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四章 物語は終盤へ

バングル

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アレクサンダー様は王子の魔力酔いを深刻なものと判断し、三つのバングルを用意していた。
形や色は全て同じだが装飾の宝石が違い、何色を選ぶのかは王子との相性みたい。
すぐにでも選んで欲しいが、再び睡眠が取れなくなったと話していた王子が眠っているので起こすのは可哀想で寝かせてあげた。

「二人は…親密なんですね?」

アレクサンダー様は声を抑えながら僕に尋ねた。

「親密?とは、違うかもしれません。偶然王子の秘密?を知ってしまって…王子にとっては僕はあまり良くない存在かもしれません。」

「…そう…ですかね…。」

「あの…魔力酔いを起こす相手でも…その夫婦生活って出来るんですか?王子は…」

相手が光属性だと話して良いものか…王子の様子からして魔力酔いというのは伝わっていると思うけど相手が相手で…。

「出来ますよ、魔力酔いの魔道具を身に付ければ問題ないです。」

「そっか…良かった。」

なら、ハーヴィル様はこれからも側室でいられるよね…?

「………。」

どうしよう…何か別の事を話さないと…別の事…。

「…魔法省…で働く人は…魔力が特別な人だけですか?」

「いえ、そんなことはありません。魔力量なとが低くても魔法について一定以上の知識があれば入省することは可能です。」

「そうなんですね…。」

会話が…。

「…興味がありますか?」

「興味は…魔法は好きですが魔力…知識があるわけではないので見学させて頂けけで充分楽しかったです。結界魔法が綺麗で魔力が無い僕にも見ることが出来て嬉しかったです。」

「そうか。」

「うん゛んっ」

王子起きたのかな?

「ん?」

様子を見ると、ゆっくり深呼吸をしてから起き上がった。

「…すまない。」

「いえっ、眠れたみたいで良かったです。」

僕は気付かなかったけど、僕と王子の距離が近いことにアレクサンダー様は気になっていたみたいだった。

僕達にそんなことは起きたりしないのにねっ。

その後王子は新たなバングルを選んだ。
ほとんど同じだが違いは宝石。
宝石は全てダイヤモンドだが色はブルー、イエロー、レッドの三色だった。
どれに効果が現れるのかは、着けて魔力酔いを起こす相手に会わないと分からない。
そして古いバングルはアレクサンダー様が厳重に回収していた。
そのバングルから何かの研究に使う為らしい。

王子はブルーを身に付け王宮に戻っていった。

王子を見送った後、アレクサンダー様に見送られ僕も公爵家に帰った。
帰ると可愛い双子ちゃんが出迎えてくれた…が、お腹が空いていたのか母乳を与えるも一滴も出なくて大泣きされてしまった。

二人に暴れられて僕が抱っこすると拒絶される程嫌われてしまった。

悲しんでいるとレノックに抱きしめられ慰めて貰い、レノックのお義母様にも「そんな日はあるから大丈夫」と本気で心配され慰められた…なんだか騙しているわけではないが…後ろめたくなってしまった。

僕としては浮気ではないと思ってる…人命救助?王子の一大事だったから…と言い訳を沢山並べている…。

やっぱり緊急時でも身内以外に母乳はダメなのかな?
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