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ティエンダ様の婚約者 ラフィキ フロイントです
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突然、婚約者が僕の部屋を訪ねてきた。
学園に入学して初めての出来事で驚いた。
けど、瞬時に悟ってしまった。
婚約解消だと。
僕たちの婚約は幼い頃に決まり政略的で…義務…だった。
婚約が決まって初めて会った彼は、同い年でありながら見上げる程背が高かく身体も大きかった。
それは未だに変わらないどころか、差は広がるばかり。
月一のお茶会も彼には面倒事の一つのように見え、学園に入学するとお茶会は自然と無くなった。
すれ違って声をかけるという習慣は僕たちにはなかった。
きっと彼の視界には僕は写っていないだろう。
物理的にも心理的にも。
最近では彼の側に可愛らしい男が居るようになった。
僕と同じ、子爵家のリヴァル様だった。
彼には婚約者がいない。
きっと、ティエンダ様の事を狙っているんだと思う。
寧ろ…僕の方が邪魔物なのかもしれない。
今日で彼との婚約期間が終わる…。
なかなか切り出せないでいる彼を部屋に招き、最後の婚約者の時間を味わった。
「手を繋がないか?」
彼の言葉が理解できなかった。
手を繋ぐ?
これから婚約解消について話すのに?
聞き間違いなのではと聞き返しても、やはり手を繋ぐらしい。
よくわからないまま、手を繋いだ。
彼に触れたのは、これが初めてだった。
婚約解消するのに…。
「…あの…話は?」
「あっ、あぁ。これからもっと逢わないか?」
「…ぇ?」
会う?どうして?
僕たちの関係は終わりに向かっているのに…。
「私達は婚約者だ、貴方との二人きりの時間が欲しい。」
二人きりの時間?
「………」
「ダメだろうか?」
「婚約は…続行…と言うことですか?」
「…ん?どういう事だ?」
「…てっきり解消の話かと」
「…なっ…何故そんなことをっ」
「ひゃんっ」
ティエンダ様が突然大きな声を出したので驚いて変な声が出てしまった。
どうしてそんなに怒るの?
え?本当に違うの?
ティエンダ様はリヴァル様と…。
あれ?僕の勘違い?
「ぃえ…その…僕の勘違いでした。」
「………勘違いさせたのは俺だ。それなのに図々しいかもしれないが、貴方の婚約者として大切な時間を俺にくれないか?」
「…はぃ」
これからも婚約者ってことで良いんだよね?
「そっそうかっ…良かった」
初めて彼と沢山話した。
お喋りが嫌いなのかな?と思っていたが違った。
僕は彼の事で沢山間違っていたみたい。
初対面の時も僕との婚約が嫌で、ぶっきらぼうなんだとばかり思っていた。
彼が話すのをじっと見つめていると、耳が赤くなっていたのがわかった。
その事実を発見してから、僕はずっと勘違いしていたのを知り今までを後悔した。
もっと早く知りたかったな…。
会話している最中、時折手に力が入り強く握られた。
僕とは違って、彼の手は大きくて少しゴツゴツしている。
剣が得意だというのは噂や訓練を遠目から観た時に知っていた。
本人からは…。
これからは本人から聞けるのかな?
僕から聞いても良いのかな?
学園に入学して初めての出来事で驚いた。
けど、瞬時に悟ってしまった。
婚約解消だと。
僕たちの婚約は幼い頃に決まり政略的で…義務…だった。
婚約が決まって初めて会った彼は、同い年でありながら見上げる程背が高かく身体も大きかった。
それは未だに変わらないどころか、差は広がるばかり。
月一のお茶会も彼には面倒事の一つのように見え、学園に入学するとお茶会は自然と無くなった。
すれ違って声をかけるという習慣は僕たちにはなかった。
きっと彼の視界には僕は写っていないだろう。
物理的にも心理的にも。
最近では彼の側に可愛らしい男が居るようになった。
僕と同じ、子爵家のリヴァル様だった。
彼には婚約者がいない。
きっと、ティエンダ様の事を狙っているんだと思う。
寧ろ…僕の方が邪魔物なのかもしれない。
今日で彼との婚約期間が終わる…。
なかなか切り出せないでいる彼を部屋に招き、最後の婚約者の時間を味わった。
「手を繋がないか?」
彼の言葉が理解できなかった。
手を繋ぐ?
これから婚約解消について話すのに?
聞き間違いなのではと聞き返しても、やはり手を繋ぐらしい。
よくわからないまま、手を繋いだ。
彼に触れたのは、これが初めてだった。
婚約解消するのに…。
「…あの…話は?」
「あっ、あぁ。これからもっと逢わないか?」
「…ぇ?」
会う?どうして?
僕たちの関係は終わりに向かっているのに…。
「私達は婚約者だ、貴方との二人きりの時間が欲しい。」
二人きりの時間?
「………」
「ダメだろうか?」
「婚約は…続行…と言うことですか?」
「…ん?どういう事だ?」
「…てっきり解消の話かと」
「…なっ…何故そんなことをっ」
「ひゃんっ」
ティエンダ様が突然大きな声を出したので驚いて変な声が出てしまった。
どうしてそんなに怒るの?
え?本当に違うの?
ティエンダ様はリヴァル様と…。
あれ?僕の勘違い?
「ぃえ…その…僕の勘違いでした。」
「………勘違いさせたのは俺だ。それなのに図々しいかもしれないが、貴方の婚約者として大切な時間を俺にくれないか?」
「…はぃ」
これからも婚約者ってことで良いんだよね?
「そっそうかっ…良かった」
初めて彼と沢山話した。
お喋りが嫌いなのかな?と思っていたが違った。
僕は彼の事で沢山間違っていたみたい。
初対面の時も僕との婚約が嫌で、ぶっきらぼうなんだとばかり思っていた。
彼が話すのをじっと見つめていると、耳が赤くなっていたのがわかった。
その事実を発見してから、僕はずっと勘違いしていたのを知り今までを後悔した。
もっと早く知りたかったな…。
会話している最中、時折手に力が入り強く握られた。
僕とは違って、彼の手は大きくて少しゴツゴツしている。
剣が得意だというのは噂や訓練を遠目から観た時に知っていた。
本人からは…。
これからは本人から聞けるのかな?
僕から聞いても良いのかな?
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