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オマケの続き
早く…帰りたい…
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あっという間に…時間が過ぎることはなく、ちゃんと一日が過ぎていく。
公爵が浮気しているなんて思ってはいないが、嫌な考えほど頭に浮かんでしまう。長い長い一週間が漸く終わりを迎え、私は今日王都に戻る。
北部に比べ王都はまだ暑いと感じるもそんなのどうでも良いくらい、急いで公爵の屋敷を目指した。
私が帰ってくるのを使用人が出迎えてくれるも、彼の姿はない。イーサンの話では、私が北部へ行っている間は領地で忙しくしていたらしい。執事や使用人の反応を見る限り、公爵が浮気していたようには感じない…安心したいのに、優しすぎる皆の反応が不安を呼び起こす。
なんだか私が嫁いできた時以上の歓迎を受けているような気がする…
まさか、旦那様の浮気を皆で誤魔化しているとか?
帰ってきて一番に会いたかった人は、能天気な私とは比べ物にならない程忙しくしているよう。長距離移動で疲れた私は仕事から帰る公爵を待つことが出来ずに眠りについてしまった…以前にも同じようなことをした気がする…私はなんて学習能力がないんだ…
そして案の定というか翌朝寝坊してしまった私は、仕事へ向かう公爵を見送りすることが出来ずだった。
急いで帰り同じ屋敷に住んでいるはずなのに、公爵になかなか会えずにいる。
今回も早起きが苦手な私のせいだが、公爵に避けられている可能性も考えたくはないがあると思う…イーサンに尋ねると公爵は私の予想よりも早く出発していたことを知る。
私が一人勝手に落ち込んでいると、見兼ねたイーサンが語った。
「幼い頃から旦那様は真面目な方でしたが、「呪われた公爵」と呼ばれるようになってからは朝から晩まで領地に出向き、自身の呪いが周囲に伝染するのを恐れ万が一に備え医療施設や医療関連に数多の支援をしてきました。休みもまともに取ることはなく働き詰めで屋敷には寝に帰るような人で、特定の人と長時間共にするのを避けておられます」
特定の人と長時間共にするのを避ける…
結婚当初、私の存在から目を背ける為に仕事ばかりな人なのかと思っていたが、あれでも私を気にして屋敷に帰るようにしていたらしい。領地と屋敷の往復しかしなくなっていたのに、休みを取り南部まで出向いたのは「驚きと共に喜ばしい出来事でした」とイーサンは嬉しそうに語る。
「私は…公爵に嫌われて…」
「嫌ってなどいません。呪いが移るのを恐れているだけで旦那様は奥様のことを…」
奥様のことを…何?
期待するようにイーサンを見つめるも、何も応えてもらえずニンマリと微笑まれた。
「我々も奥様に感謝しております。仕事以外で旦那様が出掛けられたのは本当に久しぶりでしたので…」
私は…受け入れられてる?迷惑じゃない?
公爵が浮気しているなんて思ってはいないが、嫌な考えほど頭に浮かんでしまう。長い長い一週間が漸く終わりを迎え、私は今日王都に戻る。
北部に比べ王都はまだ暑いと感じるもそんなのどうでも良いくらい、急いで公爵の屋敷を目指した。
私が帰ってくるのを使用人が出迎えてくれるも、彼の姿はない。イーサンの話では、私が北部へ行っている間は領地で忙しくしていたらしい。執事や使用人の反応を見る限り、公爵が浮気していたようには感じない…安心したいのに、優しすぎる皆の反応が不安を呼び起こす。
なんだか私が嫁いできた時以上の歓迎を受けているような気がする…
まさか、旦那様の浮気を皆で誤魔化しているとか?
帰ってきて一番に会いたかった人は、能天気な私とは比べ物にならない程忙しくしているよう。長距離移動で疲れた私は仕事から帰る公爵を待つことが出来ずに眠りについてしまった…以前にも同じようなことをした気がする…私はなんて学習能力がないんだ…
そして案の定というか翌朝寝坊してしまった私は、仕事へ向かう公爵を見送りすることが出来ずだった。
急いで帰り同じ屋敷に住んでいるはずなのに、公爵になかなか会えずにいる。
今回も早起きが苦手な私のせいだが、公爵に避けられている可能性も考えたくはないがあると思う…イーサンに尋ねると公爵は私の予想よりも早く出発していたことを知る。
私が一人勝手に落ち込んでいると、見兼ねたイーサンが語った。
「幼い頃から旦那様は真面目な方でしたが、「呪われた公爵」と呼ばれるようになってからは朝から晩まで領地に出向き、自身の呪いが周囲に伝染するのを恐れ万が一に備え医療施設や医療関連に数多の支援をしてきました。休みもまともに取ることはなく働き詰めで屋敷には寝に帰るような人で、特定の人と長時間共にするのを避けておられます」
特定の人と長時間共にするのを避ける…
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「私は…公爵に嫌われて…」
「嫌ってなどいません。呪いが移るのを恐れているだけで旦那様は奥様のことを…」
奥様のことを…何?
期待するようにイーサンを見つめるも、何も応えてもらえずニンマリと微笑まれた。
「我々も奥様に感謝しております。仕事以外で旦那様が出掛けられたのは本当に久しぶりでしたので…」
私は…受け入れられてる?迷惑じゃない?
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