上げ、空中で制御する。体内から魔力が枯渇すると、体が鉛の様に重くなり、視界が霞んできた。ワイバーンが無数の土の塊に対して炎を吹きかけると、新たな魔法が完成した。
『メテオストーム……!』
宙に作り上げた土の塊をブラックドラゴンに向けて落とすと、無数のメテオは物凄い速度で落下を始め、ブラックドラゴンの体を捉えた。容赦なく降り注ぐメテオに対し、ブラックドラゴンは為す術もなく、全身に炎を纏う土の塊を浴びている。
爆発的な衝撃音が何度も劈き、大地を揺らしながら辺りに強い炎が沸き起こった。ルナは風の魔力から作り上げた弓を放ち、ブラックドラゴンにダメージを与え続け、アイリーンはブラックドラゴンの首に槍を突き刺した。
キングはメイスを振り下ろし、ブラックドラゴンの背中に巨大な雷撃を放った。クーデルカもキングの魔法に続いて鋭利な氷柱を降らせ続けた。驚異的な威力の魔法を次々と受けたブラックドラゴンは、体中から血を流しながらも、獰猛に攻撃を仕掛け続ける。
意識を失っていたゲルストナーが起き上がり、ユニコーンに乗ってブラックドラゴンとの距離を縮める。ゲルストナーはユニコーンから飛び上がると、ブラックドラゴンの頭部に剣を突き立てた。ブラックドラゴンは爆発的な咆哮を上げ、辺りに強い炎を吐きながら命を落とした。
それからブラックドラゴンの素材を回収し、俺達は急いで山脈のダンジョンに逃げ込んだ……。
ブラックドラゴンの生息地である山脈の麓に辿り着いてから、俺達は一層身を引き締めた。いつ敵が現れるかも分からないからだ。俺はワイバーンに乗り、上空から偵察をする事にした。馬車を走らせてブラックドラゴンの生息地を抜ける前に、敵の数や地形を把握しておきたかったからだ。
上空からダンジョンまでの道を確認する。麓から山脈内部のダンジョンまでは一本道が続くようだ。しかし……アレラ山脈は美しい。今は春だからか、辺り一面に広がる緑が何とも言えない美しさだ。俺とワイバーンはしばらく上空を旋回し、偵察を続けた。
その時、山脈の影から一体のドラゴンが姿を現した。黒い鱗に覆われており、筋骨隆々。体格はワイバーンの方が大きいが、強い魔力を辺りに放っている。ブラックドラゴンは俺達に目もくれず、仲間達の元に急降下を始めた。このままでは仲間が攻撃されてしまう……。
「ワイバーン! メテオを撃つぞ!」
俺は直ぐに攻撃を仕掛ける事にした。ブラックドラゴンが仲間の元に辿り着く前に一撃で仕留める。俺はブラックドラゴンに向けて両手を突き出し、体内から魔力を掻き集めて巨大な土の塊を作り出した。ワイバーンが球状の土に炎を吹きかけると、メテオが完成した。
炎を纏う巨大な土の塊は、辺りに火を散らしながらブラックドラゴンに向かって落下を始めた。ブラックドラゴンは強い魔力を感じたのか、上空を見上げ、瞬時にメテオを回避すると、再び降下を始めた。どうやらワイバーンには敵わないと考えたのだろう。
メテオは、激しく燃えながら大地に激突した。静けさで包まれていた山脈の麓には、巨大な爆発音が劈いた。仲間達はメテオの衝撃に狼狽しながらも、直ぐに陣形を組んだ。
俺とワイバーンはブラックドラゴンに向かって急降下を始めた。しかし、ブラックドラゴンとの距離はなかなか縮まらない。仲間達は地上でブラックドラゴンの襲撃に備えている。ゲルストナーは仲間を守るために先頭に立ち、青ざめた表情でロングソードを構えている。クリスタルは瞬時にマジックシールドを作り上げ、ゲルストナーを守る様に魔法の盾を宙に浮かせた。
キングはメイスを上空に向け、雷雲を発生させた。サンダーボルトを使うつもりなのだろう。クーデルカはキングと共に上空に杖を向け、冷気の塊を発生させた。ルナとアイリーンはブラックドラゴンの接近を待っている。
ブラックドラゴンはゲルストナーに対し、尻尾を振って攻撃を仕掛けると、マジックシールドは一瞬で砕け、ゲルストナーの体が宙を舞った。ゲルストナーは遥か彼方まで吹き飛ばされると、ユニコーンが急いでゲルストナーに向かって駆けた。
仲間を攻撃されたルナは鬼の様な形相を浮かべ、風の刃を次々と飛ばした。ブラックドラゴンは上空に飛び上がり、ルナの攻撃を回避したが、ルナはレイピアを仕舞い、ウィンドアローの魔法で弓を作り上げた。ルナは次々と矢を射てブラックドラゴンにダメージを与えている。
アイリーンは槍を構えて仲間の前に立った。ブラックドラゴンは口を大きく開き、炎を吐くと、アイリーンは炎に向けて槍を投げた。爆発的な魔力を纏う槍はブラックドラゴンの炎を切り裂き、ブラックドラゴンの翼に風穴を開けた。
直ぐに次の攻撃を仕掛けなければ仲間の命が危ない。しかし、単発のメテオではブラックドラゴンを捉えられないだろう。それなら、威力を弱めたメテオを複数作り、一気に落下させる。新たな魔法に挑戦しなければ、戦況を変える事は不可能。パーティーには盾役のゲルストナーも居ない、きっと次の攻撃には耐えられないだろう。
俺は体内の魔力を全て使い果たすつもりで魔力を放出させた。複数の土の塊を無数に作り上げ、空中で制御する。体内から魔力が枯渇すると、体が鉛の様に重くなり、視界が霞んできた。ワイバーンが無数の土の塊に対して炎を吹きかけると、新たな魔法が完成した。
『メテオストーム……!』
宙に作り上げた土の塊をブラックドラゴンに向けて落とすと、無数のメテオは物凄い速度で落下を始め、ブラックドラゴンの体を捉えた。容赦なく降り注ぐメテオに対し、ブラックドラゴンは為す術もなく、全身に炎を纏う土の塊を浴びている。
爆発的な衝撃音が何度も劈き、大地を揺らしながら辺りに強い炎が沸き起こった。ルナは風の魔力から作り上げた弓を放ち、ブラックドラゴンにダメージを与え続け、アイリーンはブラックドラゴンの首に槍を突き刺した。
キングはメイスを振り下ろし、ブラックドラゴンの背中に巨大な雷撃を放った。クーデルカもキングの魔法に続いて鋭利な氷柱を降らせ続けた。驚異的な威力の魔法を次々と受けたブラックドラゴンは、体中から血を流しながらも、獰猛に攻撃を仕掛け続ける。
意識を失っていたゲルストナーが起き上がり、ユニコーンに乗ってブラックドラゴンとの距離を縮める。ゲルストナーはユニコーンから飛び上がると、ブラックドラゴンの頭部に剣を突き立てた。ブラックドラゴンは爆発的な咆哮を上げ、辺りに強い炎を吐きながら命を落とした。
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