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オマケの続きのその後
メルティーナ
しおりを挟む「何でよっ何であの女は潰れないのよ」
私はクッションを思い切り投げつけた。
最近は週に一度クッションのカバーが変わっていたが、王族だもの常に新しいものになるのが当然と受け入れる。
そんなことよりも王妃選定に落選して、呪われた公爵に嫁がせて不幸になっているはずのあの女よ。
呪いは誤解?領地の謎の死も解決?今では素敵な夫と幸せです?
「なんなのよっ」
ガシャン
花が飾られていた花瓶が割れ床を水浸しにしても、私には関係ない。そんなものは使用人が片付ければ良いこと。
私の計画では東部での赤く染まる湖もあの女に解決させるつもりだった。
解決出来たら国として問題ないし、解決できなければお茶会を開催しあの女を招待しその話をさせるつもりだった。
王妃選定に落選し私に負けたというのに、社交界では今でもあの女が持て囃されている。
私だって正式に王子妃となってから努力した。努力しない日なんてなかった程に。国王陛下に庭園に呼ばれたのは初めてで、一年掛けて私は漸く認められたんだと思った…思ったのに…
そこで待っていたのはあの女だった。
「え?国王陛下?」
「あぁ、伝えていなかったな。本日は大切な客人がいる」
大切な…客人…
私が認められ庭園に呼ばれたのではなく、この女をもてなす為の要員として呼ばれた…
この場を仕切る最も位の高い人物…その人に逆らうことは許されない。
その人が主導して会話を決める…会話の内容はあの女が解決した話…聞けば、どれも呪いではなく単なる思い込み、勘違いばかり。誰がこんな下らないことを呪いだなんて騒ぎ立てたのか理解に苦しむ。
そんな勘違いを訂正しただけで、あの女は社交界を支配していた。
その程度の問題であれば、私だって解決できる。
王族という立場になり私が着手しなければならない問題はあの頃とは別物、壁や庭の不手際を修正すれば解決できるようなものではない。
今現在頭を抱えているのは西部での赤く染まる湖。
何年か前にも別の場所で同じ現象が起きたが、不気味で何かの「呪い」の可能性あり。と残された調査報告書には記述されていた。
「呪い」であれば、あの女の得意分野なんだから押し付けてやる。
「…私には難しいです」
王族を前にして拒否する姿をみて、強引にでもこの女に押し付けるつもり。
国王はあの女の「難しい」という言葉で強くはでなかったので、王妃選定を共に戦った者として私があの女に「分かりました」「お引き受けいたします」と言わせてやる。
「公爵夫人がここまで調査してくれたんだ、この後は王子妃よ、そなたが指揮を執りなさい」
意気込んでいたのに、突然会話の中心が私になる。
なんとかあの女に戻そうとするも、国王陛下に指示を受けては私が請け負うしかなくなってしまった。
何故こんなことになってしまったのか、会話を思い出すも分岐点を見つける事が出来ない。
あの女を見送った後…
「必ず解決しろ」
国王は私を見ることなく低い声で言い放ち去っていった。
私は専門家に連絡を取りあの女の話をすると驚いた表情を見せる。
彼らの話を聞くと、原因などは一切特定されておらず近づいて良いものか、本当に呪いではないか?と噂され研究もされていない事が判明。
なので、あの女が突き止めた原因やその後の対応には感心していた。
専門家なのであの女の意見を無条件で信じることはなく、参考にして調査内容が組まれていく。
あの女は湖の温暖化も影響がと話していたが、専門家でも湖の温度など気にしていなかった。それにあそこは農家にとって農業排水として利用することもあったことが分かる。
専門家さえ知らず、過去の調査書類にも詳細には記されていなかった。
あの女はいつの間にか現地に行き、今までに無い視点で物事を見て解決へと導く。
悔しくなんてない。
私だって、現地に行く時間さえあればその事にはきっと気付いたはず。
あの女が特別だなんて思わない。
「あ゛~、なんで解決策が出ないのよっ専門家なんでしょ?いつまで掛かってんのよっ」
あの女の助言通り、他の湖に比べ温度が高いことも農業排水も確認済み。
それに最近では魚の大量死も問題になり始める。
予言者のようにあの女が言ったことが起きた…
専門家は対応策を練りながら、あの女を褒め称える。
うるさいっ、うるさいっ、うるさいっ、そんなことより対応策よっ。
何日経っても有用な解決策は出てくることはなく、時間だけが過ぎていく。
部屋で一人で悩むも気ばかりが焦る。
「なんなのよっ」
ガシャン、パリーン
怒りの矛先をカップとソーサーにぶつける。王宮で使用する物はどれも高級品だが私にはどうでも良い。
「ちょっと掃除して、どいつもこいつも私をなんだと思ってるのっ」
最近使用人が怠慢だ。
部屋の掃除が行き届いていない、散らかっているのに王子妃である私に言われるまで気付かないなんて…
私はクッションを思い切り投げつけた。
最近は週に一度クッションのカバーが変わっていたが、王族だもの常に新しいものになるのが当然と受け入れる。
そんなことよりも王妃選定に落選して、呪われた公爵に嫁がせて不幸になっているはずのあの女よ。
呪いは誤解?領地の謎の死も解決?今では素敵な夫と幸せです?
「なんなのよっ」
ガシャン
花が飾られていた花瓶が割れ床を水浸しにしても、私には関係ない。そんなものは使用人が片付ければ良いこと。
私の計画では東部での赤く染まる湖もあの女に解決させるつもりだった。
解決出来たら国として問題ないし、解決できなければお茶会を開催しあの女を招待しその話をさせるつもりだった。
王妃選定に落選し私に負けたというのに、社交界では今でもあの女が持て囃されている。
私だって正式に王子妃となってから努力した。努力しない日なんてなかった程に。国王陛下に庭園に呼ばれたのは初めてで、一年掛けて私は漸く認められたんだと思った…思ったのに…
そこで待っていたのはあの女だった。
「え?国王陛下?」
「あぁ、伝えていなかったな。本日は大切な客人がいる」
大切な…客人…
私が認められ庭園に呼ばれたのではなく、この女をもてなす為の要員として呼ばれた…
この場を仕切る最も位の高い人物…その人に逆らうことは許されない。
その人が主導して会話を決める…会話の内容はあの女が解決した話…聞けば、どれも呪いではなく単なる思い込み、勘違いばかり。誰がこんな下らないことを呪いだなんて騒ぎ立てたのか理解に苦しむ。
そんな勘違いを訂正しただけで、あの女は社交界を支配していた。
その程度の問題であれば、私だって解決できる。
王族という立場になり私が着手しなければならない問題はあの頃とは別物、壁や庭の不手際を修正すれば解決できるようなものではない。
今現在頭を抱えているのは西部での赤く染まる湖。
何年か前にも別の場所で同じ現象が起きたが、不気味で何かの「呪い」の可能性あり。と残された調査報告書には記述されていた。
「呪い」であれば、あの女の得意分野なんだから押し付けてやる。
「…私には難しいです」
王族を前にして拒否する姿をみて、強引にでもこの女に押し付けるつもり。
国王はあの女の「難しい」という言葉で強くはでなかったので、王妃選定を共に戦った者として私があの女に「分かりました」「お引き受けいたします」と言わせてやる。
「公爵夫人がここまで調査してくれたんだ、この後は王子妃よ、そなたが指揮を執りなさい」
意気込んでいたのに、突然会話の中心が私になる。
なんとかあの女に戻そうとするも、国王陛下に指示を受けては私が請け負うしかなくなってしまった。
何故こんなことになってしまったのか、会話を思い出すも分岐点を見つける事が出来ない。
あの女を見送った後…
「必ず解決しろ」
国王は私を見ることなく低い声で言い放ち去っていった。
私は専門家に連絡を取りあの女の話をすると驚いた表情を見せる。
彼らの話を聞くと、原因などは一切特定されておらず近づいて良いものか、本当に呪いではないか?と噂され研究もされていない事が判明。
なので、あの女が突き止めた原因やその後の対応には感心していた。
専門家なのであの女の意見を無条件で信じることはなく、参考にして調査内容が組まれていく。
あの女は湖の温暖化も影響がと話していたが、専門家でも湖の温度など気にしていなかった。それにあそこは農家にとって農業排水として利用することもあったことが分かる。
専門家さえ知らず、過去の調査書類にも詳細には記されていなかった。
あの女はいつの間にか現地に行き、今までに無い視点で物事を見て解決へと導く。
悔しくなんてない。
私だって、現地に行く時間さえあればその事にはきっと気付いたはず。
あの女が特別だなんて思わない。
「あ゛~、なんで解決策が出ないのよっ専門家なんでしょ?いつまで掛かってんのよっ」
あの女の助言通り、他の湖に比べ温度が高いことも農業排水も確認済み。
それに最近では魚の大量死も問題になり始める。
予言者のようにあの女が言ったことが起きた…
専門家は対応策を練りながら、あの女を褒め称える。
うるさいっ、うるさいっ、うるさいっ、そんなことより対応策よっ。
何日経っても有用な解決策は出てくることはなく、時間だけが過ぎていく。
部屋で一人で悩むも気ばかりが焦る。
「なんなのよっ」
ガシャン、パリーン
怒りの矛先をカップとソーサーにぶつける。王宮で使用する物はどれも高級品だが私にはどうでも良い。
「ちょっと掃除して、どいつもこいつも私をなんだと思ってるのっ」
最近使用人が怠慢だ。
部屋の掃除が行き届いていない、散らかっているのに王子妃である私に言われるまで気付かないなんて…
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