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オマケの続き
お祭り
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皆から労いの言葉を頂き照れ臭くなり「皆でお祭りに行きませんか?」と提案すれば、全員から断られた。
いや、一人を残してほぼ全員から…
「お母様はお父様とお祭りを回りたいから遠慮するわ」といわれ、他の皆は「私達も行きたいところがあるので…」とニクソン令嬢とアドリーヌ令嬢はアイコンタクトで頷き合う。
「では、モアノア令嬢は…」
「私はカリックス様と回る予定なんです」
「「「えっ?」」」
カリックス様とは、カリックス・ファインの事だろうか?
彼とモアノア令嬢が?えつ?
私だけでなく、ニクソン令嬢やアドリーヌ令嬢も驚いていたので始めて聞く事実なんだろう。
「あぁ私今、カリックス様と婚約の話がありまして何度かお会いしているんです」
「…へぇ、そう…なんですね…」
意外だ。
カリックス様はとても素晴らしい男性だが、ファイン男爵は北部に住んでいて環境が過酷な事と経済面から婚約者が決まらないと言われていた…
確か、モアノア令嬢もそんなことを…だけど、相手を知って変わったのかもしれない。環境よりも、その人自身の魅力に惹かれたのだろう。そんな二人の時間を邪魔したくないので見送った。
となると…
「あの…公爵様…もしよろしければ…一緒に…回りませんか?」
「…私で…良ければ…」
「はい」
私達は初めてのデートに行くことになった。
なんだか皆に見守られていた気がしなくもない。
私は急いで平民に近い服装に着替える。
公爵とデートできると知っていればもっと可愛い服を用意すれば良かったと後悔するも、服で悩む時間が削れたんだと考えを変え待たせている公爵の下へ急いで向かう。
当然騎士やジャネットも一緒だが、気を使って少し離れた位置にいる。
「あの、この先に北部と南部の共同で製作した「かき氷」の店があります」
「あぁ、貴方が考えたものだろう?」
「いっいえ、皆で考えたデザートです」
「そうなんですね」
お店が近付くとチンドン屋が盛り上げ、活気があり人だがりが出来ていた。
お店の前には人がいるんだが店内がどうなっているのか見えず、背伸びをするも全く見えなかった。
「店内も混雑しているようだ」
背の高い公爵が教えてくれる。
「そうなんですね、公爵にもぜひ味わってほしかったんですが…この分じゃ一時間は並んじゃいますよね…」
「…並びますか?」
「良いんですか?」
人を避けている公爵から「並ぶ」という選択肢が出たことに驚いた。
私は公爵と一緒にいる時間だけで嬉しいが、こんな人混み…公爵は辛くはないのだろうか?
「はい」
並んでいる間、私に気がついた接客係が特別席を案内すると提案されたがお断りした。貴族だからと特別扱いされると周囲の人の不信感を買い、更にはお店の評判にも影響してしまうと思った。
しまった…公爵のことを考えれば提案を受け入れた方がよかったのかもと後になってから気付き窺うように公爵を見つめれば、微笑んでくれる。
それだけじゃなく人混みだという事で公爵との距離が近く、すれ違う人との距離が近いためぶつかりそうになると優しく肩を抱き寄せてくれる。
公爵の大きな手の感覚は忘れない、男の人に初めて肩を抱かれた。
私にとって今日は、初めて肩を抱かれた記念日だ。
いや、一人を残してほぼ全員から…
「お母様はお父様とお祭りを回りたいから遠慮するわ」といわれ、他の皆は「私達も行きたいところがあるので…」とニクソン令嬢とアドリーヌ令嬢はアイコンタクトで頷き合う。
「では、モアノア令嬢は…」
「私はカリックス様と回る予定なんです」
「「「えっ?」」」
カリックス様とは、カリックス・ファインの事だろうか?
彼とモアノア令嬢が?えつ?
私だけでなく、ニクソン令嬢やアドリーヌ令嬢も驚いていたので始めて聞く事実なんだろう。
「あぁ私今、カリックス様と婚約の話がありまして何度かお会いしているんです」
「…へぇ、そう…なんですね…」
意外だ。
カリックス様はとても素晴らしい男性だが、ファイン男爵は北部に住んでいて環境が過酷な事と経済面から婚約者が決まらないと言われていた…
確か、モアノア令嬢もそんなことを…だけど、相手を知って変わったのかもしれない。環境よりも、その人自身の魅力に惹かれたのだろう。そんな二人の時間を邪魔したくないので見送った。
となると…
「あの…公爵様…もしよろしければ…一緒に…回りませんか?」
「…私で…良ければ…」
「はい」
私達は初めてのデートに行くことになった。
なんだか皆に見守られていた気がしなくもない。
私は急いで平民に近い服装に着替える。
公爵とデートできると知っていればもっと可愛い服を用意すれば良かったと後悔するも、服で悩む時間が削れたんだと考えを変え待たせている公爵の下へ急いで向かう。
当然騎士やジャネットも一緒だが、気を使って少し離れた位置にいる。
「あの、この先に北部と南部の共同で製作した「かき氷」の店があります」
「あぁ、貴方が考えたものだろう?」
「いっいえ、皆で考えたデザートです」
「そうなんですね」
お店が近付くとチンドン屋が盛り上げ、活気があり人だがりが出来ていた。
お店の前には人がいるんだが店内がどうなっているのか見えず、背伸びをするも全く見えなかった。
「店内も混雑しているようだ」
背の高い公爵が教えてくれる。
「そうなんですね、公爵にもぜひ味わってほしかったんですが…この分じゃ一時間は並んじゃいますよね…」
「…並びますか?」
「良いんですか?」
人を避けている公爵から「並ぶ」という選択肢が出たことに驚いた。
私は公爵と一緒にいる時間だけで嬉しいが、こんな人混み…公爵は辛くはないのだろうか?
「はい」
並んでいる間、私に気がついた接客係が特別席を案内すると提案されたがお断りした。貴族だからと特別扱いされると周囲の人の不信感を買い、更にはお店の評判にも影響してしまうと思った。
しまった…公爵のことを考えれば提案を受け入れた方がよかったのかもと後になってから気付き窺うように公爵を見つめれば、微笑んでくれる。
それだけじゃなく人混みだという事で公爵との距離が近く、すれ違う人との距離が近いためぶつかりそうになると優しく肩を抱き寄せてくれる。
公爵の大きな手の感覚は忘れない、男の人に初めて肩を抱かれた。
私にとって今日は、初めて肩を抱かれた記念日だ。
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