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逃げた
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親が来た。
この事は既に公爵家に伝わり、学園で起きたことは全て学園側が判断し処罰を決める。
だが、王族と公爵家の問題は学園には難しく、そこに侯爵家も関わっているとなれば尚更だった。
学園に媚薬を持ち込み、婚約者のいる相手に使った。
使ったのが王族で、使われたのが公爵令息…。
公爵令息の婚約者は侯爵令息。
誰もが知っている高位貴族だ。
媚薬を盛った所は知られてはいないが、王子が侯爵令息に飲み物を掛けたのは数人の生徒が目撃しその事を知る生徒は多数いた。
うやむや…など出来るはずもなく、穏便に解決しなければならない。
と言うことで公爵家侯爵家の当主が呼ばれた。
侯爵には金髪がエストレヤに飲み物を掛けたことも、着替えと同時に閉じ込められていたことも伝えられた。
公爵には俺が媚薬を盛られ、盛ったのが金髪だったのを伝えていた。
そして媚薬が抜けるまで俺がエストレヤを犯していた事も、まだ目覚めていない事も正直に伝えた。
父さんもおっさんも顔には出していないが、困惑し複雑なようだった。
相手が王子だと言うことで、どう対処するべきか。
「エストレヤの容態は?」
誰の顔もみることができず俯いたまま尋ねた。
「医師の診断によれば、数日安静にしていれば回復するだろうと。」
「…そうですか…。」
「「「………」」」
「この後、エストレヤは?」
「ここには医師もいるし、もうじき目覚めるだろう。私も側にいる…」
おっさんは「も」と言った…。
「……俺は…エストレヤに会わせる顔…ないんで…。」
「………、」
俺が酷くエストレヤを抱いた事は話している。
エストレヤを愛してると偉そうなことを言っておきながら、俺はエストレヤを守ることができず俺がエストレヤを傷付けた…。
「俺は…一度…屋敷に戻ります…。」
「……分かった…エストレヤには、起きた時に伝えておく。」
「…はぃ…それと…婚約の件は…エストレヤ次第で…良いと、伝えてください。」
エストレヤ次第で…。
エストレヤが俺とは婚約を続けたくないと言えば受け入れるしかない。
それだけの事をしたと理解している。
「…それは…解消しても構わないと言うことか?」
決して俺とおっさんは良好とは言わない、悪くもないが俺がエストレヤを愛しすぎておっさんがが怒るのが面白すぎて揶揄える関係を気付いていると思ていた…。
そんなおっさんが「俺が解消も覚悟の上だ」といえば動揺していた。
「………はぃ」
解消…。
俺はまた解消するのか…。
「…わかった。」
おっさんも俺の意思を飲んでくれた。
俺は逃げるように学園を…エストレヤの側から去った。
惨めな俺の姿を見てもなにも言わず、屋敷について逃げ帰ることを許してくれた。
父さんと一緒に馬車に乗り屋敷へ向かった。
「…身体は平気か?」
「…はぃ。」
「そうか…。」
その後は無言で屋敷についていた。
「アティラン…夕食まで部屋で休んでいなさい。」
「…はぃ。」
俺は部屋で一人になり、ソファに座った。
こんこんこん
「…はぃ」
「夕食の準備が整いました」
もう?
今座ったところなのに…。
だが、時間を確認すればあれから一時間が経っていた。
「…食事は…いらない…食欲がないんだ。」
「…畏まりました。」
使用人は去っていった。
パーティーの日から二日たったが、食べる気力がなかった。
目を閉じて思い出すのは、相手を人形のように乱暴に扱い噛みついたことで逃げようとするのを押さえつけ欲望をぶちまけている光景だ。
相手の身体は噛み痕だらけで、悲鳴もあげていた。
それなのに俺は抱き続けた。
相手がエストレヤだと思いもせずに。
…最低だった。
この事は既に公爵家に伝わり、学園で起きたことは全て学園側が判断し処罰を決める。
だが、王族と公爵家の問題は学園には難しく、そこに侯爵家も関わっているとなれば尚更だった。
学園に媚薬を持ち込み、婚約者のいる相手に使った。
使ったのが王族で、使われたのが公爵令息…。
公爵令息の婚約者は侯爵令息。
誰もが知っている高位貴族だ。
媚薬を盛った所は知られてはいないが、王子が侯爵令息に飲み物を掛けたのは数人の生徒が目撃しその事を知る生徒は多数いた。
うやむや…など出来るはずもなく、穏便に解決しなければならない。
と言うことで公爵家侯爵家の当主が呼ばれた。
侯爵には金髪がエストレヤに飲み物を掛けたことも、着替えと同時に閉じ込められていたことも伝えられた。
公爵には俺が媚薬を盛られ、盛ったのが金髪だったのを伝えていた。
そして媚薬が抜けるまで俺がエストレヤを犯していた事も、まだ目覚めていない事も正直に伝えた。
父さんもおっさんも顔には出していないが、困惑し複雑なようだった。
相手が王子だと言うことで、どう対処するべきか。
「エストレヤの容態は?」
誰の顔もみることができず俯いたまま尋ねた。
「医師の診断によれば、数日安静にしていれば回復するだろうと。」
「…そうですか…。」
「「「………」」」
「この後、エストレヤは?」
「ここには医師もいるし、もうじき目覚めるだろう。私も側にいる…」
おっさんは「も」と言った…。
「……俺は…エストレヤに会わせる顔…ないんで…。」
「………、」
俺が酷くエストレヤを抱いた事は話している。
エストレヤを愛してると偉そうなことを言っておきながら、俺はエストレヤを守ることができず俺がエストレヤを傷付けた…。
「俺は…一度…屋敷に戻ります…。」
「……分かった…エストレヤには、起きた時に伝えておく。」
「…はぃ…それと…婚約の件は…エストレヤ次第で…良いと、伝えてください。」
エストレヤ次第で…。
エストレヤが俺とは婚約を続けたくないと言えば受け入れるしかない。
それだけの事をしたと理解している。
「…それは…解消しても構わないと言うことか?」
決して俺とおっさんは良好とは言わない、悪くもないが俺がエストレヤを愛しすぎておっさんがが怒るのが面白すぎて揶揄える関係を気付いていると思ていた…。
そんなおっさんが「俺が解消も覚悟の上だ」といえば動揺していた。
「………はぃ」
解消…。
俺はまた解消するのか…。
「…わかった。」
おっさんも俺の意思を飲んでくれた。
俺は逃げるように学園を…エストレヤの側から去った。
惨めな俺の姿を見てもなにも言わず、屋敷について逃げ帰ることを許してくれた。
父さんと一緒に馬車に乗り屋敷へ向かった。
「…身体は平気か?」
「…はぃ。」
「そうか…。」
その後は無言で屋敷についていた。
「アティラン…夕食まで部屋で休んでいなさい。」
「…はぃ。」
俺は部屋で一人になり、ソファに座った。
こんこんこん
「…はぃ」
「夕食の準備が整いました」
もう?
今座ったところなのに…。
だが、時間を確認すればあれから一時間が経っていた。
「…食事は…いらない…食欲がないんだ。」
「…畏まりました。」
使用人は去っていった。
パーティーの日から二日たったが、食べる気力がなかった。
目を閉じて思い出すのは、相手を人形のように乱暴に扱い噛みついたことで逃げようとするのを押さえつけ欲望をぶちまけている光景だ。
相手の身体は噛み痕だらけで、悲鳴もあげていた。
それなのに俺は抱き続けた。
相手がエストレヤだと思いもせずに。
…最低だった。
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