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しおりを挟むユルシィの仲介によって瀬野の職場となった会員制風俗店『タナカ』は、キャストは全員人間の雄で、客は現役警察官や元警察関係者がほとんどを占めるという、ごりごりの警察癒着風俗店だった。
「まあ癒着つったら癒着なんだけどさ~、それでもこの店があることで守られてる人間も大勢いるわけよ」
『タナカ』の店長である平田さん54歳男性は、シャワーを浴びる瀬野の背後で煙草を吹かしながら滔々と語った。
「善良な飼い主に飼われてペットとして幸せに暮らしていけんなら、それが一番いいのかもしんないよ? でもさ~、そんなん、めちゃくちゃ幸運な一握りの人間にしか与えられないラッキーなんだよ。リーラに迷い込んだ大抵の人間がまあまず、まともな生活できないのね。人間カフェで猫よろしく愛玩されて、時々我慢できない客にセクハラされるくらいなら全然まし。天国。人生安泰よ。でもそんな生活もまた、限られた人間だけのラッキーなんだよね~。ほとんどの人間、ばちくそめちゃくちゃ胸糞悪い目に遭ってるから。まじ、聞いたらトラウマんなるよ。闇深過ぎんだよな、リーラ。まじリーラ」
瀬野はシャワーを止めて、バスタオルを手に取り、振り返った。
「平田さんが片目無いのも、リーラの闇?」
「あ、聞く? 聞いちゃう?」
予想以上の闇に昼飯吐き戻しても、客が来たならそんなことは向こうへよいしょってやっといて相手せねばならんので。瀬野は自分に与えられた個室で客の男性器を咥えていた。
「*****」
髪を優しく梳かれながら、立位の客の足元に膝をついて頭を前後させる。
じゅぶっ、じゅぶっ、唾液を溜められるだけ溜め込んだ口腔で、咥えた陰茎を擦った。
口に入り切らない部分は手で溢れた唾液を塗り伸ばしながら扱きたてる。
「**ッ!」
優しかった手が、髪をむんずと掴んで乱暴に腰を押し付けてくる。ぐっ、ぐっ、と喉を押されてえずきながら、吐き出された精を飲み下した。
ぱ、と乱暴に髪を放される。咳込みながら床に倒れ込んだ瀬野を、客は性急にうつ伏せにした。腰だけを上げられ、すでに準備が整って中からローションが垂れ落ちている穴に、復活した男性器を挿れられる。
「あ……っ、」
「*****」
「ん……、ん゛……っ、」
客は瀬野の後ろから耳元で何か囁きながら腰をつかった。
たん、……たんっ、たん……たん、
ゆっくりじっくり、締め付けを味わうように肉筒の中を熱い杭が出入りする。
「**ー*、」
「は……、ぅ……っ、あぅ……」
「****、**」
「ん! ……っく、ーーあ゛!」
尻のあわいを濡らすローションをすくった指で、乳首をぬるぬる捏ねられる。引っ張られて、弾かれ、よられ、痛みと快感の狭間を行き来させられる。
抱かれるのにも、だいぶ慣れた。
身体はとっくに堕ちていたが、心が。
精神的に、余裕が出てきた。
今も、背後から後孔を時間をかけて犯されながら、こいつ前回もバックからだったな……後背位が好きなのか……? などと、考える思考の余地がある。
こうしている間は、忘れていられる。
でも、どうしてかな。
「セノ、かえろ」
迎えに来るユルシィが優しく手を差し伸べてくれるたび、胸が締め付けられるように痛むのは。
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