可憐な少女よりガチムチおじさんが圧倒的に性被害に遭う恐ろしい世界に迷い込んだ

汐崎えみや

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今回摘発された違法なパーティーの主催者、参加者ほぼ全員に数多の余罪があるとみられる。アテォロも悪態をつきながら連行されていった。彼らに飼われていた人間達は、保護施設に移された後、それぞれ引き取り手を探すことになるらしい。

「まさかユルシィが警察官だったとはな」

保護施設のテーブルについた瀬野は、向かいの椅子に腰掛けるユルシィにからかうような声音で言う。

「セノ、いた、にんげんかふぇ『すみか』、ときどき、じゅみょう、ちがうのに、にんげん、きえる。私、しらべる、してた。ルタ、きょうりょく、いらい」

ユルシィに振られたルタが、瀬野の隣で神妙にうなずく。

「ユルシィは私にリーラの言語が通じることがわかると、身分を明かして協力を依頼してきました」

しかし『すみか』から人間が消える理由を確信したのは、瀬野が売り飛ばされるという会話を聞いた瞬間だったらしい。
瀬野の行方がわからなくなってしまわないようにと、ルタは形振り構わず必死に瀬野に縋りついた。
そしてアテォロがルタのような小娘にはまるで興味がないことを利用し、メイド服を着て使用人の真似事をしながら屋敷内を調べ回り、密かにユルシィと連絡を取っていた。
その中で今回の違法パーティーが開催されるという情報を得た彼らは、準備に準備を重ね、大捕り物の末、大勢の被疑者を検挙した。
『すみか』での違法売買の証拠も揃い、そちらにも警察が乗り込んだらしい。

「いそがしくて、あいにくる、おそくなる、した」

ユルシィは身体をしゅんと縮めた。

「わざわざ顔見せに来てくれただけでも嬉しいよ。な、ルタ」
「はい。会いに来てくれてありがとうございます」
「へへ。ほんだい、ここから」

頭を掻いたユルシィは、居住まいを正し、改めて瀬野とルタの顔をそれぞれ見やった。

「ひきとりさき、きまる、した?」

柔らかな声だったが、ほんの僅かに緊張を帯びていた。

「セノを引き取りたいという相手はたくさんいます。でも……」
「俺が、ルタも一緒じゃなきゃ行かねえって、断ってる」

言い淀んだルタの言葉尻を引き取って、はっきり告げた。
ユルシィは、何故か、安心したように深く息を吐いた。
紅い光が、くるくる回る。

「ルタ、セノ、私のところ、くる、しない? 私といっしょにくらす、する」

そうしてもたらされた提案に、瀬野とルタは顔を見合わせた。碧の瞳が、期待と興奮の色に輝いている。それを見たらもう、答えは決まっているようなものだった。

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