短編集

天冨 七緒

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私は小説とは違うの

私は小説とは違うの 七/十四

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 その後エミーリアとすれ違う度に声をかけられるので、ルドヴィークやベルナルトとも会う頻度が増す。
 第一印象が悪かったルドヴィークはそれなりに会話をするが、ベルナルトとは改善するつもりは無いので素っ気ない態度を貫く。
 我ながら可愛げがないと思うがこれが私だ。

「カラフィアート様、一緒に食事しましょう」

 私が先に席についていると、声を掛けられるのと同時に隣に座る。
 許可を得てから座るという事を知らない様子。

「カラフィアート様は、ベルナルト様とお知り合いなのですか? 」

 今日も、私を見つけてエミーリアは話しかけてくる。
 珍しいのは、いつも連れているお供を連れていないこと。
 二人は生徒会の為エミーリアは一人で昼食を取るらしい。

「いえ」

「……お二人共、なんだか意識されているように感じて……」

「あの方とは関わりたくありませんし、話も遠慮させていただきます」

「えっ……お二人は幼馴染ではないのですか? 」

 遠慮してほしいと言ったのだが、エミーリアはそれでも彼の話を続ける。
 幼馴染……彼が私の事をそういったのだろうか?
 私達は幼馴染ではない。
 幼い頃に一度挨拶しただけで、それ以上の関係はない。
 そうしたのは彼。
 彼が私を嫌い、私もそんな彼と親しくしようとは思わない。
 そんな関係だと態々人に話す必要はなく、私は彼女の質問に無言で応え食事を続ける。

「……それではお先に失礼致します」

「あっ待ってください、私も行きます」

 あからさまに拒絶しているのに、どうして彼女はついてくるのだろう?
 周囲も私達の関係に興味深々な様子。
 
「私に何か用ですか? 」
 
 どこまでもついてくるので、要件を終えたら離れてもらうつもりで私から尋ねた。

「私、皆と仲良くなりたいんです。それで、皆も仲良くなってほしくて」

「私はそのような事を求めておりませんので、必要としている方と仲良くしてください」

「そんなっ……あの……本当に必要ありませんか? 」

「必要ありません」

「ベルナルト様と仲直りしたいと思いませんか? 」

「何故彼なのでしょうか? 私と彼は関係ありませんよ」

「そんなの嘘です。二人共意識しているではありませんか」

 周囲には私は彼を意識しているように見えるのだろうか?
 気が付かなかった。

「意識などしておりません。エミーリア様の勘違いですよ」

「カラフィアート様、素直になってください」

 放っておけばいいのに、彼女はどうしてここまで私とベルナルトを意識するのだろうか?
 迷惑でしかない。

「私とリンドフスキー令息は親しくありませんし、これからも親しくするつもりはないのでエミーリア様が心配する必要はありません。この話は二度としないでくださいね」

 私は話を終わらせ去って行く。

「……そんな……」

 彼女が小さな声で呟いた事に、私は一切気付かなかった。
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