【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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ダンス

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 いつもであれば午後は大聖堂の掃除を終えると暇なのだが、今日からダンスの練習に入る。

「本日から聖女様のダンスの指導させていただきます、カサンドラ・エルナディスと申します」
 
「ケイトリーンと申します」

「聖女様にはパーティーまでの間にダンスを覚えて頂きます。時間が限られておりますので厳しく指導いたしますので、覚悟してください」

「はい、よろしくお願いいたします」

 ダンスの練習は基本姿勢から足の運びを基礎から学ぶ。

「……聖女様は……以前ダンスをされていたのですか? 」

「あっ……はい」

 エルナディスは私を聖女と信じているが、他の人達には聖女の『世話係』だったと告げている。
 この場に私を『世話係』と信じている人がいなくて良かった。 
 説明が複雑になるところだった。

「聖女様には練習は必要ないと言えるのですが、どうなさいますか? 」

「できれば続けたいのですが……」

「畏まりました」

 ダンスの練習は「必要ない」と言われても、空いた時間をいつも持て余していた。
 時間を費やせる何かを探そうにも何をしていいのか分からずにその日の授業を復習するだけ。
 私は聖女を演じているが、聖女ではない。
 聖女でない私を召喚した責任として生活の面倒を王宮で見てくれると保障されても、実際どこまでが許容範囲なのかわからない。
 調子に乗って高慢に振る舞い、突然捨てられることだってある……私は調子に乗っていた覚えはないが……

「よろしくお願いいたします」

「次回からはパートナーと組んでもいいかもしれませんね」

「パートナー……王子様ですか? 」

「ジェイコブ王子はお忙しいので確約は出来ませんが、聖女様がダンスの練習相手にご希望だと報告しておきます」

「いえっ。練習相手に王子様を希望したのではなく、本番でパートナーは王子様だと伺ったのだで練習もそうなのかと質問しただけです」

「そうですか、私がお声がけしたのは令息にダンスを教えている男性講師です。本番前には同年代の男性に依頼する予定でした」

「そうなんですね」

「どなたかご希望はおありですか? 」

「いえ、ありません」

 私が対面したことのある男性なんて数名。
 その中で同年代なんて、王子とマドリゲス、修道士くらいだ。
 それに偽物の聖女に選ばれた、なんてなれば後で笑いものにされてしまう……
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