【完結】王子の婚約者をやめて厄介者同士で婚約するんで、そっちはそっちでやってくれ

天冨七緒

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明日には戻るのか

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学園に戻るよう促されるも、準備という準備もなかった。
身一つで来たので、身一つで戻るだけだ。

明日の朝には戻るのか…。

学園に戻っても常にエストレヤと一緒にいるのは変わらない。
多少授業中は離れることはあっても変える場所は同じだ。

俺達は変わらない…何度も自分に言い聞かせた。

「アティ…」

「ん?」

コロンと俺の腕にしがみつくのが可愛い。

「もう、無理…。」

「………」

無理ってなんだ?
何が無理なんだ?
怖くて聞けなかった。

「アティ…もぅっしよっ。」

「………しよ?」

何をだ?

「ぅん…」

「…何を?」

「……ェッチ」

幻聴か?
あのエストレヤが自らそんなことを言うはずがない。

「………。」

風呂を出て服を着たままベッドに入るのが当然になった今では、エッチ等することもなく健全なお付き合いになっていた。

「もうっ我慢出来ないよ…。」

エストレヤの瞳が潤んでいく。

「…したいのか?」

「ぅん」

エストレヤからのお誘いに我を忘れて抱き締めたいが必死に堪えた。

「していいのか?」

「…して。」

「…怖くないか?」

「怖くないよ。」

潤んだ瞳は恐怖からじゃないのか?

「………」

「アティ…身体…辛いよ。」

辛いのは俺が酷いことを…。

「…わかった。」

エストレヤの身体を跨ぎ、上から見下ろす。
ゆっくり近付くと、先の行動を読みエストレヤは瞼を閉じた。
柔らかい唇に触れ唇だけを楽しんだ。

「んぁっ……アティ…前みたいにして…、」

「前…みたい…に?」

して良いのか?

「んっ」

エストレヤは唇を開き舌を覗かせた。
唇だけでなく舌を絡めるキスを望んでいるんだよな?

俺だってしたい…。

覚悟を決め唇が深く合わさった。
舌を入れると直ぐにエストレヤの舌と触れた。
唇の角度を変え何度も舌を奪い合う。

俺は許されて良いのか?

拒絶ではない仕草のエストレヤの手が俺の背に触れる。
出会った頃のエストレヤは全てが初めてで、キスも不馴れで一生懸命だった。
一生懸命なのは今も同じで、俺の舌に応えようとしている。
唇が離れるのを察知すると「んぁ」と高い声を発しエストレヤから求めてくる。
服の上からエストレヤの身体を撫で、ゆっくり服を脱がしていく。
風呂場では裸を見ることに躊躇いはないが、今は違う…。
俺が残した痕はまだ消えずに残っている…。

罪の痕。

服を引き抜く一瞬唇が離れ、互いに見つめ合う。
エストレヤの手が俺の両頬を挟み引き寄せられていく。
導かれるまま唇が触れた刹那、躊躇なく唇を求めていた俺の記憶がフラッシュバックする。
あの時の俺は本当に犯罪者のように自分本意の性行為をした。

エストレヤの舌に誘われるまま絡め、俺から遠慮がなくなる。
エストレヤは唇が離れても俺に対して恐怖を見せることはなかった。
首や胸元に移動しても、艶かしい吐息が聞こえるばかりで噛み痕を残した俺を受け入れてくれている。
胸に辿り着けば俺の頭を抱き込む。

そう仕込んだのは俺だ。

俺の背中を握りしめ、服をたくし上げられた。
そのまま背中が露になってもエストレヤの思うようにさせた。

俺がエストレヤを拒絶出来るわけ無い。

脇まで捲られ一旦エストレヤの胸から唇を離し、見つめ合った後エストレヤに脱がされ俺の脱いだ服を嬉しそうに抱えていた。

そんなもんじゃなくて本人が目の前にいるのに…嫉妬させる作戦か?

俺は再びエストレヤの胸にむしゃぶりついた。
気持ち良さそうな吐息を吐いていたので確認すれば恍惚な表情を晒している、胸が感じすぎているからなのか俺の服を嗅いでいるからなのかは分からなかったがエストレヤの表情に安心する。

エストレヤの胸から口を離し、服で隠していた唇を見つけ出し覆うようにキスをした。
唇を堪能した後は胸や腹筋を辿りズボンを脱がせば、引き抜く際エストレヤが腰を浮かして協力している。
パンツを引き抜けば、気持ち太ももで隠すのが可愛らしかった。
あえて埋もれたままにいるエストレヤをキスしたり舌で舐めたりし、焦れったい刺激を送り続けエストレヤの方から膝を開かせた。
舐めやすいように開かれた膝の間に移動し舐めやすくなったので、エストレヤの太もも抱え口に含み出した。
先端から溢れだし始めたモノを今か今かと待ち望んでいる。
久し振りのエストレヤの味をもっと欲しくて強く吸えば、抱えている足が震え出し頭を挟み込まれる。
舌や唇でエストレヤを追い上げ、裏を攻め立てると分かりやすく反応する。
先程奪った俺の服をまた抱え、顔を隠しながらも足は広げ俺を望んでいる。
エストレヤのを口に咥え込み全てを味わい、強く吸い上げ先端を刺激するとエストレヤがイった。
最近していなかったからか俺がエストレヤの味を忘れてしまっていたのか、久々のエストレヤはとても濃く感じる。

一滴も残さないよう舌で拭い取った。

感じすぎているエストレヤは内腿に力が入り、頭を挟んでくる。
エストレヤのモノから唇を離し、両手で抱え込むように太股を広げ優しく後を残す。
噛み後ではなくキスの痕でエストレヤの内腿に鮮やかな色が残る。
残った痕を優しく撫で笑みが溢れ吐息が漏れる。

体勢を起こし次の行為の為に香油に手を伸ばせば、視線に気付き振り向けば目があった。
その瞳に引き寄せられるようにエストレヤに覆い被さり頬にキスを贈った。

「平気か?」

「んっ」

「どうした?」

「…ァティの…早く…欲しっ。」

俺の服で隠れながら強請る姿が堪らなく可愛かった。

天然…小悪魔…魔性…悪女…。

簡単に落ちる俺の方が単純なのか、以前もこんなこと思ってたな…成長してないな。
香油を握りしめながらエストレヤの首にかぶり付いた。
唇も好きだが首や胸も捨てがたい。
胸はまぁ理由は分かるが首は何でだ?
急所だからエストレヤを獲物と認識し手に入れようとしているのか?

…こいつは俺のだと言いたいのかもしれない。

首から離れ唇に吸い寄せられる。
媚薬を盛られ痛感した…抗えない本能に都合の良い妄想。
あの時、俺はずっとエストレヤを相手にしていた。

妄想も現実もエストレヤを抱きまくった。

エストレヤの存在そのものが俺にとっては媚薬。
あの時と同じように相手を欲し、俺のを注ぎ込みたい欲望に駈られる。
香油の蓋を開け爽やかな香りが広がっていく。
手に取り少し暖めてからエストレヤの身体に触れる…。
今更丁寧にしてもあの時のことがなくなる訳じゃないのは分かってる。
それでも、いつも以上念入りに解していく。
香油もケチる事なく使った。
ベッドが汚れるとか、そんなもんは気にしなかった。
洗濯するのは使用人だったので、多少の申し訳なさはあったがそれよりエストレヤを優先した。

一本…また一本と指を増やしていく。

初めての時以上に進みはゆっくりだった。

「んっん…ァティ…もっ平気…欲しぃょっんっ…。」

「…無理…してないか?」

「ツラィ…もう…我慢できなっん…アティ…のほしっよっ。」

「………」

エストレヤの言葉に理性が奪われ、鼻血が出ているような感覚に襲われた。
指を引き抜き俺のを当てていく。
グググッと入り込むと、エストレヤの表情が痛みで変わるも一瞬でその後は求めるように俺と視線があった。
薄く唇が開き「きて」と口が動いたように見えた。

俺の願望か?

エストレヤの腰を抱え、奥へと進み入る。
ゆっくり揺さぶるように限界まで到達する…それでもエストレヤのもっと中へ入りたく揺さぶる腰が激しくなる。
エストレヤの喘ぎ声を聞きながら突き進めば、必死に俺の服を抱えていた…俺の服は邪魔だな。

俺の服を大事そうに抱えているエストレヤから服を奪い取った。

「んぁっ」

「顔…見えねぇ。」

「…んっ」

「服じゃなくて俺にしがみついてろ。」

「ぅん。」

空いてしまった両手を俺の肌をなぞりながら首に腕が回った。

エストレヤが俺の首に腕を回す仕草…エロいよな。
遠慮がちに腕を回しているんだろうけど、エストレヤの柔らかく細い手になぞられると誘惑されてるように思えんだよ。
イメージとしては波打つロングヘアーの女性に、後ろから身体を確かめられるように抱き締められる…特徴的な赤いマニキュアが似合う女郎蜘蛛のような雰囲気があった。
エストレヤの場合は無意識に自身の色気を振り撒いていることを知らない。
自身の魅力を最大限に活かし「赤」という色で武装してくるのではなく、エストレヤは純真無垢で「白」を選びながらもチラッと肌を見せたりアクシデントで水に濡れ透けている事に気づいているのかいないのかがエストレヤだ。
目線が合うと熱い視線で俺を求めているように感じ、唇が触れていた。
唇を塞ぎながらエストレヤを求めるときゅっと締め付けるのがなんとも言えない。
激しくなる動きにつれ腕の力が込められる。
耳元で聞くエストレヤの喘ぎ声を楽しみたいのに唇を塞いでいた。
エストレヤのモノを腹に受けても止める事なく続け、俺のをエストレヤの中に放った。
そのままの状態で抜くことはせず余韻に浸っていた。

「…んっァティ…」

「…重いか?」

本当はもっと抱き締めていたかった…。

「んん…やっんだめ…。」

「ん?どうした?」

「……もぅ…一回…して…。」

「………。」

「まだ…終わりたく…なぃ。」

エストレヤの言葉に簡単に反応してしまうのは男として当然の反応だ。
惚れた奴に求められて「いや、今日は終わり」なんて言えるわけねぇ。

「んぁっ」

反応してしまった俺のにエストレヤが反応した。
その後も何度も繰り返しカーテンの隙間から闇が消えたのを知りつつ、俺達は…俺はエストレヤに求められるまま求め続けた。

俺はまた操られているのか?
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