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四章 物語は終盤へ
いつになったら帰って来るんだ? 公爵邸では
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公爵家の部屋には公爵とドミニク、旦那のライアン、アレックス、エドバルド、フレデリック、シリクレッチ、レノックそして、アレクサンダーがソファに座っていた。
「一日で帰ってくるんじゃなかったのか?」
エドバルドが苛立ちを抑えてはいるが震える声だったのは皆に伝わっていた。
王族からの呼び出しに王宮へ向かってから既に二日が経っていた。
初日は王子の体調不良により迷惑をかけた事のお詫びに夕食に招き一泊していただく、と王族から連絡が来た。
そして二日目。
魔道具を届けたアレクサンダーの話によると、明日ハーヴィルと直接会いバングルの効果を確認するので側で待機する事に了承してしまったと…。
王族からも天候が悪く、伯爵夫人を馬車で返すのは危険と判断し滞在させる…と連絡があった。
確かに外は土砂降りで「危険」と言われれば納得してしまう程だった。
「明日には帰ってくるだろ…。」
なんの根拠もないが、悪い予感を振り払いたいフレデリックは希望を口にした。
「念のため明日迎えに行くと連絡はしておいた。」
今は公爵の言葉にすがるしかなかった。
「アレッサンドロ、学園ではシャルマン様と王子はどんな関係だったんだ?」
客観的に様子を見てきたアレクサンダーが疑問を口にした。
「どんな…入学当初はペアについて王子に意見していましたが、最高学年になる頃には落ち着き二人を一緒に見かけることは…王子の体調の変化が起きてからは私と王子の連絡係として動いてもらいました。」
「…そうか。」
「何かありましたか?」
「いや…私が魔道具を渡した時は、シャルマン様より王子の方が彼に依存しているように見えたな…。」
「「「「「「………」」」」」」
アレクサンダーの言葉で全員が甘い考えだったのを知る。
「明日、シャルを迎えに行く。」
「「あぁ」」
「明日は…どうでしょう…。」
ライの言葉にエドとリックが頷くもアレクサンダーは否定的だった。
「何でっ…ですか?」
ライが声を荒げたが必死に冷静さを取り戻して聞いた。
「明日はハーヴィル様と会うとの事です、それは本当でしょう。そして万が一魔道具が効かなかった場合、王子に近付けるのがシャルマン様だけかと…。」
「なら、明日は我慢しろと?」
「私としても連絡を頂くまでは動けませんね…。魔道具もあれで効果がなければ難しいでしょうから。」
今回の魔道具が光属性の加護に効く最後のバングル…。
効果がなければ…、
「…このままシャルマンが帰ってこないってこと無いですよね?」
「…どうでしょう…。」
フレデリックの質問に不安が場を支配した。
相手は王族、簡単に訪問出来る相手ではない。
「シャル…」
何も出来ず明日になるのを待つしかなかった…。
だが、三日目もシャルマンが帰ってくることはなかった。
バングルの効果がないどころか王子が寝込み、近づくことが出来るのはシャルマンだけなので世話を頼んだと報せを受けた。
王子の魔力酔いが嘘ではないことも、その魔力酔いを引き起こす相手が光属性の加護を扱える人物だと言うことも分かっている…。
貴重な存在でその力に悪影響があるとは聞いたこともないにも関わらず体調不良を引き起こす事に対応できず、効果のあるバングルに出会えないのも納得出来る…出来るが三日も会えず、いつ帰って来るのかも分からないとなると落ち着いてはいられなかった。
シャルマンは百年ぶりの獣人。
直接王族から欲っしていると聞いたわけではない…が不安でしかない。
これ以上長引けばシャルマンは王族に囲われるのではないか…。
それは、誰もが頭に有った。
明日俺はシャルを迎えに行く。
四日目の朝。
昨日の決意を口にしたわけでもないのにライアン、アレックス、エドバルド、フレデリック、シリクレッチが揃い、馬車まで準備されていた。
馬車の御者台にはレノックが座っていた。
「俺の家は商家なんで馬車の運転も仕事の基礎として練習したので出来ます。」
「…あぁ、頼む。」
五人は馬車に乗り込み六人で王宮へ向かった。
ーーーーーーーーー
ストックが…。
「一日で帰ってくるんじゃなかったのか?」
エドバルドが苛立ちを抑えてはいるが震える声だったのは皆に伝わっていた。
王族からの呼び出しに王宮へ向かってから既に二日が経っていた。
初日は王子の体調不良により迷惑をかけた事のお詫びに夕食に招き一泊していただく、と王族から連絡が来た。
そして二日目。
魔道具を届けたアレクサンダーの話によると、明日ハーヴィルと直接会いバングルの効果を確認するので側で待機する事に了承してしまったと…。
王族からも天候が悪く、伯爵夫人を馬車で返すのは危険と判断し滞在させる…と連絡があった。
確かに外は土砂降りで「危険」と言われれば納得してしまう程だった。
「明日には帰ってくるだろ…。」
なんの根拠もないが、悪い予感を振り払いたいフレデリックは希望を口にした。
「念のため明日迎えに行くと連絡はしておいた。」
今は公爵の言葉にすがるしかなかった。
「アレッサンドロ、学園ではシャルマン様と王子はどんな関係だったんだ?」
客観的に様子を見てきたアレクサンダーが疑問を口にした。
「どんな…入学当初はペアについて王子に意見していましたが、最高学年になる頃には落ち着き二人を一緒に見かけることは…王子の体調の変化が起きてからは私と王子の連絡係として動いてもらいました。」
「…そうか。」
「何かありましたか?」
「いや…私が魔道具を渡した時は、シャルマン様より王子の方が彼に依存しているように見えたな…。」
「「「「「「………」」」」」」
アレクサンダーの言葉で全員が甘い考えだったのを知る。
「明日、シャルを迎えに行く。」
「「あぁ」」
「明日は…どうでしょう…。」
ライの言葉にエドとリックが頷くもアレクサンダーは否定的だった。
「何でっ…ですか?」
ライが声を荒げたが必死に冷静さを取り戻して聞いた。
「明日はハーヴィル様と会うとの事です、それは本当でしょう。そして万が一魔道具が効かなかった場合、王子に近付けるのがシャルマン様だけかと…。」
「なら、明日は我慢しろと?」
「私としても連絡を頂くまでは動けませんね…。魔道具もあれで効果がなければ難しいでしょうから。」
今回の魔道具が光属性の加護に効く最後のバングル…。
効果がなければ…、
「…このままシャルマンが帰ってこないってこと無いですよね?」
「…どうでしょう…。」
フレデリックの質問に不安が場を支配した。
相手は王族、簡単に訪問出来る相手ではない。
「シャル…」
何も出来ず明日になるのを待つしかなかった…。
だが、三日目もシャルマンが帰ってくることはなかった。
バングルの効果がないどころか王子が寝込み、近づくことが出来るのはシャルマンだけなので世話を頼んだと報せを受けた。
王子の魔力酔いが嘘ではないことも、その魔力酔いを引き起こす相手が光属性の加護を扱える人物だと言うことも分かっている…。
貴重な存在でその力に悪影響があるとは聞いたこともないにも関わらず体調不良を引き起こす事に対応できず、効果のあるバングルに出会えないのも納得出来る…出来るが三日も会えず、いつ帰って来るのかも分からないとなると落ち着いてはいられなかった。
シャルマンは百年ぶりの獣人。
直接王族から欲っしていると聞いたわけではない…が不安でしかない。
これ以上長引けばシャルマンは王族に囲われるのではないか…。
それは、誰もが頭に有った。
明日俺はシャルを迎えに行く。
四日目の朝。
昨日の決意を口にしたわけでもないのにライアン、アレックス、エドバルド、フレデリック、シリクレッチが揃い、馬車まで準備されていた。
馬車の御者台にはレノックが座っていた。
「俺の家は商家なんで馬車の運転も仕事の基礎として練習したので出来ます。」
「…あぁ、頼む。」
五人は馬車に乗り込み六人で王宮へ向かった。
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ストックが…。
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