【完結】王子の婚約者をやめて厄介者同士で婚約するんで、そっちはそっちでやってくれ

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
102 / 177

エストレヤ イグニス

しおりを挟む
アティの重みや髪を堪能していると、僕まで眠くなり瞼を閉じてしまった。
寝ちゃだめと自分に言い聞かせながら寝ないようにしたが、ふと瞼を開けると公爵様やお父様が僕を覗き込んでいた。
いつの間にか眠ってしまっていたようだった。

「あっ」

「アティランは眠れたんですね。」

公爵様は眠っているアティの後頭部を見ていた。

「はい。」

「…良かった。」

「…あっ」

起きようとするも、アティに抱き締められていたので身動きが取れなかった。

「苦しいですか?」

「いえ」

「なら、そのままでいてあげてください。」

「…」

そのまま?このまま。
アティに抱き締められたままソファに眠っている体勢で、公爵様とお話は良いのかな?

「エストレヤ様は本日お泊まりになるって事でよろしいですか?」

「……」

お泊まり?アティのお屋敷に?
婚約者っぽい。
良いのかな?とお父様を目線で確認すれば、頷いてくれた。

「アティランの側にお願いできますか?」

「はいっ。」

嬉しくってアティの頭を撫でていた。

「エストレヤ様は夕食こちらで召し上がりますか?」

「出来ればお願いします。」

それから夕食はアティの部屋に用意された。
寝ながら食べるわけにもいかず、なんとかアティを離して使用人の方達がアティをベッドまで運んでくれたんだ。
僕は手早くお風呂を済ませ食事はアティが目覚めてからとアティの側に戻った。
アティは熟睡していて起きる気配はなかった。
「側にいる」と言ったので、少しでも離れると約束を破ったようでモヤモヤした。
久し振りのアティだったので、寝顔をいつ迄も見ていたかった。

「アティ大好きっ。」

隈が酷く眠っているのを起こしたくはないのに、つい話し掛けてしまった。

「アティ元気になったらエッチしようね…僕…待てないよ…ちゅっ」

我慢できずに唇にキスしてしまった。
変わらず安定した寝息に僕のエッチな囁きはアティには届いていないことに少し残念だった。
起きていたらきっと、アティから気持ちいいキスしてくれたと思う。
アティはまだ回復していないのに、こんなエッチな奴が側にいちゃいけないのかも…エッチな事考えるの止めないと。
僕もアティのベッドに入り、アティに身を寄せた。
抱き締めたり、抱き締められる体勢で眠っていたので横並びに大人しく眠るのはアティと一緒になってから初めてかもしれない。
こんなに近くにいても寂しく感じるのって、僕がアティに甘えすぎていたのかな。
もう、アティ無しなんて考えられない。
どうしても寂しくて、アティの腕に抱きついて眠った。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

処理中です...