ワガママ令嬢に転生かと思ったら王妃選定が始まり私は咬ませ犬だった

天冨 七緒

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オマケの続き

皆が過保護過ぎる

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 犬も全身スッキリし、庭では庭師が殺虫剤を散布しているので屋敷内に移されている。
 犬も先ほどまで暴れ吠え続けていて疲れたのか落ち着きを取り戻していた。

 私はすっかり忘れていたがガウンの下は寝巻きなので、ジャネットに怒られながら着替えているが公爵は私が起きる前に仕事へ行っている。
 私がきっと疲れているのだろうと使用人に伝え、起こさずに仕事に行ってしまっていたようだ。
 公爵は呪いを気にして私との接触を控える傾向にあり、「食事も遠慮なく別々で構いませんから」と言われていたが、私から時間が合えば一緒に取る事を強引に約束していた…にも拘らず、私は寝坊した。
 昨日も疲れて睡眠を優先してしまい一緒に食べられなかったのに、今日も公爵に会えなかった…

「私のバカっ」

 何もすることがなく屋敷をうろうろしてしていると、犬が廊下を走っていた。
 苦痛から解放されてた今は体を動かし足りないのか公爵家の長い廊下を男性の使用人が投げるボールを追いかけ行ったり来たりしている。

「あっ奥様…申し訳ありません。すぐにやめます」

 使用人は私に気付き、犬との遊びをやめた。
 私が「煩い」と苦情に来たと思ったのかもしれない。私ワガママ令嬢ですもんね…

「いいの、私も少し体を動かしたくて屋敷内を歩いているだけだから」

「でっては、奥様もやりますか?どうぞ」

 使用人からボールを差し出される。
 犬と遊ぶなんて初めての事でどうすれば良いのか悩みながらボールを受け取ってしまうと犬は「早くボールを投げて」と催促するように尻尾を振っている。

「い…行くよ?」

 投げ方を知らない私のボールは、かなり手前で転がりで物足りなさを感じている犬が戻ってくる。
 大きな犬が向かってくることに慣れていない私は、ボールを咥えて嬉しそうに駆けてくる犬に身体が硬直し後退る。私の予想に反して犬は賢く、私に飛びかかることはなく私の足元にボールを置いた。

「…優秀ですね」

「はいっそうなんです」

 犬を褒められ、世話をしている使用人のが嬉しそうだ。
 犬は飼い主に似るというが、世話をしている使用人にそっくりに見える。

 ワンッ

 私達が会話に夢中になってしまい、遊び足りない犬が催促してきた。

「今、投げるよ…あれ?」

 犬は私の足元にボールを置いていたはずなのに、見当たらない…
 周囲を探すとコロコロと転がっていた。

「おっと…奥様」

 転がるボールを使用人が拾い、私に手渡した…
 早くボールを投げてほしそうにする犬に負けて、再び下手な弧を描きボールが飛んでいく。
 何度か繰り返すも私の投げ方は上達せずだった。
 犬は文句など言わずに遊んでいるが、物足りないのでは?と思え使用人と変わった。
 彼が投げるボールは速さも距離もあり、犬も楽しそうに見える。
 彼らを眺めていると、慌てた様子のルーリが現れた。

「おっ…奥様っ」

「どうしたの、そんなに慌てて?」

「何ともないですか?お怪我は?ご気分は…?」

「えっ?なんともないけど…」

 ルーリは、私が体調悪くして寝坊したと思っているのか過剰に心配している…それとも私が犬に襲われているように見えたのだろうか?
 犬といるだけで、「お怪我は?」とは心配しすぎに感じる。もしかして、ルーリは過去に犬と嫌な思い出でもあるのだろうか?

「…奥様、そろそろお部屋に戻りませんか?」

「そうだね」

 こんなにも心配してくれたルーリの言葉に従うことにした。
 ルーリは過保護…いや、心配性なのかもしれない。
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