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オマケの続きの番外編
イメルダ・チャースティン
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私が嫁ぎ部屋の改装に装飾品の一新、公爵夫人として他貴族へのご挨拶、使用人の対応伝授。それからオルフレッド様が領地に向かい一ヶ月が経とうとしても手紙は届くが彼は領地から帰っては来なかった。
手紙が来ると言うことは彼も私を恋しがっているからだと伝わるも、寂しいものは寂しい。
いつ戻るのか、彼は私の事が心配なはずと思い控えめに三日に一度手紙を届けさせた。
「ひゃっ」
涙が溢れるのを天井を見上げ堪えると、人の手形のようなものがうっすら見える。
天井をまじまじと見たことがなかったので、以前からあるものなのか私には判断できなかった。
私は急いで使用人を呼び手形を確認させれば、使用人も私に言われて気付いたようで驚いていた。
男性使用人に天井を掃除するように指示を出す。
数日後には別の位置に手形が見えるようになった。
その箇所も掃除させたが、次第に恐怖を感じ始める。
公爵夫人の部屋で眠るのが怖くなるが、私はその部屋から移動したくなかったので耐え続けた。
だが、再び場所を変え手形が現れる。
その日、私は手紙をオルフレッド様に届けてほしいと執事に頼み公爵邸を離れた。
使用人には、「お父様と話したいことがあるので、侯爵家に数日泊まります」と伝えてある。
オルフレッド様に残した手紙の内容は、公爵邸が恐ろしく離縁を望みます。というもの…だけど本気ではない。
その手紙を読んで、慌てた様子で私を迎えに来てほしい。
本当は手形なんて怖くない、オルフレッド様が傍に居てくれるだけで私は満たされるお金の掛からない女なの。
ただ、オルフレッド様に「離縁を考え直してほしい」「私が貴方を守る」「私の傍にいてほしい」と言って迎えに来てほしいだけなの。
私は行動だけでなく、言葉でも示してほしい。
数日が経ち、私の手紙を読んだオルフレッド様が急いで我が家に駆け付けるだろうといつ来ても良いように私は念入りに磨き上げている。
久し振りに会った私に惚れ直してほしくて…んふっ。
ドタドタドタと激しい足音が聞こえたので、きっとオルフレッド様が私を迎えに来たことを告げる使用人の足音だと気付く。
私は舞い上がる自分を抑え、平常心を装う。
バタンと大きな音をたて扉が開くので、登場した人物を確認する。
そこにいたのは執事ではなく、お父様だった。
「イメルダっどういう事だぁ」
怒鳴るように叫ぶお父様を初めて見たの私は驚いた。
「どうしたんですか?」
「どうしたってお前…ランクーベ公爵と離縁するのか?」
「へっ?しませんよ」
「…そっ…そう…なのか…?」
「はい」
お父様は何を慌てているの?
私とオルフレッド様が離縁なんてするはずないのに、おかしなお父様。
「ではこれは…なんだ?」
「どうしたんですか?」
「ランクーベ公爵から離縁証明書にサインがされた書類が送られてきたぞ」
「へ?」
お父様から手渡されたのは彼のサインが記入されている離縁証明書。
「同封された手紙には、「イメルダが望んだ事だが公爵家の不備が原因の為の離縁故に、令嬢には不名誉が及ばないようにする」とあったぞ」
「…オルフレッド様が離縁を…」
何故離縁を?
確かに離縁を仄めかす手紙を送ったが、本気ではない事は彼も理解しているはず…なのになんで…
「ぁっ」
私は彼がとても優しく、常に私の願いを叶えてくれる男性だというのを思い出した。
きっと、彼は私が公爵邸を恐れているのを使用人から聞いたのだろう。そして、私を恐怖から守るために離縁を受け入れたのだ。
彼は自分の事よりも愛する私を優先したのだ…
「イ…メルダ…」
彼の愛の深さを知り、泣き出す私にお父様はオルフレッド様の離縁が本気だと理解する。
私はすぐにでもオルフレッド様に会いに行きたかったが、お父様に止められてしまった。
私が泣き暮れている間にお父様はオルフレッドとやり取りし、多額の慰謝料を受け取っていて私が知った時には離縁も成立していた…
「どうしてそんなことするのっ」
私は本気で離縁なんてするつもりはなかったのに…
「何を言っている?イメルダを幸せにするどころか傷つけたのだぞ、当然の事だ」
「私傷付いてなんかないっ」
「離縁は貴族女性にとっては傷なんだ、そんなことも知らんのかっ」
「だったら、私はオルフレッド様と…」
「同じ相手とは結婚できんっ」
「…そんなっ…」
なら私はオルフレッド様の隣には居られないの?
離縁なんてしたくなかったのに…
「大丈夫だ、私がもっとまともな貴族を見繕うから安心しなさい」
「いらないっ…オルフレッド様が良い…ぅっうっう゛っう゛う゛」
私はその日から部屋に閉じ籠るようになった。
手紙が来ると言うことは彼も私を恋しがっているからだと伝わるも、寂しいものは寂しい。
いつ戻るのか、彼は私の事が心配なはずと思い控えめに三日に一度手紙を届けさせた。
「ひゃっ」
涙が溢れるのを天井を見上げ堪えると、人の手形のようなものがうっすら見える。
天井をまじまじと見たことがなかったので、以前からあるものなのか私には判断できなかった。
私は急いで使用人を呼び手形を確認させれば、使用人も私に言われて気付いたようで驚いていた。
男性使用人に天井を掃除するように指示を出す。
数日後には別の位置に手形が見えるようになった。
その箇所も掃除させたが、次第に恐怖を感じ始める。
公爵夫人の部屋で眠るのが怖くなるが、私はその部屋から移動したくなかったので耐え続けた。
だが、再び場所を変え手形が現れる。
その日、私は手紙をオルフレッド様に届けてほしいと執事に頼み公爵邸を離れた。
使用人には、「お父様と話したいことがあるので、侯爵家に数日泊まります」と伝えてある。
オルフレッド様に残した手紙の内容は、公爵邸が恐ろしく離縁を望みます。というもの…だけど本気ではない。
その手紙を読んで、慌てた様子で私を迎えに来てほしい。
本当は手形なんて怖くない、オルフレッド様が傍に居てくれるだけで私は満たされるお金の掛からない女なの。
ただ、オルフレッド様に「離縁を考え直してほしい」「私が貴方を守る」「私の傍にいてほしい」と言って迎えに来てほしいだけなの。
私は行動だけでなく、言葉でも示してほしい。
数日が経ち、私の手紙を読んだオルフレッド様が急いで我が家に駆け付けるだろうといつ来ても良いように私は念入りに磨き上げている。
久し振りに会った私に惚れ直してほしくて…んふっ。
ドタドタドタと激しい足音が聞こえたので、きっとオルフレッド様が私を迎えに来たことを告げる使用人の足音だと気付く。
私は舞い上がる自分を抑え、平常心を装う。
バタンと大きな音をたて扉が開くので、登場した人物を確認する。
そこにいたのは執事ではなく、お父様だった。
「イメルダっどういう事だぁ」
怒鳴るように叫ぶお父様を初めて見たの私は驚いた。
「どうしたんですか?」
「どうしたってお前…ランクーベ公爵と離縁するのか?」
「へっ?しませんよ」
「…そっ…そう…なのか…?」
「はい」
お父様は何を慌てているの?
私とオルフレッド様が離縁なんてするはずないのに、おかしなお父様。
「ではこれは…なんだ?」
「どうしたんですか?」
「ランクーベ公爵から離縁証明書にサインがされた書類が送られてきたぞ」
「へ?」
お父様から手渡されたのは彼のサインが記入されている離縁証明書。
「同封された手紙には、「イメルダが望んだ事だが公爵家の不備が原因の為の離縁故に、令嬢には不名誉が及ばないようにする」とあったぞ」
「…オルフレッド様が離縁を…」
何故離縁を?
確かに離縁を仄めかす手紙を送ったが、本気ではない事は彼も理解しているはず…なのになんで…
「ぁっ」
私は彼がとても優しく、常に私の願いを叶えてくれる男性だというのを思い出した。
きっと、彼は私が公爵邸を恐れているのを使用人から聞いたのだろう。そして、私を恐怖から守るために離縁を受け入れたのだ。
彼は自分の事よりも愛する私を優先したのだ…
「イ…メルダ…」
彼の愛の深さを知り、泣き出す私にお父様はオルフレッド様の離縁が本気だと理解する。
私はすぐにでもオルフレッド様に会いに行きたかったが、お父様に止められてしまった。
私が泣き暮れている間にお父様はオルフレッドとやり取りし、多額の慰謝料を受け取っていて私が知った時には離縁も成立していた…
「どうしてそんなことするのっ」
私は本気で離縁なんてするつもりはなかったのに…
「何を言っている?イメルダを幸せにするどころか傷つけたのだぞ、当然の事だ」
「私傷付いてなんかないっ」
「離縁は貴族女性にとっては傷なんだ、そんなことも知らんのかっ」
「だったら、私はオルフレッド様と…」
「同じ相手とは結婚できんっ」
「…そんなっ…」
なら私はオルフレッド様の隣には居られないの?
離縁なんてしたくなかったのに…
「大丈夫だ、私がもっとまともな貴族を見繕うから安心しなさい」
「いらないっ…オルフレッド様が良い…ぅっうっう゛っう゛う゛」
私はその日から部屋に閉じ籠るようになった。
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