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四章 物語は終盤へ

王子とシャルマン

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王子はベンジャミンを王宮へ連れて行くことも、王妃様に王子との子供が生まれたことも伝えないと、更に僕の事も側室にはしないと約束してくれた。

「シャルマン…」

「はい」

「…幸せになってくれてよかった。」

「…へ?」

「入学当初、私を頼ってくれたのに何も出来ずに申し訳なかった。」

「………。」

なんの事だろう。

「…何かあったのか?」

ライは僕ではなく王子に尋ねた。

入学当初と言ったので僕にはその頃の記憶がないので、そこを察して王子に聞いてくれた。
僕も知りたいが、僕が教えてください何て言ったら余計に話がややこしくなってしまう。

「話してないのか?」

「えっ…。」

そんなこと聞かれても僕には分からない…。
王子とシャルマンにどんな関係があるのか想像もつかない。

…どうしよう。

「なんだよ?」

「…私から言うべき事ではない。」

なんの事だろう…僕にはわかんないょ…。
だけど、ここを逃したらこれからも分からないよね…。

「…俺にも聞かせろ。」

「いくら旦那でも知られたくないことはある。」

再び二人が険悪な雰囲気に…。
知られたくないんじゃなくて僕も知らないです。

「…ぁっ僕は…もぅ…大丈夫です…から…」

「…私から真実を?」

「…はぃ」

お願いします、教えてください。

「わかった…入学当初からあるシャルマンの噂は半分は間違っている。」

「…間違って?」

入学当初からある僕の噂って…確か王子を追いかけているってやつ?
王子のペアになりたくて沢山我が儘を言ったってのだよね?

「確かにシャルマンは私にペアについて何度も要望に来ていた…だが、それは私とペアになりたいという話ではなくペアの授業を無くしてほしいというものだった。」

「「………」」

確かに…お父様にもペアの授業が嫌だって訴えたって…?
それで王子との出会いがあって婚約を申し込んだんじゃ?

あれ?

「入学してすぐにシャルマンは上級生の一人に付きまとわれていたんだ。」

…そんなことが…あったんだ…。

「あ゛あ゛?」

僕も驚いたけど、ライの怒った声に驚いた。
そんな声出すんだね。

「「どうせペアの授業があるんだから」と関係を迫られていた。無理矢理部屋に連れ込まれそうになったのを私が偶然通りかかり事なきを得た。私はすぐ学園長に報告し相手は侯爵家の者だったが退学にさせた。シャルマンはその事が切っ掛けとなりペアの授業に恐怖を覚えるようになったと…。私に「ペアの授業を無くすことは出来ないのか?」と何度も訴えている姿を偶然目撃した者が誤解し私に迫っていると噂を流したんだ。シャルマンが私とペアになりたがっているだの高慢だの我が儘だの言われるように…実際は相手が怖くて耐えられないと話していたんだ。ペアの授業を回避するには正当な理由がなければならない。上級生との事を教師に話せば回避出来たんだが、シャルマンは知られたくないと頑なに言わなかったんだ。その後も無理してペアの授業を受け続けていた。」

…そう…なんだ…。

確かに怖い経験をしたら相手がそんな気ではなくても思い出しちゃうよね…。
それでもずっと耐えていたなんて…。

「私と婚約を望んだのもペア授業回避のためで、学園を卒業したら破棄して構わないからと懇願された。王族は最終学年になるまで婚約は出来ないという仕来たりがあるので私はシャルマンを助ける事が出来なかったんだ。」

「そう…だったのか…」

僕も知らなかった。

「そのシャルマンがサンチェスターとペアを継続させたいと噂で聞いた時は驚いた。申し訳ないがあれほどペアの授業に恐怖を抱いていたシャルマンが継続を選択したのには何かしら脅迫などされているのではと疑ったが、二人を目撃してお互いに思いあっているのを知って安心した…。ペアの授業も婚約も何度も相談されたのに私はシャルマンを助ける事が出来なかったから…。」

それは出来ることと出来ないことがある。

ペアの授業は多数の貴族が賛成しているため覆すことが難しいとお父様も話していた。それに、王族の婚約はとても重要なことで簡単に婚約も破棄も出来ないことはシャルマンも理解していたと思う。
王子がそこまで気にすることでは…それに上級生から助け相談にものっていた、それだけでもシャルマンは楽になっていたと思う…一人じゃないってだけで心強いはずだから…。

「あの…もう大丈夫です…ペアの授業があったので今こうして僕は幸せになりました。本当に…あの…無理なお願いばかりしてしまいすみませんでした。」

「…いや…私は何も出来なかった。シャルマンが…幸せになってくれて良かった。」
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