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四章 物語は終盤へ
お散歩中
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目覚めると王子の方が先に起きていて、少しスッキリしたように見える。
睡眠不足は解消され始めたのかな?
朝食を共にしてハーヴィル様との約束までは王宮の庭園を王子に案内されながら散歩していた。
顔色もよく、魔法省で会った頃のようなのっそりとした歩き方でなく今は違和感はない。
今日はとても良い天気で、なんだか全てが上手くいきそうな感じがする。
「今日は体調良さそうですね?」
「…あぁ」
「バングルの効果があると良いですね。」
寝不足も食欲も改善されて顔色もよく見える。
「…あぁ、シャルマ…」
「レイモンド王子゛っ」
王子から呼ばれたが、遮るような声が響き渡った。
僕が振り変えるのと入れ替わるようにハーヴィル様が王子と僕の間に入った。
ハーヴィル様も王子の事をレイモンド王子って呼ぶようになったんだね。
「…う゛っ…」
不意に近付かれ王子のくぐもった声が聞こえた。
まさかバングルの効果が無い?
「大丈夫ですか?部屋にお戻りになった方が…」
ハーヴィル様は王子に寄り添い密着していた…。
もしバングルの効果が現れていなかったら…今も魔力酔いを?
どっどうしよう…。
僕がボヤボヤしていると王子の体が大きくふらついた。
膝を着くことはなかったが倒れてしまうと思い駆け寄りハーヴィル様とは反対側から王子を支えた。
体格差があり僕の肩に腕を回すもかなりの重量が掛かった。
ふと、運動不足ってお医者様に言われたのを思い出した。
「ねぇ、いい加減気付きなよ。」
「へっ?」
ハーヴィル様の怒気を含んだ声が響き視線をあげれば、観たこともない形相で睨まれていた。
「レイモンド王子が体調不良なの分からないんですか?」
「あっはいっそれはっ…」
体調悪いのは分かります…。
原因はその…。
「いい加減レイモンド王子を追いかけ回すの止めたらどうですか?沢山の人と結婚したんですよね?」
「…えっ追いかけ…いやっ…ちがっ…僕は…」
もしかして、僕か王宮まで王子目当てで来たって思われてる?
「レイモンド王子は優しいから口にはしませんけど、貴方と会うと体調不良を起こすんです。学園にいた時から苦しんでいて卒業して貴方に会わなくなったことで回復したのに再び…貴方に押し掛けられる度に体調が悪化してるんです、好きなら相手の様子をもっと気に掛けるべきです。」
ちがっ体調不良の原因は…。
なんて言えば良いんだろう?
「………。」
「僕がレイモンド王子を部屋まで送るのでフィンコック様はここにいてください。部屋までついて来ないでくださいねっ。」
…違うんですハーヴィル様っ…王子の体調不良の原因は…。
「………か減に……ろっ…」
王子の苦しむ姿から新たなバングルの効果は現れてないみたい。
「大丈夫ですか?僕が付き添うので安心してください。」
ハーヴィル様はさらに王子に密着した。
「…やめろ…」
「…フィンコック様っ早く手を離してください。」
「…貴様だっ。」
王子はハーヴィル様を軽くだろうけど払いのけた。
「…へ?…れいもんど…おうじ?…えっと…僕…ですよ?」
ハーヴィル様はまさか自分が払われるとは思っておらず混乱していた。
きっと王子がハーヴィル様と僕を勘違いしていると思っていそう…。
「私の…体調不良の原因は…貴様だ…。」
「…ぇっ…ぼく…?」
王子の口から直接言われてハーヴィル様は信じられない様子だった。
「貴様の…魔力が原因だっ…私に近寄るな。」
「………」
ハーヴィル様は目を泳がせ、ゆっくりと尻餅を着いた。
睡眠不足は解消され始めたのかな?
朝食を共にしてハーヴィル様との約束までは王宮の庭園を王子に案内されながら散歩していた。
顔色もよく、魔法省で会った頃のようなのっそりとした歩き方でなく今は違和感はない。
今日はとても良い天気で、なんだか全てが上手くいきそうな感じがする。
「今日は体調良さそうですね?」
「…あぁ」
「バングルの効果があると良いですね。」
寝不足も食欲も改善されて顔色もよく見える。
「…あぁ、シャルマ…」
「レイモンド王子゛っ」
王子から呼ばれたが、遮るような声が響き渡った。
僕が振り変えるのと入れ替わるようにハーヴィル様が王子と僕の間に入った。
ハーヴィル様も王子の事をレイモンド王子って呼ぶようになったんだね。
「…う゛っ…」
不意に近付かれ王子のくぐもった声が聞こえた。
まさかバングルの効果が無い?
「大丈夫ですか?部屋にお戻りになった方が…」
ハーヴィル様は王子に寄り添い密着していた…。
もしバングルの効果が現れていなかったら…今も魔力酔いを?
どっどうしよう…。
僕がボヤボヤしていると王子の体が大きくふらついた。
膝を着くことはなかったが倒れてしまうと思い駆け寄りハーヴィル様とは反対側から王子を支えた。
体格差があり僕の肩に腕を回すもかなりの重量が掛かった。
ふと、運動不足ってお医者様に言われたのを思い出した。
「ねぇ、いい加減気付きなよ。」
「へっ?」
ハーヴィル様の怒気を含んだ声が響き視線をあげれば、観たこともない形相で睨まれていた。
「レイモンド王子が体調不良なの分からないんですか?」
「あっはいっそれはっ…」
体調悪いのは分かります…。
原因はその…。
「いい加減レイモンド王子を追いかけ回すの止めたらどうですか?沢山の人と結婚したんですよね?」
「…えっ追いかけ…いやっ…ちがっ…僕は…」
もしかして、僕か王宮まで王子目当てで来たって思われてる?
「レイモンド王子は優しいから口にはしませんけど、貴方と会うと体調不良を起こすんです。学園にいた時から苦しんでいて卒業して貴方に会わなくなったことで回復したのに再び…貴方に押し掛けられる度に体調が悪化してるんです、好きなら相手の様子をもっと気に掛けるべきです。」
ちがっ体調不良の原因は…。
なんて言えば良いんだろう?
「………。」
「僕がレイモンド王子を部屋まで送るのでフィンコック様はここにいてください。部屋までついて来ないでくださいねっ。」
…違うんですハーヴィル様っ…王子の体調不良の原因は…。
「………か減に……ろっ…」
王子の苦しむ姿から新たなバングルの効果は現れてないみたい。
「大丈夫ですか?僕が付き添うので安心してください。」
ハーヴィル様はさらに王子に密着した。
「…やめろ…」
「…フィンコック様っ早く手を離してください。」
「…貴様だっ。」
王子はハーヴィル様を軽くだろうけど払いのけた。
「…へ?…れいもんど…おうじ?…えっと…僕…ですよ?」
ハーヴィル様はまさか自分が払われるとは思っておらず混乱していた。
きっと王子がハーヴィル様と僕を勘違いしていると思っていそう…。
「私の…体調不良の原因は…貴様だ…。」
「…ぇっ…ぼく…?」
王子の口から直接言われてハーヴィル様は信じられない様子だった。
「貴様の…魔力が原因だっ…私に近寄るな。」
「………」
ハーヴィル様は目を泳がせ、ゆっくりと尻餅を着いた。
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