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侯爵家当主
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「エストレヤ」
アティラン様が艶かしくエストレヤを呼べば、熱に浮かされたように歩きだしていき数度言葉を交わすとエストレヤは私を確認してきた。
二人は見つめあいエストレヤはアティラン様の膝を跨いで座った。
慣れた二人を呆然と見つめていると口付けを交わし始めた。
目の前で起きていることはこれは現実なのか?
「エ…エストレヤ?」
「…だめぇん…みんな…みてる…んっんやぁんだめぇんんぁっ」
名を呼んでも二人は私たちなんて気にする事もなく戯れている。
正確にはアティラン様がじゃれているように見えた。
「…ア…アティラン様…よ…よろしい…かな?」
「はい」
返事あるもののエストレヤを抱きしめることも首に口付けていることも止める気配がなかった。
「…二人は…その…もう?」
「もう?」
「その…だから…既に…関係があるのか?」
「関係?」
こいつ、分かっていて惚けてやがるな?
お前にわかるか?親は子供の性事情など確認したくはないんだ。
だが、確認しなければならないこの複雑な心境を。
事実は知りたいが真実を聞くのが怖い…。
「エストレヤと…したのか?」
「した?」
この野郎。
「セックスをしたのか?」
ニヤついてんじゃねぇ。
「だって?どうするエストレヤ?正直に答えるか?」
もう、それは答えをいっているようなものだ…。
そうなのかエストレヤ。
お前はもう…。
「………。」
頭を振り事実を知られたくないと主張する姿はもう言い逃れが出来ていないんだ。
「お父さんに嘘吐くの?」
お父さんと呼ぶな。
「………」
「どうする?」
私の目の前で私に嘘を吐くかどうか話し合っている。
どっちが良いのだろうか…。
正直に真実を話されるのと、天使のようなエストレヤに私が望む嘘を言われるの…どちらも受け入れたくない。
「…ぃぃよ…言って。」
やはり私の天使。
「わかった…ちゅっ…しましたよ、なぁ毎日。」
キスはいらんだろ?
しかも最後の一言も。
私のエストレヤを汚しおって…。
「エストレヤっこっちに来なさい。」
「はっ…はい」
あの野郎から離さなければ私のエストレヤが…。
私の可愛いエストレヤが汚されていくのは許せない。
そんな奴から離れ私のところに来なさい。
「だぁめ…エストレヤが座るのは俺の膝の上だろ?」
「…ぅん。」
あの男が額を付け甘えるような仕草をすれば、エストレヤは簡単に頷いてしまう。
「エストレヤっ、膝に座りたいなら私の膝に座りなさい。」
なんだこのエロい事しか頭にないような男はっ。
エストレヤはな、幼い頃から「おとぅしゃまぁ」と私に駆け寄り抱きしめられるのが好きなこだったんだ。
私に抱きしめられるのがっ。
「んあ?それは違うんじゃねぇの?あんたの膝の上に乗れんのは今、あんたの隣に居る奴だけだろ?」
「………」
否定は出来なかった。
私たちは…ご無沙汰でもある。
仲が悪いわけではない。
ただ…タイミング?
妻を見るとあっちも同じ思いなのか、途端に気恥ずかしくなってしまった。
「アティラン…いつから二人はそんな関係なんだ?」
私が話すことが出来なくなってしまったので、公爵が私の代わりに尋ねてくれた。
「あー、俺が学園に戻った日からっすね。」
それは大分経っているのては…。
それから毎日なのか?
「その日から…エストレヤ様と?」
どうなんだ?
「だよな?」
「………」
アティラン様の胸に顔を埋めたまま小さくなってしまっていた。
そんな反応を見せるからこの男が鼻の下を伸ばすんだ。
エストレヤに優しく微笑んでいる表情が、いつの間にか下品な顔に見えてくる。
「エストレヤ。」
「恥ずかしい?」
「……ん」
エストレヤはお前と違うんだ。
「俺は浮かれてるのかもな…婚約者になれて。」
「……ぼくも…うれしっ…んんっんぁむっんん」
そんな分かりきった言葉に騙されるなぁ。
隙を見せるなエストレヤ。
その男は私たちが知っているアティラン様ではないっ。
「ん゛っんん…ん゛っんん」
咳で止めるよう促すもなかなか止めない。
「エストレヤ…アティラン様と散歩でもしてきてはどうだろうか?」
離れろ。
「ぁっはい。」
「なら、エストレヤの部屋を案内してくれよ。」
「にわだぁ、庭を案内してさしあげなさい。」
この男は危険だ。
私が目を光らせないとエストレヤが大変なことに。
既に手遅れな部分はあるが、少しでも守ってやりたい。
婚約したのは早まったのかもしれん。
「庭だって、行くか?」
「…ぅん」
二人は出ていったが、使用人に目配せをして二人の後を追わせた。
アティラン様が艶かしくエストレヤを呼べば、熱に浮かされたように歩きだしていき数度言葉を交わすとエストレヤは私を確認してきた。
二人は見つめあいエストレヤはアティラン様の膝を跨いで座った。
慣れた二人を呆然と見つめていると口付けを交わし始めた。
目の前で起きていることはこれは現実なのか?
「エ…エストレヤ?」
「…だめぇん…みんな…みてる…んっんやぁんだめぇんんぁっ」
名を呼んでも二人は私たちなんて気にする事もなく戯れている。
正確にはアティラン様がじゃれているように見えた。
「…ア…アティラン様…よ…よろしい…かな?」
「はい」
返事あるもののエストレヤを抱きしめることも首に口付けていることも止める気配がなかった。
「…二人は…その…もう?」
「もう?」
「その…だから…既に…関係があるのか?」
「関係?」
こいつ、分かっていて惚けてやがるな?
お前にわかるか?親は子供の性事情など確認したくはないんだ。
だが、確認しなければならないこの複雑な心境を。
事実は知りたいが真実を聞くのが怖い…。
「エストレヤと…したのか?」
「した?」
この野郎。
「セックスをしたのか?」
ニヤついてんじゃねぇ。
「だって?どうするエストレヤ?正直に答えるか?」
もう、それは答えをいっているようなものだ…。
そうなのかエストレヤ。
お前はもう…。
「………。」
頭を振り事実を知られたくないと主張する姿はもう言い逃れが出来ていないんだ。
「お父さんに嘘吐くの?」
お父さんと呼ぶな。
「………」
「どうする?」
私の目の前で私に嘘を吐くかどうか話し合っている。
どっちが良いのだろうか…。
正直に真実を話されるのと、天使のようなエストレヤに私が望む嘘を言われるの…どちらも受け入れたくない。
「…ぃぃよ…言って。」
やはり私の天使。
「わかった…ちゅっ…しましたよ、なぁ毎日。」
キスはいらんだろ?
しかも最後の一言も。
私のエストレヤを汚しおって…。
「エストレヤっこっちに来なさい。」
「はっ…はい」
あの野郎から離さなければ私のエストレヤが…。
私の可愛いエストレヤが汚されていくのは許せない。
そんな奴から離れ私のところに来なさい。
「だぁめ…エストレヤが座るのは俺の膝の上だろ?」
「…ぅん。」
あの男が額を付け甘えるような仕草をすれば、エストレヤは簡単に頷いてしまう。
「エストレヤっ、膝に座りたいなら私の膝に座りなさい。」
なんだこのエロい事しか頭にないような男はっ。
エストレヤはな、幼い頃から「おとぅしゃまぁ」と私に駆け寄り抱きしめられるのが好きなこだったんだ。
私に抱きしめられるのがっ。
「んあ?それは違うんじゃねぇの?あんたの膝の上に乗れんのは今、あんたの隣に居る奴だけだろ?」
「………」
否定は出来なかった。
私たちは…ご無沙汰でもある。
仲が悪いわけではない。
ただ…タイミング?
妻を見るとあっちも同じ思いなのか、途端に気恥ずかしくなってしまった。
「アティラン…いつから二人はそんな関係なんだ?」
私が話すことが出来なくなってしまったので、公爵が私の代わりに尋ねてくれた。
「あー、俺が学園に戻った日からっすね。」
それは大分経っているのては…。
それから毎日なのか?
「その日から…エストレヤ様と?」
どうなんだ?
「だよな?」
「………」
アティラン様の胸に顔を埋めたまま小さくなってしまっていた。
そんな反応を見せるからこの男が鼻の下を伸ばすんだ。
エストレヤに優しく微笑んでいる表情が、いつの間にか下品な顔に見えてくる。
「エストレヤ。」
「恥ずかしい?」
「……ん」
エストレヤはお前と違うんだ。
「俺は浮かれてるのかもな…婚約者になれて。」
「……ぼくも…うれしっ…んんっんぁむっんん」
そんな分かりきった言葉に騙されるなぁ。
隙を見せるなエストレヤ。
その男は私たちが知っているアティラン様ではないっ。
「ん゛っんん…ん゛っんん」
咳で止めるよう促すもなかなか止めない。
「エストレヤ…アティラン様と散歩でもしてきてはどうだろうか?」
離れろ。
「ぁっはい。」
「なら、エストレヤの部屋を案内してくれよ。」
「にわだぁ、庭を案内してさしあげなさい。」
この男は危険だ。
私が目を光らせないとエストレヤが大変なことに。
既に手遅れな部分はあるが、少しでも守ってやりたい。
婚約したのは早まったのかもしれん。
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