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第1章 呪われました!

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しばらくなんの進展もないまま、日々は過ぎた。



「うっ……う……ぐす……っ」
「なんでいきなり泣いてるんだ」

大学二年生のゴールデンウィーク初日。招集がかかって一人暮らしの逢崎宅を訪ねてみれば、部屋の主は正座して片腕を目元に当てていた。

「これには深~いわけがあるんだよ」
「あっひゃっひゃっ」

先に集まっていた多川が訳知り顔で逢崎の背中を擦り、新沼は腹を抱えて笑っている。

「俺は……っ、絶望した……! 許さん……多川……っ、絶対に許さん……っ!」
「ごめんって逢崎~。ぷふっ」
「笑うなっ」
「あっひゃっひゃっ」
「おまえもだ新沼!」

逢崎が腕を下ろして怒鳴る。

「で、何があったんだ」

狭い部屋に手嶋も腰を下ろし、話を聞く態勢になった。
逢崎はくっ、と拳を握って悔しがりながら、言った。

「エッチな動画が全部ゲイビになってた……!」

多川と新沼の爆笑が室内に轟いた。
それは笑えんな、と手嶋は冷静に思った。

「画像も動画も漫画も全部男! 登場人物全員男! セックス動画もオナニー動画もエッチな漫画も、全部全部、男、男、男、男! おっぱいは雄っぱいだし、股に余計なもんぶら下がってるし、まんこじゃなくてアナルだし……もう……もう……!」

床を叩いて絶望する男を、手嶋は同情の眼差しで見守ることしかできなかった。

「あっひゃっひゃっ」
「元気出せ……逢崎……っく、ふふ」
「俺のオナニーライフはどうなる!?」
「ひゃっ……! ひゃっ……! ひー……っ!」
「ほっぺた痛い……ひひ……っひ、」

しばらく笑い転げていた二人だったが、やがて落ち着いてくると、多川が急に真顔になって疑問を投じた。

「で、ゲイビって抜けんの?」
「知らん。俺に聞くな。逢崎に聞け」
「あっひゃっひゃっ」
「衝撃がでか過ぎてそんな余裕なかったわ!」
「ちょっとさ、試しに見てみようぜ」
「ひゃっひゃっ……鑑賞会……っく、する?」
「ゲイビ鑑賞会!」
「おい、やめとけ」

手嶋は止めるが、多川と新沼は乗り気になってしまっている。そんなもん見て何が楽しいんだ。おまえもそう思うだろ? と、視線をやると、逢崎は悪い顔をしていた。

「おまえらにも俺と同じ衝撃を味わわせてやる……!」

こいつも乗り気だった。ここに味方はいない。
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