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第1章 開幕
08.掃除屋“くりん”
しおりを挟む「成功した」
「ああ……性交したんだな、兄貴……」
「なんだろ……なんか今、すれ違ったような気がするけど……まあいいか。喜べ玲奈! 兄ちゃん浄化能力あったぞ」
「素直に喜べねえ…………尻は無事か! ーーいや、無事ではねえな……性交しちまったんだもんな……」
「しちまったってなんだよ。成功したんだから素直に喜べよそこは」
兄妹でわちゃわちゃやってると、席を外していた住人達が、いつの間にかリビングに勢揃いしていた。
「ミユキ、レナ」
知っている顔と知らない顔が並ぶ中、シェロリアが前に出る。自然と皆口をつぐみ、視線が集まった。
「ミユキの浄化能力が認められた。よって、二人に刻印を与え、転生と生活と労働を保障する。ーー手を」
御幸と玲奈がそれぞれ手を差し出す。シェロリアは御幸の手の甲に自身の刻印をかざした。煙草を押しつけたような音が鳴って、御幸の手の甲にこの世界での身分を証明する刻印が刻まれる。見た目も音も痛そうな割りに、なんの感覚もなかった。熱いとか、冷たいとかもない。不思議な気持ちで自身の手の甲を眺める御幸の横で、玲奈もまたシェロリアによって刻印を与えられていた。
「これで、二人は正式に掃除屋“くりん”のメンバーとして迎え入れられた。それぞれが住む部屋は二階に用意してあるから、後で案内する。次の浄化能力持ちが掃除屋“くりん”にメンバー入りするまで、ミユキには浄化を、レナには雑用をこなしてもらうのが転生するための労働条件だ」
そこで一旦区切り、シェロリアは聴衆を見渡した。
「掃除屋“くりん”のメンバーを紹介する」
煎餅をかじっていたマリコばあが手をあげる。
「わたしゃマリコだよ。皆、マリコばあって呼ぶ。でももう覚える必要はないよ。あんたらが来てくれて、ようやく引退できるんだ。ババアはさっさと転生するさね」
「私はすでに挨拶してるよね、ミユキくん、レナくん」
「僕はレナさんとは初対面ですね。はじめまして。ツォットです。あなたのお兄様に命を救われました。これから、よろしくお願いします」
ハーナードとツォットという、知った顔がにこやかに続く。
「私はキングスカルだ」
大柄な体格の強面な男が、重低音ボイスで簡潔に告げた。
「顔は怖いけど、真面目で優しい男だよ」
ハーナードがフォローを入れ、口髭を撫でる。
次いで、視線が集中したのは、困り顔の小熊みたいなおじさんだった。
「あ~……俺はトーガス。まあ、よろしく頼むよ」
「以上が、掃除屋“くりん”のメンバーだ」
「ちょっと待ちな」
「シェロさんの自己紹介がまだです」
「俺はもう済ませた」
「もう一回やっといたら?」
雑然とした場で、一人優雅に紅茶を楽しんでいたハーナードが、口を挟めないでいる御幸と玲奈に向かってウインクした。
「もう知ってると思うけどね、彼が私達掃除屋“くりん”のリーダー、シェロリアだよ。よろしくね」
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