39 / 78
私は小説とは違うの
私は小説とは違うの 十/十四
しおりを挟む
「カラフィアート様っ、もうすぐ卒業なんですよ。本当にいいんですか? このままで」
三年生になってもエミーリアは私を見つけてはベルナルトとの関係に口を挟む。
授業の合間はチャイムに助けられるが、昼休みや放課後は時間の許す限り追い掛け回される。
「エミーリアッ」
「ベルナルト様っ」
「何している? 」
「私はベルナルト様とカラフィアート様の為に……」
「必要ない。もう止めてくれ……カラフィアート、迷惑かけた」
ベルナルトが駆け付け彼女を連れ出すも、彼女はそれでも諦めない。
このような事は今回が初めてではない。
「本当、もういい加減にしてほしい」
彼らと離れても、私達の様子を見ていた人達の視線が絡みつく。
速足でその場を離れる。
「カラフィアート嬢」
「……はい」
「少し時間を貰えないか? 」
「はい」
呼ばれたのは以前も使用した部屋。
「最近もエミーリアが令嬢とベルナルトの関係について迫っているそうだな」
「はい」
「彼女が何故二人の関係に執着するのか私にも分からないのだが、二人の関係は私達の関係にも影響していると頑なになっている」
「アルドロヴァンディ王子と彼女の関係に私達ですか? 」
「あぁ。最近の彼女は『二人が婚約しないと私達は幸せになれないんだ』と躍起になっている。それだけでなく……」
「何ですか? 」
「以前彼女が嫌がらせを受けていると話していただろう? 」
「はい、私ではありません」
「あぁ、分かっている。エミーリアの言葉通り、忠告していた令嬢達と話した。だが、嫌がらせに関しては疑問に思う事が多々あり調査を続行した」
「それで結果は? 」
「……エミーリアの虚言だった」
「虚言……」
「自作自演という事だ」
「自作自演……ですか? 」
「あぁ」
「自作自演をし私に罪を着せ、どうしてそこから私とリンドフスキー令息を婚約させたがるんですか? 」
「もう彼女の考えは分からない」
ルドヴィークは頭を抱える。
本当に彼女の行動が理解できない様子。
私も彼女の行動の真意が読み取れない……
「……もしかして、私と王子の婚約の噂を聞き疑心暗鬼になっているとか? 」
「それで令嬢に良からぬ噂を立て、別の婚約者を進めているという事か? 」
「その考えがしっくりくるかと……」
「だからか……」
「なんでしょう? 」
「彼女は二人を婚約させれば私達が婚約出来ると……」
「やはり、そういう事ではないでしょうか? 」
「そんな事をするとは……」
王族との縁を欲する貴族が考えそうな作戦だ。
私のところにも婚約を進める貴族は多くいる。
その彼らにはルドヴィークと年齢の見合った令嬢がいる。
私をルドヴィークの婚約者候補から外し、自身の娘を推したいのが見て取れる。
私としてはルドヴィークとの婚約を望んでいないが、だからと言って他の令息との婚約も望んでいない。
彼らの提案を断る事でさらに私がルドヴィークの婚約者の座を狙っているという誤解が生れている。
「答えたくなければ答えなくていいのですが、王子は彼女との婚約をお考えなおですか? 」
「一度は……考えたこともある。今はその気はない」
「……そうですか」
彼の様子からして、正直に答えてくれたのが分かる。
思い返せば最近のエミーリアは私を追いかけわましているので、ルドヴィークと一緒にいる場面に遭遇する事は無くなっていた。
私だけでなく彼も彼女に悩まされている一人だったりするのかもしれない。
信じていた女性が嫌がらせを自作自演し、他人の婚約に夢中になっているかと思えばそれは自身の婚約の為の計画。
彼女の思考回路を読み解こうとすると、頭が痛くなる。
「……お疲れのようですね」
「あぁ……こんな話されても迷惑だったな。すまない」
「いえ、私は構いませんが……私ではない他の……令息などは話し相手に選ばなかったのですか? 」
「私に近付く者は裏がありそうでね。ベルナルトは、エミーリアの件で疲弊している」
以前よりもエミーリアが突撃してくる回数は若干減ったと思えるが、その裏で彼が抑えてくれているらしい。
「……もうすぐ卒業ですね」
彼女の事を思い出すと疲れてしまうので、話題を変えることにした。
「あぁ」
ルドヴィークは私に彼女の報告と共に、誰かに感情を吐き出したかったのかもしれない。
入学当初の彼は令嬢達を寄せ付けず、唯一心を許したエミーリアに心酔していた。
そんな彼が今ではエミーリアを遠ざけ、他の令嬢と会話するなんて……
三年生になってもエミーリアは私を見つけてはベルナルトとの関係に口を挟む。
授業の合間はチャイムに助けられるが、昼休みや放課後は時間の許す限り追い掛け回される。
「エミーリアッ」
「ベルナルト様っ」
「何している? 」
「私はベルナルト様とカラフィアート様の為に……」
「必要ない。もう止めてくれ……カラフィアート、迷惑かけた」
ベルナルトが駆け付け彼女を連れ出すも、彼女はそれでも諦めない。
このような事は今回が初めてではない。
「本当、もういい加減にしてほしい」
彼らと離れても、私達の様子を見ていた人達の視線が絡みつく。
速足でその場を離れる。
「カラフィアート嬢」
「……はい」
「少し時間を貰えないか? 」
「はい」
呼ばれたのは以前も使用した部屋。
「最近もエミーリアが令嬢とベルナルトの関係について迫っているそうだな」
「はい」
「彼女が何故二人の関係に執着するのか私にも分からないのだが、二人の関係は私達の関係にも影響していると頑なになっている」
「アルドロヴァンディ王子と彼女の関係に私達ですか? 」
「あぁ。最近の彼女は『二人が婚約しないと私達は幸せになれないんだ』と躍起になっている。それだけでなく……」
「何ですか? 」
「以前彼女が嫌がらせを受けていると話していただろう? 」
「はい、私ではありません」
「あぁ、分かっている。エミーリアの言葉通り、忠告していた令嬢達と話した。だが、嫌がらせに関しては疑問に思う事が多々あり調査を続行した」
「それで結果は? 」
「……エミーリアの虚言だった」
「虚言……」
「自作自演という事だ」
「自作自演……ですか? 」
「あぁ」
「自作自演をし私に罪を着せ、どうしてそこから私とリンドフスキー令息を婚約させたがるんですか? 」
「もう彼女の考えは分からない」
ルドヴィークは頭を抱える。
本当に彼女の行動が理解できない様子。
私も彼女の行動の真意が読み取れない……
「……もしかして、私と王子の婚約の噂を聞き疑心暗鬼になっているとか? 」
「それで令嬢に良からぬ噂を立て、別の婚約者を進めているという事か? 」
「その考えがしっくりくるかと……」
「だからか……」
「なんでしょう? 」
「彼女は二人を婚約させれば私達が婚約出来ると……」
「やはり、そういう事ではないでしょうか? 」
「そんな事をするとは……」
王族との縁を欲する貴族が考えそうな作戦だ。
私のところにも婚約を進める貴族は多くいる。
その彼らにはルドヴィークと年齢の見合った令嬢がいる。
私をルドヴィークの婚約者候補から外し、自身の娘を推したいのが見て取れる。
私としてはルドヴィークとの婚約を望んでいないが、だからと言って他の令息との婚約も望んでいない。
彼らの提案を断る事でさらに私がルドヴィークの婚約者の座を狙っているという誤解が生れている。
「答えたくなければ答えなくていいのですが、王子は彼女との婚約をお考えなおですか? 」
「一度は……考えたこともある。今はその気はない」
「……そうですか」
彼の様子からして、正直に答えてくれたのが分かる。
思い返せば最近のエミーリアは私を追いかけわましているので、ルドヴィークと一緒にいる場面に遭遇する事は無くなっていた。
私だけでなく彼も彼女に悩まされている一人だったりするのかもしれない。
信じていた女性が嫌がらせを自作自演し、他人の婚約に夢中になっているかと思えばそれは自身の婚約の為の計画。
彼女の思考回路を読み解こうとすると、頭が痛くなる。
「……お疲れのようですね」
「あぁ……こんな話されても迷惑だったな。すまない」
「いえ、私は構いませんが……私ではない他の……令息などは話し相手に選ばなかったのですか? 」
「私に近付く者は裏がありそうでね。ベルナルトは、エミーリアの件で疲弊している」
以前よりもエミーリアが突撃してくる回数は若干減ったと思えるが、その裏で彼が抑えてくれているらしい。
「……もうすぐ卒業ですね」
彼女の事を思い出すと疲れてしまうので、話題を変えることにした。
「あぁ」
ルドヴィークは私に彼女の報告と共に、誰かに感情を吐き出したかったのかもしれない。
入学当初の彼は令嬢達を寄せ付けず、唯一心を許したエミーリアに心酔していた。
そんな彼が今ではエミーリアを遠ざけ、他の令嬢と会話するなんて……
395
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
さようなら、私の初恋
しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」
物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。
だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。
「あんな女、落とすまでのゲームだよ」
いつまでもドアマットと思うなよ
あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる