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エストレヤ イグニス

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お父様と話していると執事が現れ、手には手紙を持っていた。
手紙を届け、帰りに返事をもらってくれていた。
手紙はお父様に渡され、中を確認する姿に僕は緊張しながら様子を伺った。
読み終えたお父様は一度ゆっくりと目を閉じた。

何?どうしたの?

「グラキエス公爵からだ。」 

公爵…ってことはアティのお父様。

「はぃ。」

「明日の訪問が許された。」

「…はいっ。」

良かった…アティに会えるんだ。

「だが、アティラン様はエストレヤと会うのを躊躇っているそうだ。」

「そんなっ。」

どうしてっ。

「…確り話し合いなさい。」

「…はぃ。」

アティは…僕が決めて良いって…アティの気持ちは婚約解消するつもりなのかな?

「泣くんじゃない。」

僕はいつの間にか泣いていた。

アティと…別れたくない。

お父様は僕の横に座り頭を撫でてくれたが、僕はその行為にアティを思い出した。
アティも、僕の頭をよく撫でてくれた。
撫でてくれるのは眠ってる時が多くて、もっと撫でて欲しくて寝た振りをしていた。
いつの間にかエッチに流れてたけど、アティに撫でられるの好きだった…。

もう、撫でてくれないの?

「大丈夫だ、きちんと話せば解消にはならない。」

「んっ。」

「それに万が一解消を言われても、エストレヤがしたくなければ公爵には私から話す。」

「…そこまでは…。」

アティと解消したくないけど、アティの気持ちも無視したくない。

「私は父親だエストレヤの為なら、何でもする。」

「…お父様っ…ありがとうっございまっす…。」

お父様の優しさが嬉しかった。
けど、そうならないようにちゃんと話します。
アティと別れないように…。

「安心なさい。」

「…はい。」

なんだか久し振りにお父様と話して、頭を撫でてもらっていたら落ち着いて眠りに誘われる。

なんだか子供に戻ったみたい。

こんなにお父様に甘えたのいつぶりだろう?
アティに甘えてばかりだったから、お父様にもつい甘えてしまう。
お父様も僕に腕を回して抱き寄せてくれたけど、アティとは違う安心感だった。
ポンポンとあやすように叩かれるとホッとして、睡魔に襲われ始めた。
ここで眠ったらお父様の迷惑になるのに、お父様の服を握り締め眠ってしまった。
人の温もりを感じながら眠るのに慣れてしまっていたので、最近はずっと寂しかった。
お父様の心臓の音を聞きながら深い眠りについた。
一度起きると僕はいつの間にか自身の部屋に移動し、ベッドで眠っていた。
誰の温もりもなく、アティの香りもしない僕の部屋は凄く冷たく感じる。

早く明日にならないかな…アティに会って温もりを感じたい。

そう思いながら再び眠った。

早く明日になりますように。
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