召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第六十話「夜のひととき」

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 さて、今日の訓練はこの辺りで終わるとしよう。適度に練習して、適度に休む。これが俺の旅のモットーだ。適度と言っても、個人の訓練は一日五時間以上行うようにしている。そもそも、戦の感覚は一日中練習していて掴める訳ではない。俺がアースランサーを作り出した時の様に、新しい魔法や新しい戦術は、一瞬の閃きによって創造される。

 ゲルストナーとクリスタルは羊の解体に取り掛かった。ゲルストナーはあっと言う間に羊を解体し、料理を始めた。疲れた体を癒やすために、全身をくまなくマッサージすると、料理が完成した。今日の夕食は羊の肉と乾燥野菜を使ったスープ、それから焼きパンにチーズだ。筋肉を作るために大量の食事を摂取する。俺の筋肉は既に村を出た頃とは比較にならないほど成長している。これも毎日ゲルストナーが食事を用意してくれているからだろう。

「ゲルストナー、クリスタル。今日も美味しい料理もありがとう」
「なぁに、これもワイバーンのお陰だな。新鮮な肉がいつでも手に入るとは、最高の環境だな」
「そうですね! しばらくは乾燥肉を食べずに済みそうです」」
「サシャ、クリスタルのマジックシールドはなかなかの防御力だぞ。近いうちに俺の攻撃を完璧に防げるようになるだろう」
「そうなのかい? クリスタルは成長が早いんだね」
「ありがとうございます! これからも頑張ります」

 アイリーンは俺の隣の席に座ると、彼女は葡萄酒の飲み始めた。モフモフした茶色の尻尾を揺らし、俺の肩に頭を乗せている。俺はアイリーンの頭を撫でると、彼女は嬉しそうに俺を見つめた。

「サシャ、山脈を越えたらどうするつもりなの? すぐに村を作るの?」
「そうだね……山脈を超えてアルテミス王国に着いたら、冒険者ギルドでクエストを受けよう。ある程度お金を貯めてから、自然が豊かな土地を買い取って村を作ろうと思う。村作りにはお金が必要だから、暫くはクエストを受け続ける事になると思うよ」
「村作りか……楽しみなの」
「ああ。俺も楽しみだよ」

 兎に角、今はアルテミス王国の事よりも、アレラ山脈を越える事に集中しなければならない。山脈に辿り着く前になるべく多くの訓練を積んだ方が良いだろう。これからもますます忙しくなりそうだ……。

「サシャ。食べ終わったら本読んで!」
「うん、いいよ。どんな本が良い?」
「この本が良い!」

・『幻魔獣・ハーピーの生息地と歴史』

 この本はハーピーの事を知るためにフィッツ町で手に入れた本だ。キングとルナは俺の朗読を聞くのが好きだ。言葉の勉強のために、ルナが生まれてすぐに何度も本を読み聞かせたからだろう、今でも本を読んだり聞いたりする事が好きらしい。

 俺は夕食後、暫くルナとキングに読み聞かせをした。ゲルストナーは装備の手入れを、アイリーンとクリスタルは二人でゆっくりと語り合っている。クーデルカは俺の本の読み聞かせを聞きながら葡萄酒を飲んでいる。

 夜の時間は仲間達とゆっくり過ごせるから好きだ。訓練をせずに、こうして毎日ゆっくり過ごせれば良いのだが、理想の未来のために努力を怠ってはいけない。それから俺はルナとクーデルカと共に風呂に入り、早めに眠りに就いた……。
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