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四章 物語は終盤へ
帰りたいと言えなかった
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王宮には何ヵ所かお風呂があり、王子は王族専用の僕はお客様用を案内され借りた。
使用人に案内されお風呂を使わせていただいている。
石鹸やシャンプー、コンディショナーも用意されていたが僕が使っているものとは違い、高級な香りだった。
久し振りの一人のお風呂が王宮で高級そうな家具などに緊張したが、お湯に浸かった途端癒され今すぐにでも僕が眠くなってしまいそうだった。
このままでは寝てしまうと感じ、後ろ髪を引かれながらも上がった。
王子の服は当然大きく裾と袖は折らせてもらうことに…。
服の調節で仕方なく折ったが、王族のものだと思うと折ることすら躊躇ってしまう。
僕がお風呂から上がり着替えを済ませ出れば使用人が待っていてくれ、レイモンド王子の部屋まで案内された。
僕が道のりを覚えられていないのを見抜かれてしまっていたらしい。
ノックをしてから部屋に入ると王子はソファで寛いでいたのに、立ち上がり僕を抱きしめた。
…不安なのかな?
睡眠と食欲を奪うと笑顔が消え、人間関係にも問題が生まれ洗脳されやすい状態になると聞いた事がある。
僕は王子を洗脳するつもりはないが、王子からしたら僕は親鳥なのかもしれない…。
初めて見たものを親と思い込むように、助けた僕にすがってしまう…。
きっとこの感情は睡眠と食欲の問題が解消されると消えていくだろう。
悲しくはない、レイモンド王子が一日でも早く回復することを願っているから。
腰に腕を回されるというエスコートを受けながらベッドへと誘導され、布団が捲られ入るよう促された。
僕が先にベッドに入ればレイモンド王子が続いて入ってくる。
当然だ、ここは王子の私室で王子のベッド…僕がいる方が間違っているんだ…。
そして僕を腕の中に閉じ込めレイモンド王子は瞳を閉じた。
僕達に会話は無く、ただ眠るために同じベッドにいるだけ。
僕達に特別な感情はない。
ただ眠るための儀式で王子からは今まで本当に辛かったのが伝わる。
レイモンド王子の大きな身体はライを思いだし、無意識に身体を近付け互いの温もりを感じ心地よい心臓の音を聞いていた。
「…ラィ…」
僕も眠りについた。
肌寒くて布団から出ることが出来ず、目の前の温もりに引っ付き逃がさないと言わんばかりに足を絡めた。
昨日とは比べものにならない程今日は寒くて、窓を叩く雨の音に起こされるも意地でも瞼を開けなかった。
僕が起きないので一緒に寝ている人も優しく抱きしめてくれて相手の上下する胸に顔を預けた。
…知らない香。
皆、石鹸変えたの?
僕は柑橘系のが好きだな…ん?もしかしてレノックの新作かな?
ん?
…違うっ僕は王宮に…王子の部屋に泊まったんだった。
脳が覚醒し急いで起きようとするも確りと王子に抱き締められていた。
目の前にはまだ眠る王子の顔があった。
蓄積された睡眠不足は一日寝たくらいでは解消されず、隈もまだ色濃く残っていた。
起こしてしまうのに躊躇い、大人しく抱き枕を続けた。
「んん゛ん…」
王子が身動ぎ眠りから覚めたようだ。
「…おはようございます。」
「…あぁ、おはよう」
「…眠れ…ましたか?」
「あぁ」
僕は王子の腕の中から解放され、僕達の気配を察知してなのか使用人が現れ身支度の準備に入っていると朝食の用意が出来ていることを伝えられ二人で食堂に向かった。
なんだろうな…王宮の料理なのにダンスパーティーの時とは違い美味しさが分からなくなりだした。
…皆に会いたい。
食事を終え、昼にアレクサンダー様が新たなバングルを届けてくれると言うので同席する事になった…。
迷惑だと思うけど、アレクサンダー様の馬車に乗せてもらえるかな?
考えるも雨足は次第に強くなり出した。
お昼を過ぎる頃には一メートル先すら見えなくなる程天候は悪化していた。
「アレクサンダー様は大丈夫かな?」
こんな雨の中馬車でくるんだよね?
危険だし、御者の方も大変…。
だけど、王族への訪問を貴族側から当日に断るなんて出来ないよね…。
「アレクサンダー様が無事に着きますように。」
それから数時間後無事にアレクサンダー様が到着し、バングルを確認した。
手渡された今日のバングルには黒いダイヤモンドが着いていた。
ダイヤモンドのレパートリーももう無いはず…今日で魔力酔いが治まればいいんだが…。
今日は二人の会話に集中できず、窓の外を見つめながら早く屋敷に帰りたいと考えていた。
「…ですね。それでは私はこれで。フィンコック様は私の馬車で共に帰りますか?」
「ふぇっ…はっはいっ」
考え後とをしていていつの間にか話が終わり、アレクサンダー様から一緒に帰ることを提案された。
僕から図々しいお願いしようと思っていたのでアレクサンダー様には感謝だっ。
「いやっ、待ってくれ。明日…光属性の彼と会うことになっている…バングルが効くと良いんだが万が一…の時の為に居てくれないか?彼に会った後は魔力の有るものとの接触は避けたいんだ…。」
魔力の有るもの…無い人間なんて僕しかいないよね…。
僕が王子のお世話をって事…なんだよね?
「ぁっ…わっ…かりました…。」
今日もまた、帰ることが出来なくなってしまった…。
「………。」
僕は王子と共にアレクサンダー様が帰るのを見送り、今日も王宮に泊まることになったしまった。
王子の為とはいえ…。
何をするでもなく時間は過ぎ、王子と二人だけの夕食を終えお風呂も借りて部屋で眠る…。
眠るのは客室ではなく王子の部屋…王子のベッドで…。
魔力がなくて温もりのある人間が僕しか存在していない為に、仕方なく…。
本来であれば僕が王子の私室に入る事なんてない。
何度も言うけど僕達に特別な感情はない。
だから断言できる…
僕達の間に何かが起きることはない。
ただ、抱き締められて眠る…王子が眠りに着くのを確認してから僕も眠る。
二回目の今日だとわかる…抱き締める王子の身体はライ達より細く感じる…。
健康な時の王子に抱き締められたことがなく分からないけど、アレックスやリックよりも細いのは確かだ。
身長は皆同じくらいなのに…。
新たなバングルを試して、効果があれば体調も戻っていくはず。
食事はとても少食だったが口にしていたし、今も眠ることが出来ているんだから回復に向かっているんだよね?
ハーヴィル様と会いバングルの効果を確認すれば僕は用済みになる。
きっと明日で終わる…そうしたら家に帰れる。
明日こそは…。
お願い神様、王子の魔力酔いを改善してください。
ーーーーーーーーーー
皆様には毎日感謝しております。
それと、未だにタイトル…悩んでます。
使用人に案内されお風呂を使わせていただいている。
石鹸やシャンプー、コンディショナーも用意されていたが僕が使っているものとは違い、高級な香りだった。
久し振りの一人のお風呂が王宮で高級そうな家具などに緊張したが、お湯に浸かった途端癒され今すぐにでも僕が眠くなってしまいそうだった。
このままでは寝てしまうと感じ、後ろ髪を引かれながらも上がった。
王子の服は当然大きく裾と袖は折らせてもらうことに…。
服の調節で仕方なく折ったが、王族のものだと思うと折ることすら躊躇ってしまう。
僕がお風呂から上がり着替えを済ませ出れば使用人が待っていてくれ、レイモンド王子の部屋まで案内された。
僕が道のりを覚えられていないのを見抜かれてしまっていたらしい。
ノックをしてから部屋に入ると王子はソファで寛いでいたのに、立ち上がり僕を抱きしめた。
…不安なのかな?
睡眠と食欲を奪うと笑顔が消え、人間関係にも問題が生まれ洗脳されやすい状態になると聞いた事がある。
僕は王子を洗脳するつもりはないが、王子からしたら僕は親鳥なのかもしれない…。
初めて見たものを親と思い込むように、助けた僕にすがってしまう…。
きっとこの感情は睡眠と食欲の問題が解消されると消えていくだろう。
悲しくはない、レイモンド王子が一日でも早く回復することを願っているから。
腰に腕を回されるというエスコートを受けながらベッドへと誘導され、布団が捲られ入るよう促された。
僕が先にベッドに入ればレイモンド王子が続いて入ってくる。
当然だ、ここは王子の私室で王子のベッド…僕がいる方が間違っているんだ…。
そして僕を腕の中に閉じ込めレイモンド王子は瞳を閉じた。
僕達に会話は無く、ただ眠るために同じベッドにいるだけ。
僕達に特別な感情はない。
ただ眠るための儀式で王子からは今まで本当に辛かったのが伝わる。
レイモンド王子の大きな身体はライを思いだし、無意識に身体を近付け互いの温もりを感じ心地よい心臓の音を聞いていた。
「…ラィ…」
僕も眠りについた。
肌寒くて布団から出ることが出来ず、目の前の温もりに引っ付き逃がさないと言わんばかりに足を絡めた。
昨日とは比べものにならない程今日は寒くて、窓を叩く雨の音に起こされるも意地でも瞼を開けなかった。
僕が起きないので一緒に寝ている人も優しく抱きしめてくれて相手の上下する胸に顔を預けた。
…知らない香。
皆、石鹸変えたの?
僕は柑橘系のが好きだな…ん?もしかしてレノックの新作かな?
ん?
…違うっ僕は王宮に…王子の部屋に泊まったんだった。
脳が覚醒し急いで起きようとするも確りと王子に抱き締められていた。
目の前にはまだ眠る王子の顔があった。
蓄積された睡眠不足は一日寝たくらいでは解消されず、隈もまだ色濃く残っていた。
起こしてしまうのに躊躇い、大人しく抱き枕を続けた。
「んん゛ん…」
王子が身動ぎ眠りから覚めたようだ。
「…おはようございます。」
「…あぁ、おはよう」
「…眠れ…ましたか?」
「あぁ」
僕は王子の腕の中から解放され、僕達の気配を察知してなのか使用人が現れ身支度の準備に入っていると朝食の用意が出来ていることを伝えられ二人で食堂に向かった。
なんだろうな…王宮の料理なのにダンスパーティーの時とは違い美味しさが分からなくなりだした。
…皆に会いたい。
食事を終え、昼にアレクサンダー様が新たなバングルを届けてくれると言うので同席する事になった…。
迷惑だと思うけど、アレクサンダー様の馬車に乗せてもらえるかな?
考えるも雨足は次第に強くなり出した。
お昼を過ぎる頃には一メートル先すら見えなくなる程天候は悪化していた。
「アレクサンダー様は大丈夫かな?」
こんな雨の中馬車でくるんだよね?
危険だし、御者の方も大変…。
だけど、王族への訪問を貴族側から当日に断るなんて出来ないよね…。
「アレクサンダー様が無事に着きますように。」
それから数時間後無事にアレクサンダー様が到着し、バングルを確認した。
手渡された今日のバングルには黒いダイヤモンドが着いていた。
ダイヤモンドのレパートリーももう無いはず…今日で魔力酔いが治まればいいんだが…。
今日は二人の会話に集中できず、窓の外を見つめながら早く屋敷に帰りたいと考えていた。
「…ですね。それでは私はこれで。フィンコック様は私の馬車で共に帰りますか?」
「ふぇっ…はっはいっ」
考え後とをしていていつの間にか話が終わり、アレクサンダー様から一緒に帰ることを提案された。
僕から図々しいお願いしようと思っていたのでアレクサンダー様には感謝だっ。
「いやっ、待ってくれ。明日…光属性の彼と会うことになっている…バングルが効くと良いんだが万が一…の時の為に居てくれないか?彼に会った後は魔力の有るものとの接触は避けたいんだ…。」
魔力の有るもの…無い人間なんて僕しかいないよね…。
僕が王子のお世話をって事…なんだよね?
「ぁっ…わっ…かりました…。」
今日もまた、帰ることが出来なくなってしまった…。
「………。」
僕は王子と共にアレクサンダー様が帰るのを見送り、今日も王宮に泊まることになったしまった。
王子の為とはいえ…。
何をするでもなく時間は過ぎ、王子と二人だけの夕食を終えお風呂も借りて部屋で眠る…。
眠るのは客室ではなく王子の部屋…王子のベッドで…。
魔力がなくて温もりのある人間が僕しか存在していない為に、仕方なく…。
本来であれば僕が王子の私室に入る事なんてない。
何度も言うけど僕達に特別な感情はない。
だから断言できる…
僕達の間に何かが起きることはない。
ただ、抱き締められて眠る…王子が眠りに着くのを確認してから僕も眠る。
二回目の今日だとわかる…抱き締める王子の身体はライ達より細く感じる…。
健康な時の王子に抱き締められたことがなく分からないけど、アレックスやリックよりも細いのは確かだ。
身長は皆同じくらいなのに…。
新たなバングルを試して、効果があれば体調も戻っていくはず。
食事はとても少食だったが口にしていたし、今も眠ることが出来ているんだから回復に向かっているんだよね?
ハーヴィル様と会いバングルの効果を確認すれば僕は用済みになる。
きっと明日で終わる…そうしたら家に帰れる。
明日こそは…。
お願い神様、王子の魔力酔いを改善してください。
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皆様には毎日感謝しております。
それと、未だにタイトル…悩んでます。
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