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四章 物語は終盤へ

輝く金髪が…

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「ぁっ」

「………。」

ベンジャミンの輝く髪が晒され、そして同じように輝く髪をもった男が目の前にいた…。

「…王子…」

「ぇ?」

沈黙が続くもいつまでも玄関に居るわけにもいかず応接室へ案内した。
王子は王子で目の前の光景を受け入れられず、こちらもこちらで受け止められずにいた…。

僕の腕の中でスヤスヤと眠る金髪の赤ちゃん…。
僕の目の前には困惑し現状を理解しようとする金髪王子…。

誰が見ても二人が親子なのがわかる…。

言ってしまえば…聞いてしまえば解決なのかもしれない…けど…真実を知ってしまえば後戻りは出来ない…。

「…シャルマン」

「シャルマン゛?」

ライ、シャルマンと呼んだだけでそんなに王子の事を睨まないでっ。

「…その赤ん坊は…」

「…僕の…子供です…。」

謝罪しないと…。

僕のフェロモンが暴走して王子に迷惑を掛けて更に赤ちゃんまで…。
僕の謝罪なんかじゃ許されないことだけど…謝らないと…。

「す…」
 
「…相手は?」

「俺達だ。」

すみませんと謝罪を口にしようとしたところ王子の質問に遮られ、ライが僕の代わりに答えた。

嘘は吐いてない…(ライ、アレックス、エド、リック、スティーヴン、レノック…そして…王子)の俺達の子…。
髪の毛の色で王子は勘違いしているのかもしれないけど、僕達の子供なんです…。
髪は王子色だけど瞳の色は違う…今は眠っちゃってて分からないと思うけど、皆の特徴を持った赤ちゃんなの。

その前に謝罪を…。

「おっ」

「王子の色だけでなく俺達の色も受け継いでいる子供です。…あの日、屋敷に戻ってもシャルの薬の効果は抜けず俺達でシャルを介抱した。三日間ずっと…その結果妊娠し子供が生まれました。シャルは妊娠しやすいので…。」

またしても僕の謝罪はライの言葉に掻き消された。

ん?
薬?
薬って何?

「…そうなのか…あの時の…。」

「薬で無理矢理抱いた王子の子供ではなく、俺達がシャルを愛した子供です。」

また薬って言った。
僕は薬を飲まされていたの?

えっ…いつ?

「…あれは…」

「魔が差したとでも言うつもりですか?」

「…信じてもらえないと思うが、薬を盛ったのは私ではない…。」

本当に盛られてたんだ…。

「ははっ、話し合いの場では認めたって聞いたけどな?」

「あそこで認めなければ母は…王妃は、シャルマンを諦めないだろう。」

「…王妃?」

王妃様が僕を?

「…あぁ。母は私に王位を継がせることに必死なんだ…。」

ん?必死にならなくてもレイモンド王子しか継ぐ人はいないんじゃ?
王様に兄弟や甥っ子とかいるのかな?
その辺の家系図よく分からないんだよね。
…今更聞けないし…。

「…あぁ。」

ライは直ぐに理解したってことは、王位継承には何人も候補がいるようだった。

「後ろ楯はいくつあってもいいと…地盤を固める為にと侯爵家と結婚した…が…」

が…なに?
焦らさずに教えてよ。

僕が王子の続きに夢中な時にライと王子は目配せをして、ライは首を振っていた。

「私の次の継承権のあるものが、あるもの達と強い繋がりを持った為に王妃が懸念を抱いたんだ。なので対抗するべく強力な…人材を欲したんだ。光属性と獣人を…」

「ぁっ…そうだった…」

僕はあることを思い出した。

「シャル…どうした?」

「王妃さまだっ」

「…何がだ?」

ライは僕が何を言っているのか察することが出来なかった。

「紅茶…王様達に挨拶してから帰る予定だったの。だけど、王妃様が忙しくて時間に遅れるので紅茶を飲んで待っていてって…あの紅茶はレイモンド王子じゃないよっ。」

そうだった。
レイモンド王子は悪くないっ。

「…レイモンドおう゛じぃ゛?」

あっ…そうだね。

今まで僕は王子の事は「王子」としか呼んでなかったのに名前を…だけどねライ…今はそこではなく…あの…うん。

「あぁ、私ではないんだ…シャルマンが紅茶を飲み終わり暫くして異変があり私のことをサンチェスターだと…身体が熱くて助けてほしいと望まれ…」

「なら、王子は僕を助けるために?ごめんなさい。」

僕は王子をライの身代わりにしてしまうなんて…ごめんなさいで済まされないよね?

ど…どうしよう…。

「いや、シャルマンが謝罪することはない…母が申し訳なかった…。母は光属性と私の相性が悪いことで計画通りに行かずに焦って居たのだろう。」

「…僕を手にいれても…」

獣人って事を公表しないと価値はないだろうし、そもそも獣人にどれだけの事が出来るかは…皆の凄いところを赤ちゃんに受け継がせることは出来るけど、まだ言ってないから知らないはず…。

「いや、絶大な後ろ楯になるんだ…」

「…それは…フィンコック公爵家って事ですか?」

「…シャルマンの取り巻く環境が…だ。」

「あっ、旦那様達皆ってことですね。」

確かに皆侯爵家に伯爵家だ。後ろ楯?爵位を考えると僕の旦那様達って本当にすごい人達だったんだ…。
普通に話してくれたなら、王子を応援するのに…応援って子供みたいだ。

王子は優しいからきっと素敵な国にしてくれそうだがら僕は指示するよ?

「母はシャルマンを手に入れる為なら手段を選ばなくなりだした…今回の薬は…獣人研究家から直接入手したようだ。」

「獣人研究家…?」

僕みたいな人を研究している人達って事だよね?
僕は研究材料にされるところだったの?

…怖い…。

「シャルマンが獣人ではないか?と報告が上がってからの母は研究家達と密かに交流するようになっていた。私もどの貴族が関わっているのか調べてはみたが全体は把握することは出来なかった。唯一分かったのは学園の教師の中にも存在するという事だ。」

「教師?」

「あぁ、セドゥクティーポ先生だ。子爵家の次男で、生徒には色っぽいと人気のある教師。」 

セドゥクティーポ…先生…ってあの…試験勉強の時に大量の課題をだされた…あの人?
課題を出され御礼を…あの時は確か…。

「ぁっ…」

「何かあったのか?」

ライの言葉に王子まで僕に視線を向けた。

「あのハプニングが…試験勉強の時にお世話になって…御礼を言いに行った時…その…驚いた拍子に耳と尻尾が出ちゃって…他の人に見られないように匿ってもらったことが…。」

「…その時だな…。」

「あぁ、きっと。それが研究家達に伝わったのだろう…私が光属性との相性の悪さも伝わり王妃に獣人を手に入れるべきではと唆し協力する代わりに獣人本人で研究をと…手を組んだに違いない。」

…獣人本人って…ぼく…。

怖くてベンジャミン抱き抱えながらライの袖を掴んでしまった。

「大丈夫だ。」

ライは僕の手を包み込むように握ってくれた。

「ぅん…」

「…紅茶が運び込まれる前からセドゥクティーポ先生が王宮に滞在するシャルマンと面会したいと要望があった。私が何度も断るものだから王妃という立場でセドゥクティーポ先生が用意した薬を仕込んだ紅茶を運ばせたのだろう。…無理矢理にでも私とシャルマンの関係をより濃くしようと…」

レイモンド王子の報告に…恐ろしくて…もう声が出なかった…。





ーーーーーーーーー
遂に明日。
長らくお付き合いくださりありがとうございます。
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