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はじめて
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はじめて授業をサボってしまった。
授業に出ようと思えば出れたが、なんだか離れたくなかった。
行為が終わり身嗜みを整えて部屋を出ようとした時、先輩に腕を取られ引き寄せられた。
チャイムがなっても抱き合ったままその場を去ろうとはしなかった。
床に座り、お互いの不安を口にした。
「あの人とはどういう関係ですか?」
「…一条とそういう関係になったことはない」
「そうなんだ。フッ…よかった」
過去はどうやっても変えられないから仕方ないと諦めていたが、そんな関係ではないという答えが一番嬉しい。
「あいつは仲介だな」
「仲介?」
「いろんな奴の相談に乗ったり、人を引き合わせたりしてる」
「ふーん?先輩とはどんな関係ですか?相談相手とか?」
「………」
「先輩?」
急に黙りこんでしまった。
そういう関係以上に口に出したくない関係って何?
これ以上聞いてはいけないことなの?
えっ、凄く気になる。
もしや、俺から言わなくていいですよって言葉を待ってたりしますか?
言った方がいいの?でも、凄く気になるの。
自分の好奇心を押さえられない。
「あいつが俺を紹介してたんだよ」
「…誰に?」
「………今まで抱いた奴」
「………」
今まで先輩が抱いた人は、あの人が先輩を紹介してたってこと?
なんでそんな事を?
「あいつは抱かれたい奴と抱く奴を引き合わせたりしてる。相手の好みを聞いて無理矢理ではないしお互い合意すればヤルっていう流れだな」
「………?」
なにそれ。
理解できない。
男子校特有の組織とか?
「先輩も…誰か…紹介して…もらったの?」
「俺が抱いていたのはあいつが俺を紹介してたんだ。その場だけ、面倒事はしない奴限定で」
「…」
頭が追い付かない。
男子校ってこう言うこと当たり前なの?
そう言えば、前に功刀がそんな事言っていたような。
いろんな人が先輩の所に行くって、そう言う事だったの?
これって、どう反応すれば良いの?
わかんない。
「…それは、これからもするの?」
「………」
微かに声が震えた。
ねぇ、どうして答えてくれないの?
不安な気持ちで先輩の袖を掴み、見つめる。
「もう、やらねぇって断ったんだよ。俺の相手は全部芯なんだろっ」
先輩の言葉に頷く。
先輩の相手は俺だけでいいの。
俺以外としないで。
「今後は芯だけだ。俺が相手してた分、芯が全部受け入れんだよなぁ。逃げるなよ」
ん?先輩…悪い顔してる。
あれ?これってヤバいのかも。
顔がピクピクって引き攣る。
俺の身体もたないかもしれない。
先輩って絶倫…というよりも依存症の方かも…。
「他の奴とはしねぇ、全部芯だけだ。なぁ、さっき言ったこと忘れてないよなぁ?」
なんだろう今の先輩の顔、凄く怖い。
冷や汗にも似た感覚。
徐々に距離を縮めてくる先輩を無意識に手で押し退け距離を取ろうとするが、それ以上の力で抱き寄せられる。
嬉しいことなのに背筋がゾクゾクする。
呼吸も上手く出来ていない気がする。
「全部芯が相手してくれんだろ」
身体が震え出す。
これは武者震いじゃない。
「逃げんなよ」
ヤバいかも。
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
あんなこと言わなきゃ良かった。
数十分前に戻して欲しい。
「んぁあっ」
先輩を押し退けていた両手を捕まれ、全く抵抗なんて出来ず首筋に先輩が噛みつく。
それほど痛くないのに恐怖心から声が上がった。
吸血鬼に噛まれた瞬間、恐怖と高揚感を得るって映画かなんかで言ってた。
それって、多分こんな気持ちなのかも。
好きな人から所有の証を付けられて嬉しいと同時に恐怖を覚える。
肉体的にも精神的にも。
「夏休みは、もちろん泊まるよなぁ」
笑顔なのに怖い…笑顔だからこそ怖い。
もうすぐ夏休みだ…。
どうしよう。
授業に出ようと思えば出れたが、なんだか離れたくなかった。
行為が終わり身嗜みを整えて部屋を出ようとした時、先輩に腕を取られ引き寄せられた。
チャイムがなっても抱き合ったままその場を去ろうとはしなかった。
床に座り、お互いの不安を口にした。
「あの人とはどういう関係ですか?」
「…一条とそういう関係になったことはない」
「そうなんだ。フッ…よかった」
過去はどうやっても変えられないから仕方ないと諦めていたが、そんな関係ではないという答えが一番嬉しい。
「あいつは仲介だな」
「仲介?」
「いろんな奴の相談に乗ったり、人を引き合わせたりしてる」
「ふーん?先輩とはどんな関係ですか?相談相手とか?」
「………」
「先輩?」
急に黙りこんでしまった。
そういう関係以上に口に出したくない関係って何?
これ以上聞いてはいけないことなの?
えっ、凄く気になる。
もしや、俺から言わなくていいですよって言葉を待ってたりしますか?
言った方がいいの?でも、凄く気になるの。
自分の好奇心を押さえられない。
「あいつが俺を紹介してたんだよ」
「…誰に?」
「………今まで抱いた奴」
「………」
今まで先輩が抱いた人は、あの人が先輩を紹介してたってこと?
なんでそんな事を?
「あいつは抱かれたい奴と抱く奴を引き合わせたりしてる。相手の好みを聞いて無理矢理ではないしお互い合意すればヤルっていう流れだな」
「………?」
なにそれ。
理解できない。
男子校特有の組織とか?
「先輩も…誰か…紹介して…もらったの?」
「俺が抱いていたのはあいつが俺を紹介してたんだ。その場だけ、面倒事はしない奴限定で」
「…」
頭が追い付かない。
男子校ってこう言うこと当たり前なの?
そう言えば、前に功刀がそんな事言っていたような。
いろんな人が先輩の所に行くって、そう言う事だったの?
これって、どう反応すれば良いの?
わかんない。
「…それは、これからもするの?」
「………」
微かに声が震えた。
ねぇ、どうして答えてくれないの?
不安な気持ちで先輩の袖を掴み、見つめる。
「もう、やらねぇって断ったんだよ。俺の相手は全部芯なんだろっ」
先輩の言葉に頷く。
先輩の相手は俺だけでいいの。
俺以外としないで。
「今後は芯だけだ。俺が相手してた分、芯が全部受け入れんだよなぁ。逃げるなよ」
ん?先輩…悪い顔してる。
あれ?これってヤバいのかも。
顔がピクピクって引き攣る。
俺の身体もたないかもしれない。
先輩って絶倫…というよりも依存症の方かも…。
「他の奴とはしねぇ、全部芯だけだ。なぁ、さっき言ったこと忘れてないよなぁ?」
なんだろう今の先輩の顔、凄く怖い。
冷や汗にも似た感覚。
徐々に距離を縮めてくる先輩を無意識に手で押し退け距離を取ろうとするが、それ以上の力で抱き寄せられる。
嬉しいことなのに背筋がゾクゾクする。
呼吸も上手く出来ていない気がする。
「全部芯が相手してくれんだろ」
身体が震え出す。
これは武者震いじゃない。
「逃げんなよ」
ヤバいかも。
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
あんなこと言わなきゃ良かった。
数十分前に戻して欲しい。
「んぁあっ」
先輩を押し退けていた両手を捕まれ、全く抵抗なんて出来ず首筋に先輩が噛みつく。
それほど痛くないのに恐怖心から声が上がった。
吸血鬼に噛まれた瞬間、恐怖と高揚感を得るって映画かなんかで言ってた。
それって、多分こんな気持ちなのかも。
好きな人から所有の証を付けられて嬉しいと同時に恐怖を覚える。
肉体的にも精神的にも。
「夏休みは、もちろん泊まるよなぁ」
笑顔なのに怖い…笑顔だからこそ怖い。
もうすぐ夏休みだ…。
どうしよう。
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