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オマケの続き
パーティーの波乱といえば
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オルフレッドは男性陣に呼ばれたので、私は彼を送り出した。
久し振りのパーティーだもの、楽しんでほしい。
「ルルーシアン公爵令嬢」
脳が判断する前に身体がビクンと反応した。振り返ると本日の主催者の女性が微笑みを浮かべながら立っている。
「こちらでお話ししませんか?」
「…はいぃ」
主催者ということと女性の威圧感に拒否しろと脳が危険信号を発するも伝達が上手く行かず、私は着いていくしかなかった。だが、着いた先も当然ではあるが夫人の手駒で固められている。
「本日はお越しいただき、ありがとう」
主催者である夫人が挨拶を口にすれば、招待客の夫人達が主催者をもてはやす時間が続く。
「オルフレッド様も私の誘いで久し振りのパーティーに参加してくださったみたいで嬉しいですわ…ルルーシアン公爵令嬢も不安だったでしょ?パーティーに参加できるかどうか分からなくて?」
夫人達の会話に入る事が出来ずに落ち込むことはなく、空気でいたいと思っていたが突然話を振られた。しかも、色々と言いたいことがある。
今回パーティーに参加したのは招待状が届いたからで、貴方だからというわけではない。それに、パーティーに参加する・しないで彼に対して不安もない。
もしかして、夫婦同伴と記されていたのはオルフレッドが来ないのであればお前もくるなって事だったのだろうか?それと、私はランクーベ公爵夫人です。いつまで私を公爵令嬢と呼ぶつもりなんだろうか?認めたくないんだろうが、貴方は既にチャースティン侯爵夫人なんだから階級社会の一員として礼儀を重んじるべきではないだろうか?
「チャースティン侯爵夫人、夫の事を心配していただきありがとあございます。ですか私はオルフレッド様の事を不安に感じたことはありませんよ」
無理しているわけではない。本当に不安はない。マウントを取っているつもりはないが…どう見えるかはチャースティン侯爵夫人次第。
「…ルルーシアン公爵令嬢、オルフレッド様が私の手紙をご所望とは知らずに万年筆を頂きましたので直ぐにでも手紙を書きますとお伝えくださる?」
…へ?
この人は何を言っているの?
今日の贈り物は確かに万年筆で、それは誕生日であるオルフェン様に贈ったもので貴方への贈り物ではないのに…それに、今の時間で招待客全ての贈り物を確認したとは思えない。ということは、招待客全ての贈り物を受け取った後オルフレッドの贈り物だけを確認した…そして、息子への贈り物を自分のものに…そんなの未練残りまくりじゃない…
確認ですが、今日の誕生日は貴方の息子の方ですよね?
「…本日はオルフェン様の誕生日と窺い、贈り物を夫と二人で用意したのですが違うのでしょうか?」
「んふ、そういうことにしておきましょうね」
チャースティン夫人は勝ち誇ったように私に微笑む。
夫人があまりにも自信満々なので、私の方が不安になってしまう。夫人の衣装や装飾品をよく見ると、全てオルフレッドの瞳の色で私と被ってしまっている。通常のパーティーであれば爵位の低い方がドレスを着替えたりするものだが、侯爵夫人は本日の主催者でもある。着替えるべきは私なのかもしれない…が、私は着替えたくないし彼の瞳の色の宝石も取り外すこともお断りだ。
「男性にとって、初めての結婚相手は忘れられないものですからね」
初めての恋の相手なら分かるが結婚相手って…私がどう応えていいものかと考えると、チャースティン夫人は更に自惚れだす。
まさか、自分が未だにオルフレッドに思われていると思っているのだろうか?未練があるのはチャースティン夫人の方なのに…
夫人の周囲の人達も何も言わずに微笑みを浮かべ頷いている様子。この人達に真実を伝えるのも言い返すのも面倒で疲れる。
先ほどまでは「あんた、さっきから何言ってんの?」と怒鳴ってやりたいくらい怒りが込み上げていたが、あまりの会話が通じない現状に疲れてしまい私は何も言わず、ただ微笑みを続けた…そっちの方が楽だったから…怒りを持続させるのって体力いりますね…もぅ疲れた…
久し振りのパーティーだもの、楽しんでほしい。
「ルルーシアン公爵令嬢」
脳が判断する前に身体がビクンと反応した。振り返ると本日の主催者の女性が微笑みを浮かべながら立っている。
「こちらでお話ししませんか?」
「…はいぃ」
主催者ということと女性の威圧感に拒否しろと脳が危険信号を発するも伝達が上手く行かず、私は着いていくしかなかった。だが、着いた先も当然ではあるが夫人の手駒で固められている。
「本日はお越しいただき、ありがとう」
主催者である夫人が挨拶を口にすれば、招待客の夫人達が主催者をもてはやす時間が続く。
「オルフレッド様も私の誘いで久し振りのパーティーに参加してくださったみたいで嬉しいですわ…ルルーシアン公爵令嬢も不安だったでしょ?パーティーに参加できるかどうか分からなくて?」
夫人達の会話に入る事が出来ずに落ち込むことはなく、空気でいたいと思っていたが突然話を振られた。しかも、色々と言いたいことがある。
今回パーティーに参加したのは招待状が届いたからで、貴方だからというわけではない。それに、パーティーに参加する・しないで彼に対して不安もない。
もしかして、夫婦同伴と記されていたのはオルフレッドが来ないのであればお前もくるなって事だったのだろうか?それと、私はランクーベ公爵夫人です。いつまで私を公爵令嬢と呼ぶつもりなんだろうか?認めたくないんだろうが、貴方は既にチャースティン侯爵夫人なんだから階級社会の一員として礼儀を重んじるべきではないだろうか?
「チャースティン侯爵夫人、夫の事を心配していただきありがとあございます。ですか私はオルフレッド様の事を不安に感じたことはありませんよ」
無理しているわけではない。本当に不安はない。マウントを取っているつもりはないが…どう見えるかはチャースティン侯爵夫人次第。
「…ルルーシアン公爵令嬢、オルフレッド様が私の手紙をご所望とは知らずに万年筆を頂きましたので直ぐにでも手紙を書きますとお伝えくださる?」
…へ?
この人は何を言っているの?
今日の贈り物は確かに万年筆で、それは誕生日であるオルフェン様に贈ったもので貴方への贈り物ではないのに…それに、今の時間で招待客全ての贈り物を確認したとは思えない。ということは、招待客全ての贈り物を受け取った後オルフレッドの贈り物だけを確認した…そして、息子への贈り物を自分のものに…そんなの未練残りまくりじゃない…
確認ですが、今日の誕生日は貴方の息子の方ですよね?
「…本日はオルフェン様の誕生日と窺い、贈り物を夫と二人で用意したのですが違うのでしょうか?」
「んふ、そういうことにしておきましょうね」
チャースティン夫人は勝ち誇ったように私に微笑む。
夫人があまりにも自信満々なので、私の方が不安になってしまう。夫人の衣装や装飾品をよく見ると、全てオルフレッドの瞳の色で私と被ってしまっている。通常のパーティーであれば爵位の低い方がドレスを着替えたりするものだが、侯爵夫人は本日の主催者でもある。着替えるべきは私なのかもしれない…が、私は着替えたくないし彼の瞳の色の宝石も取り外すこともお断りだ。
「男性にとって、初めての結婚相手は忘れられないものですからね」
初めての恋の相手なら分かるが結婚相手って…私がどう応えていいものかと考えると、チャースティン夫人は更に自惚れだす。
まさか、自分が未だにオルフレッドに思われていると思っているのだろうか?未練があるのはチャースティン夫人の方なのに…
夫人の周囲の人達も何も言わずに微笑みを浮かべ頷いている様子。この人達に真実を伝えるのも言い返すのも面倒で疲れる。
先ほどまでは「あんた、さっきから何言ってんの?」と怒鳴ってやりたいくらい怒りが込み上げていたが、あまりの会話が通じない現状に疲れてしまい私は何も言わず、ただ微笑みを続けた…そっちの方が楽だったから…怒りを持続させるのって体力いりますね…もぅ疲れた…
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