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21.誰よりも美しい花【捧げられし花テオエル】
しおりを挟むシドイェスカの大きな両手のひらが、石けんの滑りをまとい、浴場の床に押し倒されたテオエルの身体をくまなく撫で擦る。
「ここは?」
「……ぁ、っ、そこも……綺麗にしてくださぃ……」
ぴんと尖った乳頭を避けて、ぬるぬると指先で円を描くように乳輪をなぞられる。
「もっと……ちゃんと、ぁ、触って……くださ……」
「ここも触られたのだな?」
「はい……、はい……っ、乱暴に、弄られて……っ嫌だった……っ!」
「忌々しい……そんな記憶、私が塗り替えてやる」
「ん……っ!」
乳頭を押し潰され、待ち望んだ強い快感に身体をくねらせる。指の腹で先端を擦られ、くにくに転がされた。
「……っ、は、」
「綺麗だ」
「ぅう……んぅ……ぁ」
「そなたは美しい」
「シドイェスカ様……っ、」
「どこも汚れてなどおらぬ」
「シドイェスカ様ぁ……っ」
耳元で囁かれながら胸全体を愛撫され、テオエルは身も心も喜んで啼く。
テオエルが執拗に擦り過ぎて赤くなった身体の前面を、シドイェスカの手のひらが優しく、しかししつこく、テオエルが自身を汚れていると思う呪われた心をとかすように、撫で回した。
ブデリナにされた時はあんなに気持ち悪かったのに、触れている手がシドイェスカのものだと、こんなにも気持ちがいい。
無理やり犯されそうになった時は縮こまっていた性器も、今は健気に勃ちあがって、テオエルが身悶えるのに合わせて揺れている。
「ぅあ……っ」
上半身の肌を片手で緩やかに撫でられながら、勃起した性器をもう片方の手で包まれた。
「ここは触られたか?」
「触られてませ……っん、ん、でも、」
「ん?」
「シドイェスカ様には……、触ってほし……っ」
「いっぱい擦ってやろうな」
手を筒のようにし、石けんと先走りの滑りを利用してちゅこちゅこ扱かれる。鼻先同士を擦り合わされ、テオエルが目を閉じると、口づけが与えられた。数回、くっつけられては離れる。もうそれだけでは満足できなくて、自ら口を開いて誘うと、分厚い舌が誘い込まれてきた。
「……ふ、……っ、ん、……ん、」
がに股になった脚の付け根で、テオエルの勘所を握ったシドイェスカの手が繰り返し上下する。
腰に快感が溜まり、痛いほど勃起した性器からの解放を待っている。
「ふ……んっ……ーーんんぅっ!」
口内を蹂躙され、強く舌を吸われた瞬間、ぎゅっと絞られた性器から白濁が飛び散った。
「は……は……っ、は、」
唇を解放され、荒い息をつく。滲んだ視界で見上げると、シドイェスカがぎらぎら欲の浮かんだ眼差しでテオエルの顔を覗き込んでいた。
ぞくっとする。
あらぬところが、きゅんきゅんする。
足りない。
全然、こんなものでは足りない。
奥まで埋めてほしいと疼く。
疼く。
「シドイェスカ様……」
片脚を胸につくほど折りたたみ、尻たぶを外側へ寄せ、疼く孔を見せつける。
「ここが……切ない、です……シドイェスカ様ので、埋めてください……」
シドイェスカは凶悪な顔になった。劣情を、抑えきれない顔。
「私でいっぱいにしてやる」
石けんの滑りを足した指を、テオエルの後孔はもう三本も咥えている。抜き差しされるたびに、縁で泡立った。
「も……もう……いれて……いれてください……っ」
「は……、は……っ」
「ここ……ここに……」
「ふ……、」
先走りに濡れる先端を、突き立ててほしい孔に誘導する。テオエルが両手で固定すると、シドイェスカはそのまま腰をすすめた。
「あぁああぁあ……っ」
待ち望んだものをようやく与えられて、目が眩むほどの快感に、テオエルはいれられただけで絶頂を迎えた。
「く……っ、テオエル……!」
食い締められたシドイェスカがテオエルの顔の横に手をついて、つられて射精するのを堪える。
しばらく、お互いに身動ぎひとつしなかった。
ひたいを合わせ、シドイェスカが腰を掴んでいる方とは別の手を、テオエルの手と手のひらを合わせるようにして指先を絡めて握ってくる。
数回唇を啄んで、ずるぅっと、腰を引かれた。
「ーーっあ!」
いきなり奥を強く突き上げられる。
ぎゅうううっと、テオエルの身体が反応して締め付けた。
「は……、」
シドイェスカが目を閉じて甘い吐息を漏らす。
次に銀色の瞳が露わになった時、鋭いまでに真剣な眼差しがテオエルを貫いた。
「私以外の他の誰にも身体を許さぬと誓え」
テオエルは息を呑んだ。
目を見開き、唇を震わせる。
全身を襲ったのは、嵐のような歓喜だった。
「……身も、心も。僕の……全てを。シドイェスカ様に捧げると誓います」
言い切った瞬間、なんらかの強制力によって、心と肉体が縛られたのがわかった。
これで、テオエルは一生シドイェスカだけのものになったのだ。
「私の美しい花よ……! 誰にも渡さぬ……誰にも……!」
テオエルを両の腕に閉じ込めて、シドイェスカは何度も何度もテオエルの中に白濁を注ぎ込んだ。
腹がいっぱいになるほど中に出されても、射精を終えた陰茎を肉の輪で扱いて勃たせて、抜かずにまた腰を振る。
それらを全てその華奢な身体で受け止めて、テオエルは喜びに啼いた。
「シドイェスカ様……っ!」
テオエルだけが知っている。
テオエルの目にしか見えぬ。
シドイェスカこそ、神様に愛されし誰よりも美しい花。
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