【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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四章 物語は終盤へ

公爵家…

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「レノック、今日は泊まるんだろ?」

お母様との会話だけはホッとできた。
レノックには申し訳ないが、僕はここにはいたくない。

「いえ、これから公爵家に挨拶に行きます。」

「…公爵家。」

「お母様も一緒に行きますか?」

「ぼ…僕も?」

「はい」

多分だけど、レノックはお母様とちゃんと話し合った方が良い気がする…お父様達といないところで…。

僕は貰ってばかりじゃなくて、レノックにも幸せな家族でいて欲しい。

「わっ私も行こうっ」

「おっ俺も…」

「僕も行きます。」

…お父様もお義兄様も…もう一人のお義母様も来ると…。

僕…ああいう人とどうやって接すれば良いのか分からない…早く安心できる家族の側にいきたい…けど、この人達をお父様達に会わせたくない…。

…だけど、三人は来ないでくださいなんて事も言えない…。
結局僕は…

「…はぃ。」

受け入れてしまった…。

急いでいるわけではないが、レノックの家族は急いで身支度をしていた。

四人共服も着替えているのを見ると、レノックと一緒に現れた時の僕はその程度の価値しかないと思われ歓迎されていなかったことを確信した。
…爵位を知った途端こんな態度されるとライ達がどれだけ素敵な人なのかがわかる。
もちろんレノックも。

心が疲れたのかレノックに凭れてしまっていた。

馬車は伯爵家から乗っていたものに僕とレノックと双子の赤ちゃんと乳母二人が乗った。

あっちの馬車はきっと気まずいだろうな…。

同じ王都内でも男爵家から公爵家は距離がある。
公爵家は王宮に近くより安全な地域だ。

男爵家での話し合いが終わり次第公爵家に向かう予定だったので、いつ着くか分からないと事前の手紙で連絡していた。
それでも公爵家に着けば男爵家よりも多くの人数の使用人に出迎えられ、遅れてお父様達も出迎えられた。

お父様に抱き締められて安心する。

家族は安心できるものであってほしい…。

「お父様、レノックとルーカスにレーンそれに…エルマー男爵とご家族です。」

態とではないがエルマー男爵家の紹介に困ってしまった。

いつもとは違う僕の様子に気付いたお父様にお母様、お兄様だった。

「外は寒いだろ?赤ちゃんもいるんだ、早く中に…応接室にどうぞ。」

「はい」

「「…はい」」

応接室に入ればお父様の前には当然のように男爵が座り、その横にはお義兄様とお義母様だった。

僕はレノックと結婚するのにこれでは誰と結婚するのか分からない…。

男爵家の人達皆が緊張し動揺してなのか、それともそれが男爵家の普段の位置なのか僕には分からないが、もうレノックのお義兄様とそのお義母様は「敵」にしか思えなかった。

「この度、我が息子シャルマンとレノック様の結婚を決めたわけたが異論はありま…」

「いえ、全くございません。寧ろ我が息子で良かったのか…。」

男爵はお父様が言い終わる前に言葉を発していた。

「レノック様は将来有望な人間だと判断しました。一人の商人としてやっていくのであれば、彼個人に我が公爵家が支援いたします。」

「………。」

「ぁっあのっレノックは、次男ですので支援は男爵家にと言うことですよね?」

僕はレノックには申し訳ないが、お義兄様お義母様が嫌で仕方がなく全ての言葉に反発してしまいたくなる。

「いや、これはシャルマンと結婚するレノック様への支援です。彼からは家を出ると聞いています。」

「それはっ、少々行き違いがありレノックには兄であるランスロットを支えて欲しいと考えています。」

支える?

「失礼だが、男爵家を継げるのはレノック様のはずですが何故ランスロット様なのかお尋ねしても?」

お父様は僕が聞けなかったことを聞いてくれた。
…僕はこうやって皆に甘えすぎていたことを知る…。

僕は結婚したのにまだお父様に甘えるなんて…これからは確りしないと。

「…私はランスロットとレノックを平等に育ててきました、ランスロットの方が跡継ぎに向いていると感じましたし、貴族は当主の嫡男が継ぐものでしょ?」

「そうですね、男爵位をお持ちなのは夫人ですからね。では、あなたが男爵位を持つ夫人で、ランスロット様が爵位の継承権のあるご子息ですか?」

「………ぃぇ…僕は…。」

「爵位の継承者ですか?」

「…違…います…。」

「では、男爵位をお持ちの方と話がしたい。」

「「………。」」

「時間の無駄をさせないでくれ。」

僕の知っているお父様ではなかったが、怖いなんて感じることなくとても気持ちよかった。

だって、お父様があの三人を黙らせてくれたから。

「僕が、爵位の継承者でありレノックの母です。」

「エルマー男爵夫人、私は貴方と話したかった。」

「はぃ」

「夫人はレノック様に爵位を譲りたいとは思わないんですか?正当な権利は夫人とレノック様にあるはずだ。」

「公爵様、失礼ですがこれは家族の問題であっ…」

「レノック様はシャルマンと結婚するんです、私が介入してはいけませんか?」

男爵が会話に割り込むも先程遮られたのをお父様は根にもっているのか、男爵が言い終わる前に遮るとというらしくない対応だった。

「…い…ぇ…。」

男爵はお父様の気迫に押され黙り混んだ。

「夫人、私は貴方の考えが知りたい。」

「僕は…レノックに継いで欲しいと考えていました…けれど、この人達に縛られ不自由を強いられるなら一人自由になって欲しいと思っています。」

「それで、良いんですね?」

「…はい」

「レノック様は貴族でなくなるが良いのか?」

「はい、元々俺に貴族はあっていませんでした。」

「そうか。なら私から結婚に関して条件がある。」

「条件ですか?」

「この場でエルマー男爵家との絶縁上にサインしなさい。二度と関わらないと。」

「…はい」

「レノック…」

「「「……えっ…」」」

お父様の条件にレノックのお母様だけでなくあの三人も驚いていた。
というより、僕も驚いた。

「夫人はどうされますか?離縁しサンチェスター伯爵領でレノック様が商人になるのを見届けますか?それともレノック様と絶縁し男爵夫人として王都に残りますか?」

「なんでそうなるんですかっ、いくら公爵様でも遣りすぎです。」

確かにお父様の発言は行き過ぎていると思う、他人…親戚になるとはいえ、そこまで深入りしては男爵が怒るのも当然。

「男爵はレノック様よりランスロット様を次期男爵にすると以前から計画しておられたのだろう?爵位のある夫人を蔑ろにして愛人と戯れているのを隠しもせず商人の教育もレノック様にはさせていなかったと…未熟だが、未来のあるレノック様ですので私が全面的に協力させていただきます。男爵家の内情を調べてしまったのは申し訳ないが結婚する相手の家族を知りたいと思うのは貴族として…親として当然の事ですから。」

「…離縁なんて…私は…妻を…愛して…ます。」

「それはどちらの事ですか?」

「なっそれはっ」

「もう良いですっ。離縁します。離縁は以前から考えていました。爵位は返上します、男爵になりたいのであればご自身のお金で買ってください。」

お義母様が離縁を宣言したことで男爵は顔面蒼白で何度も瞬きを繰り返していた。
隣に座る人も口に手を当て震えだし、お義兄様は硬直している。

僕達の結婚の報告が思わぬ方向へ向かってしまった。

お父様に促され僕は赤ちゃんと一緒に自身の部屋へ、その際レノックもと誘うが、今後を話し合うので残ると言われ僕だけが部屋を後にした。

一人逃げた僕だけど、レノックとお母様が幸せになる道を選んでほしい。
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