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癒しと言えば
しおりを挟む半年前、孫娘のアカリから懐妊の報せを受けた。
私と、私の息子でありアカリの父親ギルバートとの気持ちのすれ違いから彼女とはずっと疎遠だったが、ある男との出会いによって私達は和解した。
伝説の何でも屋。
夢の配達人の”ヴァロン”。
彼は私達家族を再び結び付けてくれただけでなく、アカリを妻に娶りずっと守り抜くと誓ってくれた。
初めは半信半疑だったがパッと見の軽そうな印象とは違い、何度も私の元を訪れアカリとの結婚を認めてほしいと頼みに来た誠実さ。
アカリが心から笑顔でいられる様にと、彼女との婚姻で結ばれる筈だった大手会社との友好関係を自らを犠牲にして成立させてくれた。
この男になら、孫娘を任せても大丈夫だと思った。
息子のギルバートは、私の妻に瓜二つ。
そして孫娘アカリはギルバートに瓜二つ。
……つまり、アカリは私の妻に良く似ていた。
初めて別荘で顔を合わせた時の衝撃は、今でも忘れられない。
化粧をして、着飾ったアカリは一層私に亡き妻を思い出させてくれた。
幸せに、なってほしい。
心からそう思って、彼女の笑顔をヴァロン君に託した。
……。
アカリの懐妊の報せを受けた時は、年甲斐もなく声を上げて喜んだ。
幸せに暮らしているのだと、ヴァロン君と暖かい家庭を築いているのだと安心した。
……しかし。
私に届いた報せはそれだけではなかった。
ヴァロン君が、終わりの見えない長期任務に行くのだと……。
その間、私の別荘にアカリが滞在したいとの事だった。
”何もこんな時期に長期任務にいかなくとも!”と思ったが、その任務の依頼人の名を聞いて私は何も言えなかった。
アカリの元婚約者の”アラン”。
婚姻がなくなっても私の会社との友好関係を存続させる為に、ヴァロン君が選んでくれた道。
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