可憐な少女よりガチムチおじさんが圧倒的に性被害に遭う恐ろしい世界に迷い込んだ

汐崎えみや

文字の大きさ
上 下
28 / 35

28.

しおりを挟む

外を出歩く時、必ず手を繋ぐのは、そうしないと危ないからだってこと、わかっている。もうすぐ44になるおっさん相手に何言ってんだと思うかもしれないが、むしろ、だからこそこの世界では危険なのだ。
人間なら10代少女より40代男性の方が圧倒的に性的に狙われやすいという、イカれた世界なのだから。

「セノ、げんきない。いやなきゃく、くる、した?」

首を振った。

「けがする、した? いたい?」

苦しい。

働きだしてから、ユルシィには抱かれていない。
当たり前だ。ユルシィが瀬野を抱いたのは、定期的にセックスしないと瀬野が苦しむからだ。今はその条件をクリアしているから、わざわざユルシィが瀬野を抱く必要はない。

苦しかった。

「ユルシィ、」

苦しくて、苦しくて、縋りついた。

「ユルシィ、抱いて……抱いてくれ……!」
「セノ……っ?」
「ユルシィ、ユルシィ……っ」
「セ、セノっ、おちつく……っ、おちつく、してっ」

往来でこんなことして、注目が集まるのはわかっていた。それでも自分を止められない。衝動が止まらない。
どうだっていい。ただ、抱いてほしい。

翡翠色の巨体にしがみついていた腕を、通りすがりの人外生物に握られた。強く、引っ張られる。

「******」

そいつが何か言った瞬間、ユルシィが怒りで紅い光をはちゃめちゃに旋回させた。

「***っ!!」

鋭い言葉を投げつけて、返事も聞かずに瀬野の腕を引く。
ずしん、ずしん、怒りでぷんすかしながらユルシィは近くのホテルに瀬野を連れ込んだ。
シンプルな内装の部屋で、優しくベッドに座らされる。
ユルシィはまだ気が立っているのか、ぷんすこぷんすこ室内を歩き回った。

「何怒ってる?」

少し落ち着いた瀬野が尋ねると、ユルシィはどすどすカーペットを踏み鳴らしながら、近づいてきた。

「あいつ、私、あいてしないなら、じぶん、やらせろ、いった! いくら? かね、はらう、いった!」
「なんで怒る?」

同じ質問を繰り返されたと思ったらしい。
ユルシィは固まり、大きく首を傾げる。
確かに似たような言葉になったが、意味は違う。

瀬野は今日だって、会員制風俗店のキャストとして、金と引き換えに身体を売った。

「それと、さっきのあいつが金払って俺を抱くのと、何が違う?」

絶句するユルシィに、畳み掛ける。

「でも俺は、ユルシィから金は取らないよ。だから、抱けよ」






ユルシィは抱かなかった。

その代わり、自宅で1人待つルタに外泊の連絡をして、瀬野を両腕で抱きしめて眠った。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

処理中です...