70 / 91
オマケの続き
贈り物の準備
しおりを挟む
招待状を受け取ったので出席の返事を出す。
それから私達は王都に戻り八歳の貴族の男の子の贈り物はよく分からず、オルフレッドに助言を求めた。
「令息だがまだほんの子供だ、そこまで深刻になることはない」
「はい…」
オルフレッドは深刻に考えることはないと言ってくれたが、相手があの女性だと思うと色々と考えてしまう。私からの贈り物であればきっとセンスが悪いなど言われそうで、気に触ったりしたらそれを理由にオルフレッドに連絡を取りかねない。あの女性に対して隙を見せたくない、これは女の戦いよ。
「私も一緒に選ぼう」
別に理由があるとはいえ悩み過ぎてしまいオルフレッドに気を遣わせてしまった。
「いえいえ、オルフレッド様はお忙しいでしょうから…」
「いや、私も久々に王都を歩きたいと…ヴァレリア嬢と一緒に」
オルフレッドの「一緒に」と言った後、ハートが見えたの私の勘違いだろうか?最近彼の色気が増してきている気がして私の心臓は大忙しだ。
「はい」
女の戦いなんてどうでも良いわっ。そんなことより、オルフレッド様とのデートを取る。
翌日にはオルフレッドと一緒に王都にあるお店を観て回ることにした。
何にして良いのか、高級すぎるものを八歳の子供に送るのはどうなのか?だが我が家は公爵家で相手も侯爵家、下手なものは贈れない。無難な消耗品が良いかなと思うもハンカチーフは令嬢が気持ちを伝えるために贈るので却下、貴族の嗜みの乗馬の道具を贈るにもサイズがあり調べれば容易いが一度も会ったことの無い人間がピッタリのサイズの物を渡したら気持ち悪いだろう。
私達は色んなお店を渡り歩き、目についたのが万年筆だった。
「これにしようか?」
「そうですね」
色んな物を見すぎて候補が決められずにいたので、オルフレッドの提案に救われた。漸く贈り物が決まり安堵する。
「少し休みましょうか?」
「はい」
贈り物は控えていた使用人に渡し、私達は近くのカフェに入る。椅子に座ると、疲れていたことを知る。
紅茶とケーキのセットを頼むと、周囲の視線に気がついた。
女性客が多い店内、皆が会話を疎かにしながら注目しているのは私の目の前にいる人物に対してだった。
「どうしました?」
「いえ…」
女性が一緒にいても素敵な人に目を奪われてしまうのは仕方がない。それにオルフレッドは誰がどうみても格好いい。貞淑を重んじる貴族令嬢達が、「一夜の過ちで良いからお相手してほしい」と願ってしまう人なんだもの。
服装など気を付けて、身分を隠している私達に対して待ち行く人々も遠慮なく視線を向けている。分かりやすく貴族を全面に押し出した服装で来ていれば店内の奥を勧められるのだが、今は裕福な平民が着るような服装なので外から見える場所に案内された。オルフレッドを目撃して吸い込まれるように女性客が店内に入ってくるのを見て、集客する宣伝に使われてしまったのだと分かる。何気なく案内され、良い席だなぁと深くは考えていなかっだが奥まった席を希望するべきだった。
当のオルフレッドは何も気にする素振りはなく、妖艶な微笑みを浮かべていた。
卑しく見えない程度に急いでケーキを食べ、少しでも早くお店を後にしたかった。私の作戦に気が付いた女性客もいて、彼女達のケーキをがっつく姿を見て嫌な予感しかしなかった。急いで食べ終わり、会計を済ませ店を出てこの場から離れる。
「すみません」
誰かに声を掛けられ振り向けば、案の定と言うべきかカフェにいた二人組の女性客がそこにいた。
「あのぉ、お兄さん素敵だなぁって。お名前だけでも教えてもらえませんか?私、普段はすぐそこの花屋で働いているんです」
隣にいる私がいてもお構い無しで話しかけるのは、貴族ではあり得ない行為。貴族であれば私が公爵令嬢と誰もが知っているので近付きはしないのに、知らないって強いわ。ちゃったかり働いている場所を言う辺り、「今は駄目でもこっそり私を訪ねてきてください」という魂胆がみえみえだ。
オルフレッドは気付いていないだろうが、静かに女の闘いが始まっていた。
私はオルフレッドを信じていないわけではないがなんて返事するのか気になった。
「花ですか、良いですね。妻への贈り物に今から向かいます。教えてくれてありがとう」
オルフレッドの「花ですか、良いですね」まで聞いた女性は満面の笑みをしたが「妻」という言葉に表情をひきつらせた。
「…ぁっ」
女性に見せ付ける為にわざとなのか、オルフレッドに腰を抱かれ花屋まで向かう。彼は本当に花束を買い、私にプレゼントしてくれた。彼が選んでくれた花束を抱える私をオルフレッドがエスコートすると女性だけでなく、すれ違う人達の視線全てが私達に向いているのでは?と勘違いしてしまいそうな程で、私は視線が恥ずかしくて待機させていた馬車に乗り込み屋敷へと帰った。
それから私達は王都に戻り八歳の貴族の男の子の贈り物はよく分からず、オルフレッドに助言を求めた。
「令息だがまだほんの子供だ、そこまで深刻になることはない」
「はい…」
オルフレッドは深刻に考えることはないと言ってくれたが、相手があの女性だと思うと色々と考えてしまう。私からの贈り物であればきっとセンスが悪いなど言われそうで、気に触ったりしたらそれを理由にオルフレッドに連絡を取りかねない。あの女性に対して隙を見せたくない、これは女の戦いよ。
「私も一緒に選ぼう」
別に理由があるとはいえ悩み過ぎてしまいオルフレッドに気を遣わせてしまった。
「いえいえ、オルフレッド様はお忙しいでしょうから…」
「いや、私も久々に王都を歩きたいと…ヴァレリア嬢と一緒に」
オルフレッドの「一緒に」と言った後、ハートが見えたの私の勘違いだろうか?最近彼の色気が増してきている気がして私の心臓は大忙しだ。
「はい」
女の戦いなんてどうでも良いわっ。そんなことより、オルフレッド様とのデートを取る。
翌日にはオルフレッドと一緒に王都にあるお店を観て回ることにした。
何にして良いのか、高級すぎるものを八歳の子供に送るのはどうなのか?だが我が家は公爵家で相手も侯爵家、下手なものは贈れない。無難な消耗品が良いかなと思うもハンカチーフは令嬢が気持ちを伝えるために贈るので却下、貴族の嗜みの乗馬の道具を贈るにもサイズがあり調べれば容易いが一度も会ったことの無い人間がピッタリのサイズの物を渡したら気持ち悪いだろう。
私達は色んなお店を渡り歩き、目についたのが万年筆だった。
「これにしようか?」
「そうですね」
色んな物を見すぎて候補が決められずにいたので、オルフレッドの提案に救われた。漸く贈り物が決まり安堵する。
「少し休みましょうか?」
「はい」
贈り物は控えていた使用人に渡し、私達は近くのカフェに入る。椅子に座ると、疲れていたことを知る。
紅茶とケーキのセットを頼むと、周囲の視線に気がついた。
女性客が多い店内、皆が会話を疎かにしながら注目しているのは私の目の前にいる人物に対してだった。
「どうしました?」
「いえ…」
女性が一緒にいても素敵な人に目を奪われてしまうのは仕方がない。それにオルフレッドは誰がどうみても格好いい。貞淑を重んじる貴族令嬢達が、「一夜の過ちで良いからお相手してほしい」と願ってしまう人なんだもの。
服装など気を付けて、身分を隠している私達に対して待ち行く人々も遠慮なく視線を向けている。分かりやすく貴族を全面に押し出した服装で来ていれば店内の奥を勧められるのだが、今は裕福な平民が着るような服装なので外から見える場所に案内された。オルフレッドを目撃して吸い込まれるように女性客が店内に入ってくるのを見て、集客する宣伝に使われてしまったのだと分かる。何気なく案内され、良い席だなぁと深くは考えていなかっだが奥まった席を希望するべきだった。
当のオルフレッドは何も気にする素振りはなく、妖艶な微笑みを浮かべていた。
卑しく見えない程度に急いでケーキを食べ、少しでも早くお店を後にしたかった。私の作戦に気が付いた女性客もいて、彼女達のケーキをがっつく姿を見て嫌な予感しかしなかった。急いで食べ終わり、会計を済ませ店を出てこの場から離れる。
「すみません」
誰かに声を掛けられ振り向けば、案の定と言うべきかカフェにいた二人組の女性客がそこにいた。
「あのぉ、お兄さん素敵だなぁって。お名前だけでも教えてもらえませんか?私、普段はすぐそこの花屋で働いているんです」
隣にいる私がいてもお構い無しで話しかけるのは、貴族ではあり得ない行為。貴族であれば私が公爵令嬢と誰もが知っているので近付きはしないのに、知らないって強いわ。ちゃったかり働いている場所を言う辺り、「今は駄目でもこっそり私を訪ねてきてください」という魂胆がみえみえだ。
オルフレッドは気付いていないだろうが、静かに女の闘いが始まっていた。
私はオルフレッドを信じていないわけではないがなんて返事するのか気になった。
「花ですか、良いですね。妻への贈り物に今から向かいます。教えてくれてありがとう」
オルフレッドの「花ですか、良いですね」まで聞いた女性は満面の笑みをしたが「妻」という言葉に表情をひきつらせた。
「…ぁっ」
女性に見せ付ける為にわざとなのか、オルフレッドに腰を抱かれ花屋まで向かう。彼は本当に花束を買い、私にプレゼントしてくれた。彼が選んでくれた花束を抱える私をオルフレッドがエスコートすると女性だけでなく、すれ違う人達の視線全てが私達に向いているのでは?と勘違いしてしまいそうな程で、私は視線が恥ずかしくて待機させていた馬車に乗り込み屋敷へと帰った。
338
お気に入りに追加
6,635
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?
なか
恋愛
「お飾りの王妃らしく、邪魔にならぬようにしておけ」
かつて、愛を誓い合ったこの国の王。アドルフ・グラナートから言われた言葉。
『お飾りの王妃』
彼に振り向いてもらうため、
政務の全てうけおっていた私––カーティアに付けられた烙印だ。
アドルフは側妃を寵愛しており、最早見向きもされなくなった私は使用人達にさえ冷遇された扱いを受けた。
そして二十五の歳。
病気を患ったが、医者にも診てもらえず看病もない。
苦しむ死の間際、私の死をアドルフが望んでいる事を知り、人生に絶望して孤独な死を迎えた。
しかし、私は二十二の歳に記憶を保ったまま戻った。
何故か手に入れた二度目の人生、もはやアドルフに尽くすつもりなどあるはずもない。
だから私は、後悔ない程に自由に生きていく。
もう二度と、誰かのために捧げる人生も……利用される人生もごめんだ。
自由に、好き勝手に……私は生きていきます。
戻ってこいと何度も言ってきますけど、戻る気はありませんから。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。