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四章 物語は終盤へ

四日目

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王子の腕の中で目覚め、それから王子と共に朝食を頂いた。
使用人が食事を運んでくれた際、魔力のある人と至近距離で会話が出来るまで王子は回復していた。
聞くつもりはなかったが「セド…ク………様」と聞こえ、きっとセドリック ハーヴィル様の事で報告を受けているんだと理解した。
王子の反応は首を振って拒否していた。

王子の様子で僕はもう用済みだと判断できた。

食事もそこまで多くはないが昨日よりも頂いているように見え、顔色も悪くない。

魔道具もダメでハーヴィル様との事は僕には出来ないが、王子が回復したのなら僕はもう帰っても良いよね?

食事を終え帰る事を仄めかしてみた。

「帰る前に父に挨拶をいいか?」

「はい」

そうだね、泊めてもらったのにご家族の方に挨拶なく帰るのは失礼だよね。
忙しい王様の予定に合わせ午後にご挨拶する時間を頂き、それまでは王子の部屋にお邪魔していた。

王子の体調が戻ったのを知ってか、何度も使用人が様子を見に来ていた。

「いや、会うつもりはない。」

どんな会話かは聞き取れなかったが王子の言葉だけはハッキリと聞こえた。

「会うつもりはない」って、やっぱりハーヴィル様?
僕が判断することじゃないけど、魔力酔いが解決していないなら急ぐのはよくないと思う…。

また、体調を崩しちゃうよ…。

「…どうした?」

「へっあっいえ…その…」

しまった…。
つい心配で王子様の事見すぎちゃった…。

「…言ってくれ。」

「あっえっと…無理しないでください。」

「…ん?」

「その…無理して会ってしまうと折角体調が回復したのに、また…」

悪くなっちゃう。

ハーヴィル様には申し訳ないけど、魔力酔いが解決していない今会うべきじゃないと思う…って僕が言うべきじゃなかったのかも…。

「…一緒に居てくれるのか?」

「僕…ですか?」

魔力酔いが起きたらって事だよね?
魔力のある人がお世話が出来ないならお世話できるのは魔力の無い僕だけ…。

「あぁ」

「…はぃ」

倒れてしまったら僕がお世話します…ですが、倒れないことを祈ります。

「なら、もう少しこの部屋に居てくれ。」

「はい」

やっぱりハーヴィル様が王子に会いたいって来ちゃってるんだ。
もしここまで来ちゃったら僕が対応するべきだよね。

緊張する…。

ハーヴィル様がここまでくるとは思わないけど…偶然会っちゃったりしたら…。
そうならない為の僕だよね?

誰もこの部屋に来ませんように…。

こんこんこん

来たっ。

ノックを聞いた瞬間身体がビクッと反応してしまった…。

「失礼いたします。」

部屋に訪れたのはハーヴィル様ではなく使用人だった。

「王妃様より、火急の要件が入ってしまった為に待たせてしまうと思うので少し時間をずらしてほしいとのことです。」

「ぁっ、僕は構いません。」

「ありがとうございます、こちら隣国から取り寄せた紅茶です。王妃様からのお詫びだそうです。」

忙しい王族に合わせるのは当然なので僕としては不満などはないが、緊張する時間が長引いてしまった。

長く居ればハーヴィル様が来るのでは?と不安が増す。

…もしや、火急の要件ってハーヴィル様だったりするのかな?
王子の体調不良の原因がハーヴィル様の光属性というのは王様達も報告を受けているはずだから…。
ここまでハーヴィル様が来るってことはないかな?

…けど、油断大敵だよね?

僕はいつ来るか分からないハーヴィル様に神経を尖らせていたので、自分を落ち着かせるために王妃様の紅茶と一緒に用意されたクッキーを頂いた。
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