上 下
55 / 177

醜い僕の心に気付かれませんように エストレヤ イグニス

しおりを挟む
朝目覚めるといつもは違う光景だった。
僕の腕の中でアティランが眠っている。
なんだか心地よくて、さらさらの髪を優しく撫でた。
アティランは、どうしてあんなに不安なんだろ…。
完璧で格好よくて誰からも認められていて、記憶を失っても魅力的なのに…。
僕なんかにそんな心配ならなくても…。
だって僕の方は…。
僕のが捨てられるくらい不釣り合いなのに、どうしてあんなに不安になるんだろう?
きっと僕の方がアティランの事、大好きなのに…。
どうやったら、僕がアティランの事大好きなの伝わるのかな?
「大好き」って言葉だけじゃだめなのかな?
「愛してる」は恥ずかしくて、なかなか言えないけど沢山言った方がいいのかな?
言葉以外で分かってもらうとしたら…エッチしかないのかな?
僕からエッチな事を迫るなんて…。
どんなことすればいいんだろう?
昨日みたいな事は僕には絶対出来ない…縛るなんて…。
アティランを僕が縛る?
縛られたアティランは…見たい…かも…。
だっだめ…。
僕にはまだハードルが高い。
別の事考えよう。
僕が出来るとしたら…キス…かな。
アティランがしてくれる気持ちいいエッチなキス、僕は上手に出来るかな?

「んっん゛ん」

アティラン…起きたのかな?
様子を窺っても、まだ夢の中のようだった。
寝ているのを良いことに、僕の意思でアティランの頬にキスをした。

「アティラン大好き。」
 
「好き」よりも上で「愛してる」よりも言葉がすんなり出ていた。
愛してない訳じゃない…恥ずかしくなるだけ。

その後、気持ち良さそうに眠るアティランを見ていたら眠くなってしまったので、二度寝してしまった。
次に起きた時、アティランはまだ僕の腕の中にいた。
いたけど…服を捲られ僕の胸はアティランの口の中で舌に転がされていた。

「んやぁん…アティラン…んっふぁん」

こんなに胸を感じるようになってしまったのは、言うまでもなく執拗にアティランに攻められたからだ。
アティランは胸を舐めたりするのが好きだって事に漸く気付いた。
僕にとってアティランは、おっきいエッチな赤ちゃんだった。
あのアティラン グラキエスがこんなにも胸が大好きなんて誰も知らないんだろうな。
僕だけが知ってるアティランに、嬉しくてアティランの頭を撫で続けていた。
胸から口を離したアティランと目が合うと、自然と唇を重ねていた。

「おはよう」

「おはよぅ」

その後は…いつもの朝のようにアティランと…しちゃった。
こんなに沢山しちゃってるのに毎日気持ちよくて、飽きることがない。
お父様は飽きる日が来るって言ってたけど、来ないんじゃないかなって楽観的になってしまう…。
だけど、ふとした瞬間怖くなる。
僕じゃなくて、アティランが僕の事飽きちゃったらどうしよう…。
僕の胸をアティランはいつまで夢中で居てくれるかな?

「エストレヤ風呂行けるか?」

「うん」

裸で抱き抱えられお風呂場まで歩くことなく着き、アティランの手によって身体の隅々まで綺麗にされた。
またエッチな事したくなったけどそれは秘密…にしてたんだけど、すぐにバレてお風呂場でもしちゃった。
バスローブ姿でソファで寛いでいたが、そろそろ準備して食堂で朝ごはん食べて学園に向かわないと遅刻しちゃう。
記憶を失ったアティランはすぐに授業を欠席したがる。
それが本気かどうか分からないけど、ちゃんと「だめ」って言わないと僕の方が離れたくなくなっちゃう。

本音はずっと側にいたい。

クラスが違うのもイヤ。
僕の知らないアティランもイヤ。
僕のアティランを他の人に見らるのもイヤ。
アティランが楽しそうに会話をしている姿をみるのもイヤ。
誰かがアティランに触れているなんてもっとイヤ。
僕がこんなに醜いって知ったらアティランは…どうするかな…。
絶対に知られたくない僕の醜い心。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?

秋月一花
恋愛
 本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。  ……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。  彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?  もう我慢の限界というものです。 「離婚してください」 「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」  白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?  あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。 ※カクヨム様にも投稿しています。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

うそっ、侯爵令嬢を押し退けて王子の婚約者(仮)になった女に転生? しかも今日から王妃教育ですって?

天冨七緒
恋愛
目覚めると王妃教育が始まる日。 婚約者の侯爵令嬢から、あの手この手で王子を奪った子爵令嬢に転生してしまいました。 子爵令嬢という立場では婚約者にはなれないので多少の教養を身に付けてから何処かの貴族に養子にという表向きの言葉を信じ今日から王妃教育が施されます。 実際は厳しくされ、逃げ出すよう仕向け王妃に気に入られている侯爵令嬢を婚約者に戻す計画のようです。 その後、子爵令嬢は王子を誑かした罪により自身に見合った職業、娼婦にされるという大人達の思惑。 目覚めるのが早ければ王子なんて手出さないのに。 手を出した後。 このままだと娼婦。 その道を避けるには、出来るだけ真面目に王妃教育をこなし王族の怒りをこれ以上買わないようにし静かに身を引く。 せめて追放ぐらいにしてくれたらその後は一人で生きていきます。 王宮では恥知らずの子爵令嬢を出迎える準備が整っていた。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

処理中です...