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リーヴェス アフェーレ
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校外学習が行われる。
私はAクラスでアティランはDクラス。
校外学習などの行事は全クラス共通で行われる。
普段見ることが出来ないアティランを見ることが出来るのに二クラスも間に有ればそれも意味がなくなる。
Aクラスと合同になるのはBクラス…私からアティランを奪ったあいつ同じということだ。
見たくもない奴と一緒なんて不快だ。
AクラスとBクラスは途中まで同じ方向だった。
移動の際あいつが目についたので、風魔法であいつの足元を掬った。
案の定あいつは派手に転んで笑い者になっていた。
それを見ただけで少し気分が晴れた。
魔物が出現しやすいと言われる場所に到着し、魔物が現れるのを待ち構えた。
ここは生徒の練習場所で強いモノは今までに出たことがないらしい。
そこでの実戦訓練だった。
待っていると程なくしてゴブリンなどが現れたが低級の魔物で簡単に倒していく。
普段は結界の魔道具が置かれ学園には侵入されないよう措置されていたが、今日は生徒の実戦訓練の為に魔道具は作動していない。
魔物を倒していくも余裕もあったのであいつを探すと、あいつは威力も弱い難易度の低い技ばかり繰り出していた。
詰まらない奴…そんな奴を優秀なアティランが選ぶなんて考えられない。
やはり、一時の気の迷いだろう。
私が何かしなくてもこの二人は必ず別れるだろう。
意識を目の前に集中させると次第におかしな事に気付きはじめた。
ゴブリンの数が減らない処か増えているように感じる。
倒しても倒しても生まれるゴブリンに焦りが生まれはじめた。
事実に気付いた者達は冷静さを失いはじめ、魔法の威力も衰え一撃で倒せなくなり出した。
次第に焦りや不安は伝染していき、緊張感が辺りを支配していた。
一人また一人と膝をついていき、魔力を練る事が出来なくなり出した。
その状況を目撃すると異常事態であることを実感する。
倒れている生徒が邪魔と感じる程、私も追い詰められていた。
救援信号を出したが救援が現れないことを見ると、異常事態が起きているのは私達だけではないようだ。
アティラン…お前は大丈夫だろうな。
ゴブリンの数が減りだし、終わりを感じ気が緩む。
ドサドサッバタァアアアンガサガサガサガサ
大木が倒れ出した。
何が起きたのか視線を移すと、見たこともない大きさの魔物が存在した。
…もう…無理だ…。
魔力も、もう限界。
俺はここで死ぬのか?
アティランに会いたい。
もっと話せばよかった。
アティランから貰った贈り物は今も大切にしてるんだ。
私もちゃんと贈り物をすればよかった。
勝手に贈り物は使用人が選んでいると決めつけないで、直接聞けばあいつは嘘は吐かずに答えたはず。
恋愛したいといえば、あいつなりに向き合ってくれたはずだ。
向き合うことから避けたのは私だ。
こんな状況で気付くなんて、私は愚か者だ。
「アティラン、私はもう一度お前に会う」
足元にいた倒れた生徒が居ないことに気付いた。
周囲を確認すると後方に集まり手当てを受けていた。
手当てをしていた人物はあいつだった。
状況を正しく把握し、自身の能力を発揮できるところで尽力していた。
あれも正しいことをしていた。
私がそれを、ねじ曲げていたんだな…。
そんなもの気付きたくなかった。
私は全ての雑念を捨て、渾身の一撃を魔物に向かって放った…。
放ったが魔物に効いた様子はなく、私と目があってしまった。
魔物は私に目標を定め攻撃を始めた。
交戦することは出来ず私は逃げるしかなく、せめて人のいない場所へ誘導するくらいだった。
もう魔物に捕まってしまうそう諦めた時、魔物の目に雷が撃ち込まれた。
雷は上級魔法、こんなことを簡単に出来魔力の残っているものは居ないはず…。
救援が来たのか?と見回すと、私が会いたかった人物がいた。
私は夢でも見ているのかと思いながら、瞳が潤んでいく。
見たことの無い技で炎の剣を作り出し魔物に直接仕掛けていく。
近寄るのを恐れた全員が遠距離で攻撃する中、勇敢にも近距離で仕掛けていった。
その姿は勇ましく美しかった。
炎の剣を再現しながら雷の同時魔法には驚きを隠せない。
そもそもアティランは火魔法を使うことが出来たのか?
私はアティランについて知らないことばかりなんだな…。
魔物はゆっくりと倒れ、炎に包まれ丸焦げとなった。
「アティッ」
魔物の最後を見届けアティランを呼びながら駆け寄った…。
「エストレヤ」
「グラキアス様っんっんふっんっあむっんっんぁ…」
二人は抱きしめ合い唇を重ねていた。
こんなに大勢が見守るなか周囲を気にすることなくキスする二人を見つめるしか出来なかった。
…アティランは私に気付くこともなく行ってしまった。
彼を横抱きにしながら去って行く姿を、瞬きも忘れ見続けた。
アティランは抱かれるより抱く側が良かったのか?
私は相手がアティランであればどちらでも良かったんだ。
私かアティランより身体が大きかったから捨てられたのか?
なぁアティラン私を抱き上げることは出来なくても、私はアティランを抱き上げることが出来るぞ。
身体の大きさはどうにも出来ないんだ…だが繋がることは出来たはず…。
アティランにだったら、私は何をされても良かったんだ…。
私はAクラスでアティランはDクラス。
校外学習などの行事は全クラス共通で行われる。
普段見ることが出来ないアティランを見ることが出来るのに二クラスも間に有ればそれも意味がなくなる。
Aクラスと合同になるのはBクラス…私からアティランを奪ったあいつ同じということだ。
見たくもない奴と一緒なんて不快だ。
AクラスとBクラスは途中まで同じ方向だった。
移動の際あいつが目についたので、風魔法であいつの足元を掬った。
案の定あいつは派手に転んで笑い者になっていた。
それを見ただけで少し気分が晴れた。
魔物が出現しやすいと言われる場所に到着し、魔物が現れるのを待ち構えた。
ここは生徒の練習場所で強いモノは今までに出たことがないらしい。
そこでの実戦訓練だった。
待っていると程なくしてゴブリンなどが現れたが低級の魔物で簡単に倒していく。
普段は結界の魔道具が置かれ学園には侵入されないよう措置されていたが、今日は生徒の実戦訓練の為に魔道具は作動していない。
魔物を倒していくも余裕もあったのであいつを探すと、あいつは威力も弱い難易度の低い技ばかり繰り出していた。
詰まらない奴…そんな奴を優秀なアティランが選ぶなんて考えられない。
やはり、一時の気の迷いだろう。
私が何かしなくてもこの二人は必ず別れるだろう。
意識を目の前に集中させると次第におかしな事に気付きはじめた。
ゴブリンの数が減らない処か増えているように感じる。
倒しても倒しても生まれるゴブリンに焦りが生まれはじめた。
事実に気付いた者達は冷静さを失いはじめ、魔法の威力も衰え一撃で倒せなくなり出した。
次第に焦りや不安は伝染していき、緊張感が辺りを支配していた。
一人また一人と膝をついていき、魔力を練る事が出来なくなり出した。
その状況を目撃すると異常事態であることを実感する。
倒れている生徒が邪魔と感じる程、私も追い詰められていた。
救援信号を出したが救援が現れないことを見ると、異常事態が起きているのは私達だけではないようだ。
アティラン…お前は大丈夫だろうな。
ゴブリンの数が減りだし、終わりを感じ気が緩む。
ドサドサッバタァアアアンガサガサガサガサ
大木が倒れ出した。
何が起きたのか視線を移すと、見たこともない大きさの魔物が存在した。
…もう…無理だ…。
魔力も、もう限界。
俺はここで死ぬのか?
アティランに会いたい。
もっと話せばよかった。
アティランから貰った贈り物は今も大切にしてるんだ。
私もちゃんと贈り物をすればよかった。
勝手に贈り物は使用人が選んでいると決めつけないで、直接聞けばあいつは嘘は吐かずに答えたはず。
恋愛したいといえば、あいつなりに向き合ってくれたはずだ。
向き合うことから避けたのは私だ。
こんな状況で気付くなんて、私は愚か者だ。
「アティラン、私はもう一度お前に会う」
足元にいた倒れた生徒が居ないことに気付いた。
周囲を確認すると後方に集まり手当てを受けていた。
手当てをしていた人物はあいつだった。
状況を正しく把握し、自身の能力を発揮できるところで尽力していた。
あれも正しいことをしていた。
私がそれを、ねじ曲げていたんだな…。
そんなもの気付きたくなかった。
私は全ての雑念を捨て、渾身の一撃を魔物に向かって放った…。
放ったが魔物に効いた様子はなく、私と目があってしまった。
魔物は私に目標を定め攻撃を始めた。
交戦することは出来ず私は逃げるしかなく、せめて人のいない場所へ誘導するくらいだった。
もう魔物に捕まってしまうそう諦めた時、魔物の目に雷が撃ち込まれた。
雷は上級魔法、こんなことを簡単に出来魔力の残っているものは居ないはず…。
救援が来たのか?と見回すと、私が会いたかった人物がいた。
私は夢でも見ているのかと思いながら、瞳が潤んでいく。
見たことの無い技で炎の剣を作り出し魔物に直接仕掛けていく。
近寄るのを恐れた全員が遠距離で攻撃する中、勇敢にも近距離で仕掛けていった。
その姿は勇ましく美しかった。
炎の剣を再現しながら雷の同時魔法には驚きを隠せない。
そもそもアティランは火魔法を使うことが出来たのか?
私はアティランについて知らないことばかりなんだな…。
魔物はゆっくりと倒れ、炎に包まれ丸焦げとなった。
「アティッ」
魔物の最後を見届けアティランを呼びながら駆け寄った…。
「エストレヤ」
「グラキアス様っんっんふっんっあむっんっんぁ…」
二人は抱きしめ合い唇を重ねていた。
こんなに大勢が見守るなか周囲を気にすることなくキスする二人を見つめるしか出来なかった。
…アティランは私に気付くこともなく行ってしまった。
彼を横抱きにしながら去って行く姿を、瞬きも忘れ見続けた。
アティランは抱かれるより抱く側が良かったのか?
私は相手がアティランであればどちらでも良かったんだ。
私かアティランより身体が大きかったから捨てられたのか?
なぁアティラン私を抱き上げることは出来なくても、私はアティランを抱き上げることが出来るぞ。
身体の大きさはどうにも出来ないんだ…だが繋がることは出来たはず…。
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