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四章 物語は終盤へ
か…ぞ…く
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男爵…当主補佐。
私が男爵になれたのは妻と結婚したからだ。
結婚当初は貴族の仲間入りできたことに喜び妻に感謝し続けた。
妻は優しく私の全てを受け止めてくれたが…貴族社会は私が考えるよりも甘くはなかった。
元平民…その言葉がいつまでもくっついて離れる事がなかった。
貴族達の暗躍に触れていると妻の優しい笑顔の裏にもあの貴族達の裏の顔があるのではと思い始めてしまった。
私の勝手な妄想に過ぎないのに、子が生まれない事で平民の子供を産みたくない妻の仕業に違いないと思うようになっていた。
本来であれば貴族である妻が愛人を作り子を産むのたが、商人としての才能を継がせるなら私の血筋の方がと無理やり押しきり平民の女を愛人にした。
愛人はすぐに妊娠し出産した。
やはり、問題があったのは妻だったのだ。
私はすぐに愛人を第二夫人にした。
妻は第二夫人を受け入れようと優しくしたが、私が選んだ第二夫人は…自身の立場を理解せず譲られる事も見下されることも嫌った。
私に瓜二つの愛人だ…。
第二夫人が妻に強気に出る度に内心喜んでいた。
それでも私は妻を愛していたのも事実。
プライドが邪魔をして正直に話すことが出来ず他の男に逃げ、貴族の彼が平民より劣っていることに優越感を抱いた。
そして四年後にレノックが生まれ成長するに従い優劣がついていった…。
レノックは優秀だ。
ランスロットの方はあれにそっくりで野心だけは強く、弱い立場のものには醜い姿を発揮した。
そんなランスロットが学園に入学し人脈を作って見せると意気揚々としていたが、店にはなんの影響もなかった。
商人の伝で学園での現状を聞くも、貴族には全く相手にされず平民を見下しているので人脈は皆無だと。
学園で横暴な態度でも店には何にも影響がないのは、誰にも相手にされていないということだった。
それが、ランスロットが卒業して二年が経とうとした時意外な物の注文が大量に入った。
学園で石鹸とシャンプーとコンディショナーという風呂グッズだった。
貴族は洗浄魔法で済ませ、平民は無くても良いものは買わない。
なぜそんなものを作ったのかは、妻が魔法が苦手で石鹸のようなものがあればと私のところに依頼をしたからだ。
それが妻との出会いでもある。
そんなものの注文が定期的に入り、ランスロットは自慢げに「俺が宣伝したのが漸く許可が降りたんだな。」と私に語っていた。
その言葉を鵜呑みにするつもりはなかった、当時学園に通っていたのはレノックだったから。
それでも私はランスロットを誉めた。
ランスロットは学園を卒業してすぐに男爵家を継ぐと発言した。
仕事に対してもランスロットなりに真剣に取り組んでいたが、人当たりが悪く新人が育たず辞めていく。
それに婚約の申し込みをしても会うことも叶わず断られた。
男爵という立場で高望みをして子爵家へ打診し断られたので、同じ男爵家にも申し込んだが断られた。
それ程学園での態度が悪かったのだろうとそこで気付いた…。
仕方なく平民にと提案すればランスロットが激怒した。
婚約が決まらないまま時間だけが過ぎ悩んでいたところ、レノックから届いた手紙には「爵位は継がない、家にも帰らない」とだけ書かれていた。
その事実に妻の顔を見ることが出来なくなった…。
私の詰まらない意地のせいで妻の心も愛しい子も失った…残ったのは自分に似た醜い人間だけ…。
それでも一度顔を見せたいと手紙が来た時、本来の家族としてやり直せるのでは?と期待した…が、それは別れだった。
完全に私を捨てるのが理解できた…。
私に似なかった息子は私から離れることで多大なる幸福を手にいれた。
私に似た息子は私の元で他人を恨み文句を良いながら不幸ばかり嘆いている。
私が男爵になれたのは妻と結婚したからだ。
結婚当初は貴族の仲間入りできたことに喜び妻に感謝し続けた。
妻は優しく私の全てを受け止めてくれたが…貴族社会は私が考えるよりも甘くはなかった。
元平民…その言葉がいつまでもくっついて離れる事がなかった。
貴族達の暗躍に触れていると妻の優しい笑顔の裏にもあの貴族達の裏の顔があるのではと思い始めてしまった。
私の勝手な妄想に過ぎないのに、子が生まれない事で平民の子供を産みたくない妻の仕業に違いないと思うようになっていた。
本来であれば貴族である妻が愛人を作り子を産むのたが、商人としての才能を継がせるなら私の血筋の方がと無理やり押しきり平民の女を愛人にした。
愛人はすぐに妊娠し出産した。
やはり、問題があったのは妻だったのだ。
私はすぐに愛人を第二夫人にした。
妻は第二夫人を受け入れようと優しくしたが、私が選んだ第二夫人は…自身の立場を理解せず譲られる事も見下されることも嫌った。
私に瓜二つの愛人だ…。
第二夫人が妻に強気に出る度に内心喜んでいた。
それでも私は妻を愛していたのも事実。
プライドが邪魔をして正直に話すことが出来ず他の男に逃げ、貴族の彼が平民より劣っていることに優越感を抱いた。
そして四年後にレノックが生まれ成長するに従い優劣がついていった…。
レノックは優秀だ。
ランスロットの方はあれにそっくりで野心だけは強く、弱い立場のものには醜い姿を発揮した。
そんなランスロットが学園に入学し人脈を作って見せると意気揚々としていたが、店にはなんの影響もなかった。
商人の伝で学園での現状を聞くも、貴族には全く相手にされず平民を見下しているので人脈は皆無だと。
学園で横暴な態度でも店には何にも影響がないのは、誰にも相手にされていないということだった。
それが、ランスロットが卒業して二年が経とうとした時意外な物の注文が大量に入った。
学園で石鹸とシャンプーとコンディショナーという風呂グッズだった。
貴族は洗浄魔法で済ませ、平民は無くても良いものは買わない。
なぜそんなものを作ったのかは、妻が魔法が苦手で石鹸のようなものがあればと私のところに依頼をしたからだ。
それが妻との出会いでもある。
そんなものの注文が定期的に入り、ランスロットは自慢げに「俺が宣伝したのが漸く許可が降りたんだな。」と私に語っていた。
その言葉を鵜呑みにするつもりはなかった、当時学園に通っていたのはレノックだったから。
それでも私はランスロットを誉めた。
ランスロットは学園を卒業してすぐに男爵家を継ぐと発言した。
仕事に対してもランスロットなりに真剣に取り組んでいたが、人当たりが悪く新人が育たず辞めていく。
それに婚約の申し込みをしても会うことも叶わず断られた。
男爵という立場で高望みをして子爵家へ打診し断られたので、同じ男爵家にも申し込んだが断られた。
それ程学園での態度が悪かったのだろうとそこで気付いた…。
仕方なく平民にと提案すればランスロットが激怒した。
婚約が決まらないまま時間だけが過ぎ悩んでいたところ、レノックから届いた手紙には「爵位は継がない、家にも帰らない」とだけ書かれていた。
その事実に妻の顔を見ることが出来なくなった…。
私の詰まらない意地のせいで妻の心も愛しい子も失った…残ったのは自分に似た醜い人間だけ…。
それでも一度顔を見せたいと手紙が来た時、本来の家族としてやり直せるのでは?と期待した…が、それは別れだった。
完全に私を捨てるのが理解できた…。
私に似なかった息子は私から離れることで多大なる幸福を手にいれた。
私に似た息子は私の元で他人を恨み文句を良いながら不幸ばかり嘆いている。
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