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幸せすぎると不安を感じる
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部屋に戻ると誰かが俺の部屋の前で立っていた。
近づくにつれてハッキリと分かる。
「グラキエス様イグニス様、申し訳ありませんでした。」
教室で噂を信じてエストレヤを責め立てたモブ。
「迷惑だな。」
「…すみませんでした。許してください。」
震えながら許しを乞う姿は本気だろうと伝わる。
伝わったからと言って許せるものではないが。
「断る。」
一刀両断で断った。
噂に踊らされてエストレヤを傷付けるやつをそう簡単に許せるものではなかった。
「…っ…っく…ひっく」
あっ迷惑ぅ。
「…アティ…。」
涙したモブを見て同情してしまったエストレヤが懇願するように俺の名を呼んだ。
見上げるエストレヤの切ない顔は「僕は平気だから許して上げて」と考えているのがまるわかりだった。
「だめだ、簡単に許せるもんじゃねぇ。分かるだろ?こいつは俺達だけじゃなく家門まで侮辱したんだ。侯爵家は薬を使う卑怯者だって教室で言い放ったんだ。教室には貴族だけじゃなく平民がいる、そいつらの前で宣言したんだぞ。エストレヤは家族を侮辱されたんだ、簡単に許すな。」
俺はエストレヤの事しか考えてないが、それだと簡単に許すのを容易に想像できたので家族大好きのエストレヤを利用した。
「………はぃ。」
「ぼっぼくは…そんなっつつつもりは…。」
「そんなつもりなくても、そう言うことなんだよ。」
こいつらは何でこんなにも他人を攻撃できるんだ?
エストレヤには特に見下している節がある…。
例えエストレヤが言い返せない性格だとしても、侯爵家を甘くみすぎだろ?
あのオッサンはこの事をしっているのか?…いや、知っていたら手を打っていたはずだ。
エストレヤが我慢していたから周囲の奴らも調子に乗ったんだろう。
こいつには生け贄になってもらう。
「うっうっうっうっう゛う゛う゛う゛ぅ」
あ゛~うるせぇ。
「…はぁ~わかった。なら、噂を広めた奴らを突き止めろ。」
そんなもん出来ねぇだろうな。
「えっ。」
「そいつらが分かったら言いに来い。」
「それって…。」
「そうしたら、俺はクラウド家に抗議しねぇよ。」
「アティ」
抗議しねぇって言った瞬間エストレヤは喜んだ。
苦しんだのはエストレヤなのに、何でこいつを助けて喜んでんだよ…。
お人好しが。
優しすぎるから、こいつみたいのが暴走してエストレヤが傷つくんだぞ?
分かってんのか?
「エストレヤは?」
「僕もそれで十分です。」
許しちまうのか…。
「ぁっあっあっありがとうございます。」
モブは喜んで走り去った。
俺や侯爵家からは逃れても王家は分からんし、これからすることは仲間を売ることだろ?
自分が助かるために共に噂を信じてエストレヤを非難した奴を売る。
俺達から解放されても新たな敵を作るだけなのを分かってねぇなあいつ。
俺はエストレヤを傷つけた奴を簡単に許すわけねぇだろ。
「入るぞ。」
「うん」
嬉しそうに部屋に入るエストレヤ。
あいつを助ける事が出来たって思ってるんだろうな。
単純でかわいい。
ソファではなくベッドに向かい、エストレヤの腰に抱き付いて横になった。
今日はやり過ぎたなと反省してるのでイチャイチャだけで我慢している。
「エストレヤ。」
「なぁに?」
「愛してる。」
「うん、僕もアティの事愛してる。」
起き上がり優しく唇を重ねた。
再びエストレヤの膝枕に沈んだ。
優しく頭を撫でるエストレヤの手が気持ちいい。
二人きりになるといつもエロい事しかしていなかったので、こんなにのんびり過ごすことなんて初めてかも知れなかった。
今日はこれ以上エッチな事はせずイチャイチャして過ごそう…。
ベッドに入っても俺がエストレヤの腕の中で眠った。
穏やかで深い眠りに少し得たいの知れない恐怖を感じた。
嫌な予感てやつだった。
近づくにつれてハッキリと分かる。
「グラキエス様イグニス様、申し訳ありませんでした。」
教室で噂を信じてエストレヤを責め立てたモブ。
「迷惑だな。」
「…すみませんでした。許してください。」
震えながら許しを乞う姿は本気だろうと伝わる。
伝わったからと言って許せるものではないが。
「断る。」
一刀両断で断った。
噂に踊らされてエストレヤを傷付けるやつをそう簡単に許せるものではなかった。
「…っ…っく…ひっく」
あっ迷惑ぅ。
「…アティ…。」
涙したモブを見て同情してしまったエストレヤが懇願するように俺の名を呼んだ。
見上げるエストレヤの切ない顔は「僕は平気だから許して上げて」と考えているのがまるわかりだった。
「だめだ、簡単に許せるもんじゃねぇ。分かるだろ?こいつは俺達だけじゃなく家門まで侮辱したんだ。侯爵家は薬を使う卑怯者だって教室で言い放ったんだ。教室には貴族だけじゃなく平民がいる、そいつらの前で宣言したんだぞ。エストレヤは家族を侮辱されたんだ、簡単に許すな。」
俺はエストレヤの事しか考えてないが、それだと簡単に許すのを容易に想像できたので家族大好きのエストレヤを利用した。
「………はぃ。」
「ぼっぼくは…そんなっつつつもりは…。」
「そんなつもりなくても、そう言うことなんだよ。」
こいつらは何でこんなにも他人を攻撃できるんだ?
エストレヤには特に見下している節がある…。
例えエストレヤが言い返せない性格だとしても、侯爵家を甘くみすぎだろ?
あのオッサンはこの事をしっているのか?…いや、知っていたら手を打っていたはずだ。
エストレヤが我慢していたから周囲の奴らも調子に乗ったんだろう。
こいつには生け贄になってもらう。
「うっうっうっうっう゛う゛う゛う゛ぅ」
あ゛~うるせぇ。
「…はぁ~わかった。なら、噂を広めた奴らを突き止めろ。」
そんなもん出来ねぇだろうな。
「えっ。」
「そいつらが分かったら言いに来い。」
「それって…。」
「そうしたら、俺はクラウド家に抗議しねぇよ。」
「アティ」
抗議しねぇって言った瞬間エストレヤは喜んだ。
苦しんだのはエストレヤなのに、何でこいつを助けて喜んでんだよ…。
お人好しが。
優しすぎるから、こいつみたいのが暴走してエストレヤが傷つくんだぞ?
分かってんのか?
「エストレヤは?」
「僕もそれで十分です。」
許しちまうのか…。
「ぁっあっあっありがとうございます。」
モブは喜んで走り去った。
俺や侯爵家からは逃れても王家は分からんし、これからすることは仲間を売ることだろ?
自分が助かるために共に噂を信じてエストレヤを非難した奴を売る。
俺達から解放されても新たな敵を作るだけなのを分かってねぇなあいつ。
俺はエストレヤを傷つけた奴を簡単に許すわけねぇだろ。
「入るぞ。」
「うん」
嬉しそうに部屋に入るエストレヤ。
あいつを助ける事が出来たって思ってるんだろうな。
単純でかわいい。
ソファではなくベッドに向かい、エストレヤの腰に抱き付いて横になった。
今日はやり過ぎたなと反省してるのでイチャイチャだけで我慢している。
「エストレヤ。」
「なぁに?」
「愛してる。」
「うん、僕もアティの事愛してる。」
起き上がり優しく唇を重ねた。
再びエストレヤの膝枕に沈んだ。
優しく頭を撫でるエストレヤの手が気持ちいい。
二人きりになるといつもエロい事しかしていなかったので、こんなにのんびり過ごすことなんて初めてかも知れなかった。
今日はこれ以上エッチな事はせずイチャイチャして過ごそう…。
ベッドに入っても俺がエストレヤの腕の中で眠った。
穏やかで深い眠りに少し得たいの知れない恐怖を感じた。
嫌な予感てやつだった。
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